人間はなぜ優劣をつけたがるのか?

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海外をも含めた多くの研究によれば、いじめという現象は、それぞれの国の社会文化
的背景を異にして発生しながらも、現象面では類似しているところが多くあります。
定義の上では、
1、被害の発生
2、被害の継続性ないしは反復性
3、力(power)の不均衡に基づく力の乱用
という共通した要素をもっています。
なかでも力の不均衡とその乱用という要素は、いじめという現象の本質を規定する
要素であり、不可欠な要素とされています。
ここいう力(power)とは、背景とする集団の規模や人数、能力や資質の違い、経験
や知識、人気度、地位、賞罰を与える個人的な資源や権限の差、社会階層の違いなど
に基づく他者への影響力を意味しています。このような力の不均衡は、およそ人間
が関係を取り持つところでは常に存在しており、この力の乱用も影のように忍び寄る
ことになります。このことはいじめという問題を個人の持つ属性によって生じる問題
としてではなく、関係性から派生する問題として捕らえる必要がある事を示唆する
ものです。
このように、いじめの基本的な要素を力の不均衡に基づく「力の乱用」に見出し、
被害性をこの「力の乱用」から派生するものとして把握するとすれば、そこには、
差別や偏見、社会的抑圧、虐待、権力の乱用などからもたらされるさまざまな被害
現象がリンクされてくることになります。