13 :
第三の波平 ◆JXLBbnYqTY :
東、アガンベンの誤読
東の動物化がヘーゲル−コジェーブ経由の、二元論から来ている。またアガンベンも強い
二元論の元にある。しかしフーコーはこのような二元論にはない。フーコーの生政治とし
て、マクロレベルの生権力と、ミクロレベルの規律訓練権力を分ける。これらはともに身体
へ作用するが、規律訓練権力は二元論とは異なり、経験主義の影響が強い。フーコーが
例とするのが軍隊の訓練である。二元論的に抽出された「身体」、精神から分離された身
体は、たとえば東の動物化に見られるように、情動、生理反応であるのに対して、フーコー
の身体は、訓練され規律を学ぶインテリジェンスな身体である。このような経験論的な身体
があり、それを包囲する環境を管理するというマクロレベルでの生管理がある。
アガンベンの例外状態は、フーコーの影響を受けながらも、むしろヘーゲルからの形而上
学的な二元論が強い。いわば超越論的な身体である。フーコーの生権力は、自由主義統
治技術に限られていた。それは先のミクロ、マクロで包囲された、18世紀以降の自由主義
という特殊な統治技術である。これに対して、アガンベンこのわかりやすい二元論であるが
故に、生権力的なものはどの時代にも見いだせるとして、ギリシア時代の奴隷(ホモサケ
ル)から、収容所の囚人まで拡張する。このようなフーコーの生権力の安易な拡張には、
フーコー本来の考えから逸脱するものとして、批判されている。