東浩紀302──アニマル批評家列伝

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16第三の波平 ◆JXLBbnYqTY
■ラカンと形而上学的二元論と倫理

ラカンの精神分析もまた形而上学的二元論の構造をもつ。

人間/動物=精神/身体=想・徴/現

象徴界=言語世界、想像界=イメージ世界の説明で、イメージをほんとうの動物によって
説明していたが、これがそのまま、想像界=動物というのは違う。想像界というのは、基本
は想像的な闘争関係の世界であり、動物とは関係がない。

通常の医療は動物にも試みられるが、精神分析は絶対に動物にしない。精神分析は、人
間/動物の二元論の人間側だ。そして動物側は現実界として外部へ排除する。ようするに
形而上学の強い影響下にある。

さらに重要であるのは、ラカンにおいて二元論は倫理であったということだ。「性関係は存
在しない」というテーゼは、「人間」という存在が動物ではないということ、動物のように個体
として還元されない一人ひとりが精神=尊厳を持つことを示している。