【Justice】ハーバード白熱教室2【Sandel】

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もう一点は、共同体主義が明らかに主観主義の立場を取らないこと。共同体主義は
名前のごとく共同体を基本ユニットにしているわけで、少なくともその構成員たる
個人間では価値観や善悪基準を共有するので「相対的」ではない。いわゆる間主観
主義の立場。つまり個人間での相対性は否定されている。近代主観主義は英論理実証
主義系のメタ倫理由来のもので、共同体主義とは真逆の立場。アラン・ブルームが
文句たれてた矛先も共同体主義の方ではない。

では、個人間ではなく共同体間であれば共同体主義も相対性を認めるのか、と言うと
そういうわけでもない。まず少なくとも、共同体というものの価値を積極的に認めて
いる点で、それを否定する価値観とは相容れないわけで、相対主義とは言えない。
さらに、その他の価値に関しても客観性を否定はしていない。それどころか、テイラー
など異なる価値観の共同体同士で対話を続けて行けば、いずれは融合して皆が承認
しうる価値体系にたどりつけるかも知れない的な希望を持っていたりする(ガーダマー
解釈学由来の「fusion of horizon」)。そもそもテイラーもマッキンタイアも共に
カトリック信者(普遍主義の極み)であり元新左翼。テイラーのデビュー作はヘーゲル
考だったけれども、これも当然相対主義ではない。