>>123 チョムスキー自身、現段階の言語学を「ガリレオ以前」と言っている。
人気の理由は、言語学史の概論の本でも読めばわかるけど、
文法へのアプローチの枠組みを作ったこと。
チョムの目指しているのは、今までの言語学の対象としてきた
「ある言語の使用者たちの発話の総体」の解明ではなくて、
「ある個人の脳に備わっている言語能力」の解明。
だから、文法という現象を記述する法則を提出することじゃなくて、
文法そのものを産み出すことが可能になる法則
(赤ん坊に備わっていて、環境と相互作用して個別の文法を産み出す法則=普遍文法)を
提出することが最終目標。
チョム自身は長年、言語起源論に言及してこなかったんだけど、
結局手を出してしまった(比較認知科学者のハウザーらとの共著)。
Hauser, M. D., Chomsky, N., & Fitch, W. T. (2002).
The faculty of language: : what is it, who has it, and how did it evolve?
Science 298, 1569-1579.
http://icnc.huji.ac.il/Files/HauserChomsky.pdf チョム御大自身が言語起源論に手を出したことで、認知科学化が促進したっぽい。