ニワトリと卵

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95考える名無しさん
ニワトリという言葉にはニワトリという生物のカテゴリーを表す意味と、
その成体を表す意味の二つがあるが、ここではこの問題を「ニワトリという
カテゴリーが生じた時に、それは卵から生じたのか、成体から生じたのか」
という問題だと解釈することにする。

さて、いまの進化学の常識からすれば、進化は漸進的におこるもので、
一世代で、あるいは一つの突然変異によって、新しい種が生まれるわけではない
と考えられている。
ある変異が世代交代を通じて集団の中に広がり固定していくことによって、
集団として生物は進化していく。
だとすれば、そういう連続的なものをどこかで「区切る」という、
>>92の言葉でいえば「名付け」の作業は多かれ少なかれ恣意的なものに
ならざるを得ないが、その恣意的な区切りがなければ我々は「ニワトリ」
というカテゴリーを定義する事はできない。

さてところでニワトリは野鶏が家禽化されたものであるが、ではどこまでが野鶏で、
どこからがニワトリなのか。それを区別することが、この問題を解く鍵になる。
この場合、一番単純な区別は、それが「家禽化されているか否か」という区別である。
すなわち、ヒトが野鶏を最初に家禽化したときに、
野鶏の成体を捕えてきたのであれば「ニワトリ(この場合成体の意味)が先」であり、
野鶏の卵を盗んできたのであれば「卵が先」であり、
野鶏の雛を拾ってきたのであれば「ヒヨコが先」である。
従ってこれは哲学あるいは生物学の問題ではなく、単に歴史の問題となる。