◆決定論:脳は物質だから意識は必然に過ぎない89◆

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「汎経験説の立場から」

心的なものがニューラルネットワークの物理的配置から初めて創発さ
れる形態であると仮定すると、従来の唯物論的な意味での、意識の存
在を全く棚上げした形での物理的構造が意識という創発形態を一体ど
のようにして発動させるに至ったのかという説明がつかなくなりま
す。従来的な物質性によっては自身の系の枠外にある新たな属性であ
る心的なものを自身のシステム内部によって起動させたり停止させた
りするようなプログラムを自己発展系の途上で発生させることが不可
能なのです。つまり心的なものは素粒子論における無限階層的なあら
ゆる段階ごとに常に何らかの形で心的な表象そのものとして内在して
いなければならないということになります。

「創発説の立場から」

世界とは各々の特殊な固有性を現象として表現する普遍であって、し
かも認識機能内部に考察を限定したとしても意識されたあらゆる事物
がその固有性としての区別を持っているということ自体、多様な「特
殊性」の実在をともかく経験論的には実証してしまっていることを示
しています。そして反対に、心的なものを全く棚上げした従来の意味
における物理現象そのものにおいても、普遍がその対象性を自発的に
破ることで不安定性を獲得すると仮定しなければ物理的空間内部にお
ける力学的な運動やらベクトルやらの表現すら初めから存在し得ない
ということになってしまうのです。特殊性が創発されなければ現象は
多様の移り行きとしては意味を持ち得ないのです。