【Justice】ハーバード白熱教室2【Sandel】
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exp:
共同体主義=相対主義とするのは、ちょっと違うんじゃないかと思う。「負荷無き自我」
というロールズ系自由主義で用いられるモデルには確かに客観主義的(絶対主義的/普遍
主義的)な側面があるし、実際初期にはそういう批判が多くあった。(ロールズは後にこれ
を否定するけれど)。しかし、だからと言って、そういう批判をした共同体主義者達がその
真逆(?)の相対主義の立場を取ると即なるわけではない。
客観主義:主観に依存しない、時・場所に関わらず常に絶対的に真である正義の原則が存在する。
主観主義:正義や善悪など人それぞれ。物理学の落体の法則のように普遍的に真であるような
原則はこの世に存在しない。
客観主義の真逆である主観主義の立場を取ると相対主義に繋がる。価値観なんて人それぞれ、
どれが絶対に正しいというわけではない、と。ここで気をつける必要があるのは、相対主義→
文化帝国主義の否定→異文化の尊重に必ずしも繋がるわけではないという点。全ての価値観が
等しく主観的で等価なら、例えばアメリカ原住民の個人にとって土着の民族文化も外来のイギリス
文化も等しく価値があり、だったら後者を押し付けても問題は無かろう、となる。ムッソリーニ
などが同様の趣旨を述べて実践もしている。