◆決定論:脳は物質だから意識は必然にすぎない40◆

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655オレオレ詐欺
・「物理学主義」の歴史

機械論的-力学的研究伝統は、
「あらゆる物体の力学的なふるまい、運動がそれを質点同士のつり合いと質点の運動とに還元することによって解明される。
ふつう広がりのある物質は、たがいに力を及ぼしあう質点の集まりと見なされる。
したがって、力が働いた時の質点のふるまいを規定とする法則=運動方程式がすべての力学の基礎になる。
どんな物体であっても、それをつくる質点の数、相互の距離、それらの間に働く力を知ることによって、
そのいかなる力学的なふるまいも演繹的に導くことができる。」
このような要素論的−力学的研究伝統は、17世紀の段階ではまだ数ある自然思想のうちの一つにしかすぎなかった。
しかし、18世紀に入り、ダランベールが
「力学は全自然学の基礎である。
実際あらゆる自然現象、物体系でおこるすべての変化は運動に帰せられねばならず、運動法則によって支配されている。」
と断定してからは、この研究伝統は野望をあらわにする。
要素論的−力学的研究伝統は、まず天体力学の分野での正確な予測の成功などにより、その目的を徐々に達成していった。
他方その理論はオイラー、ダランベール、ラグランジュらによって数学的に厳密に定式化され、強大化していった。
そしてラブラスが太陽系の安定性を証明したころには、物理学を代表する世界像を確立していた。
ラプラスは将来を見越して勝利宣言する。

「同じ式の中に宇宙でもっとも大きな天体の運動も、もっとも軽い原子の運動も包摂できるだろう。
この叡智にとって不確かなことはなにひとつない。
未来も、過去と同じように見通せるだろう。」