米国の批評家・作家、スーザン・ソンタグさんが死去
約40年間にわたり米国を代表する知識人の一人と目されてきた批評家・作家の
スーザン・ソンタグさんが28日朝(日本時間同日夜)、ニューヨーク市内のがん病院で
死去した。病院当局が確認した。71歳だった。病院側は死因を公表していないが、
長男がニューヨーク・タイムズ紙に語ったところによると急性骨髄性白血病だという。
「反解釈」(66年)、「ラディカルな意志のスタイル」(69年)などの評論集で
注目を集め、左派知識人の代表格と目された。他に評論集「写真論」(77年)、
「エイズとその隠喩」(89年)など。小説では「火山に恋して」(92年)などの作品が
ある。 米国の作家には珍しく政治に深くかかわり、60〜70年代はベトナム戦争反対の
活動で知られた。その後、99年に朝日新聞紙上で行った作家、大江健三郎氏との
往復書簡では、北大西洋条約機構(NATO)によるコソボ空爆を支持した。
虐殺などの危険がある場合は、武力の早期行使もやむを得ないという、
いま主流になりつつある考え方に添ったものだ。
01年の9・11同時多発テロ直後には「これは文明や自由や人間性に対する攻撃ではない。
自称『超大国』への攻撃だ」と断じたうえで、ハイジャック犯より「反撃されない高い空から
攻撃する者(米兵)の方が卑劣」と書いて物議をかもした。
9・11に起因するアフガニスタンへの武力行使は支持したが、イラク戦争には反対。
こうした時代への考察をまとめた「この時代に想う/テロへの眼差し」(02年)は、
日本のみで出版された。
ニューヨーク生まれ。早くに父を亡くし、母はアルコール中毒だったという。
3学年飛び級し15歳で高校を卒業、シカゴ大学、ハーバード大学、
英オックスフォード大学で学んでいる。硬派の批評家には珍しく、社交界の花形でもあった。
(12/29 17:08)
http://www.asahi.com/obituaries/update/1229/001.html