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59名無しさん@お腹いっぱい。
両親の夫婦げんかを目の前で見ることくらい、子供にとって辛いことはない。

兄弟は顔を見合わせ、ため息をついた。
さっさと部屋に戻ろうにも、明日の仕事の打ち合わせがまだ終わっていないのだ。

「俺は聞いてないぞ、腐女子でふたなりでスカトロだと?」
「知らなくて当たり前でしょ、人に言えないから黒歴史なんだから」
「ずっとつきあってたのに、気がつかなかった……もしかして、お前、他にも隠し事が?」
「ないない、私の青春はコミケと同人一色だったから」
「青春って……。お、おれと付き合っていながら……」
「付き合うも何も、ずっと一緒にいたじゃない。ほら、空気のような存在って言うか、
家族同然って言うか、お互い緊張感はなかったよねー」
がっくりとおとうさんが肩を落とす。
机に両手をつくと、絞り出すような声で呻いた。
「お、おれは、いつもお前のことしか考えてなかったというのに……。
出会った瞬間に恋に落ちて、それからはずっとお前だけしか見てなかったのに」
お父さんの頭の中に、走馬燈のように、二人の思い出が駆けめぐる。
「今も覚えてるよ。笑顔で駆けてきて、きゅっと抱きついてから今日は何するの?って、
上目遣いで見上げるんだ。――あの頃のママは天使のようだった」
はあー、とママが息をついた。あきれたように吐き捨てる。
「昔のことじゃん」
「昔って……」
ちょっと涙ぐんだおとうさんに、ママが冷たく言い捨てた。
「覚えてるわけないじゃん。だいたい私が幼稚園に入ったとき、あんたいくつだったのよ。
保父が園児に恋するなんて、リアルなロリはエアーな腐より悪いって思わないわけ?」
「あ、愛に年の差は関係ない」
「年の差、じゃなくて年齢の問題! どこの誰が3歳児と恋愛しようと思うわけよ?
君のお漏らしパンツは僕が洗ってあげるからね、なんてにこにこして言いやがって!
恥ずかしくないのか、このド変態のスケベ親父」
「言ってはならないことを……ママ、ひどい」

二人の喧嘩は続く。兄弟はまたため息をついた。
腐女子の母に、リアルロリの父。両親の真の姿をこんな形で知りたくはなかった……。