柄谷行人を<解体>するU

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764竹田青嗣「資本主義・国家・倫理」
 最後に第三の問題について。
 ここでもわれわれは、「国家」と「資本主義」を克服しようとする柄谷の根
本プランが、本質的に「倫理的」な性格を持っているという点に立ち止まらざ
るをない。対抗国家集団「アソシエーション」は主体的な倫理的運動であると
いうことを柄谷はむしろ強調する。しかし、社会変革の思想と運動をいかに道
徳的、倫理的「要請」から取り外して構想しうるかという課題は、わたしの理
解するかぎり、二十世紀後半の最大の思想的課題だった。ポストモダン思想が
「反形而上学」という起点から出発したのも、このことと深くかかわっていた。