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mimesis:
勿論直截『中巻』を読むのが一番よいのでしょうが、
初学者向きの解説書としてお薦めなのが、
石川文康『カント入門』ちくま新書。
第3章が「迷宮からの脱出 第1アンチノミーの解決」。
第一アンチノミーは次の2つの命題からなる。
テーゼ:世界は時間・空間的に有限である。
アンチテーゼ:世界は時間・空間的に無限である。
どちらも偽であることが証明され、時間・空間が客観的に存在する
という暗黙の前堤に問題があることが浮き彫りにされる。時間・
空間は感性の形式であり、現象のみに適応されることが確認される。
そのことは『上巻』ですでに述べられているのだけれど、カントの
もともとの発想の順序としては、どうもアンチノミーのほうが先
らしい。「世界」というのは感性的経験の対象ではなくて、物自体、
「超越論的対象=X」。
以上石川氏の本を手元においていいかげんにまとめてみただけなので、
自分で読んでみてくださいね。