299 :
純一:
続き
>だれもが知っているように、狐たちは悪賢い生き物ですが、
>いつかは罠にかかるものだからです。狐の罠、しかも罠に
>ついてはどの狐よりも豊富な経験を積んでいる狐が作った罠が、
>人間や狩人の作った罠に太刀打ちできない理由があるでしょうか。
>わかった、この罠が〈罠〉であることが、すぐにわからないのが
>理由に違いない! そこでわたしたちの狐は、罠を美しく飾り立て、
>「おーい、みんなぁ。来いよぅ。ここに罠があるぞぉ。世界で一番
>きれいな罠だぞぉ」と、だれにも誤解のしようのない標識を、そこら
>じゅうに立てて置けばいいと思い付きました。それからは、間違って
>狐がこの罠に落ちることはありえないことが、だれの目にも明らかに
>なりました。しかしなんと、多くの狐がここにやってきたのです。