「概念の阻止」とはどういうことなのか、また諸々の「概念の阻止」はどういう関係にあるのか。
==============ジル・ドゥルーズ『差異と反復』序論部についての考察
0、はじめに
1、「概念の阻止」は何を目指すのか
2、「概念の阻止」によって何が区別されたのか
3、「概念の阻止」の内実
3−1、人為的阻止について
3−2、人為的阻止から自然的阻止への移行のための、「名目的概念の自然的阻止」
3−2−1、名目的概念について
3−3、「名目的概念の自然的阻止」から「自然の概念の自然的阻止」へ
3−3−1、自然の概念について(廃墟)
3−4、「自然の概念の自然的阻止」から「自由の概念の自然的阻止」へ
3−4−1、自由の概念について(廃墟)
4、それ以降の展開について
0、はじめに(あとがき)
本小論は、ドゥルーズの哲学的主著『差異と反復』の序論部における「概念の阻止」についての考察である。「
概念の阻止」に関して、『差異と反復』の訳者・財津理は、これをして難解であると評している。他方で、「概
念の阻止」に積極的に取り組むという研究はこれまで極めて少数であった。筆者(おれ)はすべての論文を把握
しているわけではないが(それどころかまったく把握していないのだが)、これまでのところ「概念の阻止」に
ついてもっとも積極的に紙数を割いている研究は大山論文「反復の重層=重奏」(『ドゥルーズ 生成変化のサ
ブマリン』(白水社2005年)所収)であるという。しかしその論文といえどもあくまで「反復」を論考の中心に
置いたため、「概念の阻止」の箇所のドゥルーズのテクストの複雑さ・難解さを十全に解きほぐしてくれるもの
ではなかった。