喫煙の話を蒸し返すレスなので、興味のない衆はスルーで・・・
パターナリズムのバランスというような記事なので引用します。
【介護の心(85)】お世話も権力になる恐れ(『読売新聞夕刊』2007.11.20)
一般の事典にはまず載っていないけれど『実用介護事典』(講談社)で取り上げたコトバの一つが
「牧人権力」だ。「ぼくじんけんりょく」と読む。
「人々の健康と生命を守るためと称した管理と支配こそが、人々を抑圧してきた権力の最後の形で
あるとして、フランスの哲学者M・フーコー(1962〜84年)が提出した概念」
なぜこんな哲学用語が『介護事典』に必要なのか。それは、介護が管理や支配になり、介護者が、
高齢者や障害者にとって権力者になってしまう恐れを指摘したものだからだ。
本人ができることにまで手を出したり、本人が決めることを先取りして決めてしまったりするのは、
「牧人権力」はちょっと大げさで、「おせっかいケア」と言うべきだろう。この「おせっかいケア」も事典
にはちゃんと載っている。でも「骨折を防ぐため」とベッドに手足を縛り付ける病院や、「健康のため」と
酒やたばこなど、本人の長年の生活習慣を禁止する施設などは「牧人権力」であると言っていいの
ではないか。
目の前の困っている人に手を貸す医療職や介護職は「天使」に近づける仕事である。だが同時に
「悪魔」にも近づいていく仕事でもある。なにしろ人の運命や人生を左右する力を持っているのだから。
老人との関係では私たちも権力になる。そして権力は必ず堕落する。堕落しないための歯止めが
私たちに求められているのだ。
それにしても、国民の腹囲のサイズにまで口を出すようになったこの国も「牧人権力」になりつつ
あるのではないか。 (三好春樹=「生活とリハビリ研究所」代表)
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この三好春樹氏は、FAQのI-Q5で西部邁の自死について触れています。