813 :
第三の波平 ◆JXLBbnYqTY :
では、独創を投下しよう!
■なぜ左派はなぜ独裁に躓くのか
モース 資本と贈与交換
マルクスにしろ、ケインズにしろ、ハイエクにしろ、経済学が躓くのは貨幣交換の腐敗や贈
収賄です。自由主義経済学は、コンベンションを「神の手」というように貨幣による一元的な
価値へと平面化し、そして「贈与関係」をあってはならないものとして扱います。
モースは未開社会に貨幣交換とは全く異なる象徴的な秩序とそれを維持する力を発見しま
した。それが贈与交換です。贈与交換の力学は、その社会へ慣習・道徳、すなわちコンベ
ンショナルな権力分布を生み出す基礎になってきました。しかし近代における自由主義経
済の浮上は、このような贈与交換を排除したと考えられています。
貨幣交換と贈与交換の違いを示すならば、匿名と顕名の違いです。ある商品の売買でお
金を払うならば相手をといません。しかしある物を贈与する場合には信用が重要であり、そ
の相手が誰であるかが重要です。自由主義経済では完全自由競争が求められ、私的な理
由で相手を選ぶことは弊害であるとされます。
しかし資本主義における資本という貸し借りの原理は貨幣交換を越えて限りなく贈与関係
に近いものです。だから容易に転倒して腐敗や贈収賄という違法として現れますが、また
資本は信用取引=社会的な貨幣交換であり、贈与交換が下支えしているのです。
814 :
第三の波平 ◆JXLBbnYqTY :2009/08/25(火) 01:48:14 0
資本主義社会へ贈与関係の影響
この信用という贈与交換のあり方によって、資本主義内の多様性が表れます。一つは匿名
性(マクロ)において統治された国家の人口です。市民社会は資本主義への統治が群衆を
国民へと規律訓練し統治することで生まれました。そして人口に贈与交換が働き市民社
会、国民、ネーションという「想像の共同体」として現れます。また市民社会は「大衆」という
ゆるい顕名(ミクロ)をもった不特定多数の匿名(マクロ)のポピュリズムとして現れます。こ
れらは活発な経済活動の基本となる肥沃な大地です。
また資本の活動において信用という贈与交換は一部の資本をもつ者たち、上流層(エリー
ト)として現れます。そして上流層には当然、国家権力との密接な関係を持ちます。これ
は、独占、贈収賄、インサイダーなどの違法に近接しつつ、資本主義の始めから決してなく
ならならないミクロな贈与交換です。今回の金融不況の一つの要因が、経済圏がグローバ
ルに拡がり、市場規模が肥大する中で、上流層の顕名(ミクロ)な思惑が市場を通して瞬時
にグローバルへ影響を与える事態が挙げられます。これと相対するときに、市民社会は資
本をもたない者たち=下流層として、左派的な文脈で現れます。
815 :
第三の波平 ◆JXLBbnYqTY :2009/08/25(火) 01:50:16 0
富の独占を捉えられないディレンマ
古い左派の文脈では上流層と相対するときに、市民社会は資本をもたない者たち=下流
層という対立項として語られました。しかし最近の左派が参照するのはフーコーの生権力
です。新自由主義の現状では国家の機能が弱まり、対抗すべき権力は主体を持たず透明
化した匿名(マクロ)な権力です。「帝国」、透明な悪、ポストフォーディズム。確かに資本主
義は、封建社会のように権力者を固定せず、上流層にも流動性を組み込むために、上流
層(エリート)と下流層の対立として語ることは有効ではありません。
しかし現にそこにかつてないほどの巨大な格差が生まれています。人口の2%が世界の
「富」の半分以上を所有しているのです。そしてその資本力によってミクロな私欲がマクロ
な場への巨大な力として行使されている現実があるのです。
ここに左派がもつ弱さがあるのではないでしょうか。左派は社会主義というマクロレベルの
合理的な理想を目指すためにミクロな贈与交換の現象を分析する方法論を持ち合わせて
いません。国家社会主義の多くが、独裁政権、すなわち上流層の贈与関係へ落ち込み抜
け出せなくなるのはこのためでしょう。
しかしこのような問題は左派だけの問題ではないでしょう。社会主義にしろ、自由主義(リ
バタリアニズム)にしろ、匿名(マクロ)レベルによる理想を目指すとき、「経験主義のディレ
ンマ」が現れます。ミクロな贈与交換はマクロな合理性をその一回性によって躓かせ続け
るのです。
816 :
第三の波平 ◆JXLBbnYqTY :2009/08/25(火) 01:51:17 0
雑種としての資本主義のみが生き残る
そしていわば理想を見ない雑種的な資本主義が結果的に生き残るのです。資本主義とは
なにかというのは難しくて、自由主義者のように、誰かが私は資本主義者だと言ったわけ
ではなく、すでに資本主義経済のようなものは社会で運営される中で、社会主義者が反語
として、現状を表すために用いました。 だから(正確にはマルクスは「資本主義」という言葉
は使っていませんが、マルクスのいうように資本を基本とした生産様式のことですが、それ
もまた資本主義の一面であって、近代において市場経済中心社会が生まれそして変化し
続ける社会であって、資本、貨幣、労働力、金融、流通、そして権力などまさにいまこの現
実のコンベンションです。
おりゃあああああああああああああああああああああああああああああ!