【ストア派】自省録について語ろう【五賢帝】

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81考える名無しさん
そこで、あなたの生涯を呼び戻して総決算をしてみませんか。
(中略)
するとお気づきになるでしょうが、あなたが持つ年月は、
あなたが数える年月よりも、もっと少ないでしょう。
記憶をたどりながら、ご自身のことを再び思い出してください。
いつあなたは自分の計画に自信をもったか。自分が決めたように運んだ日は
いかに少なかったか。いつ自分を自由に使うことができたか。
いつ顔つきが平然として動じなかったか。いつ心が泰然自若としていたか。
あなたがこんな長い生涯の間に行った仕事は一体何であるか。
いかに多くの人々があなたから生活を奪い去ったことか−−
失ったものにあなたが気づかないうちに。いかに沢山のものが
無益な悲しみや、愚かな喜びや、飽くことのない欲望や、
こびへつらいの付き合いによって持ち去られたことか。
あなた自身のものが、いかに僅かしかご自身に残っていないか。
そのうちお分かりのことと思うが、あなたはまだ未熟なうちに
亡くなるになるでしょう。
82考える名無しさん:2005/08/26(金) 11:57:11
多くの大偉人は一切の邪魔物を退け、
財産も公職も快楽も捨てたうえ、
ただ、いかに生きるかを知ろうとする、
このことのみを人生の最後まで唯一の目的とし続けた。
(中略)私の言を信じてもらいたい。偉大な人物、
つまり人間の犯すもろもろの過失を超絶した人物は、
自己の時間から何一つ取り去られることを許さない。それゆえに、
この人生はきわめて長い。用いられる限りの時間を、
ことごとく自分自身のために当てているからである。
83考える名無しさん:2005/08/26(金) 11:58:05
万人のうちで、英知に専念する者のみが暇のある人であり、
このような者のみが生きていると言うべきである。
それは彼らが単に自己の生涯を立派に守っているからだけではない。
彼らはあらゆる時代を自己の時代に付け加える。
彼ら以前に過ぎ去った年月は、ことごとく彼らに付加されている。
われわれがひどい恩知らずでない限り、かの聖なる見識を
築いてくれた最もすぐれた人たちは、われわれのために生まれたのであり、
われわれのために人生を用意してくれた人々であることを知るであろう。
他人の苦労のおかげでわれわれは、闇の中から光の中へ
掘り出された最も美しいものへと運ばれる。われわれはいかなる時代からも
締めだされることもなく、あらゆる時代に入れてもらえる。
またもし広い心をもって人間的な弱点の隘路を出て行きたいならば、
そこには自由に過ごすことのできる沢山の時間がある。