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58名無しさん@お腹いっぱい。
私は決死の思いで宇宙船を操舵し、世界の果てと言われるこの場所――伝説の一族の元へとやってきた。
そう、彼らは金次第でこの世の全てのモノを跡形もなく消し去ることができる、破壊のプロ集団。
私は自分の未来を託すため、ここに来た。
決して人目に触れてはならない、あるものを完全に滅し尽くすために――。

「依頼者というのはあんたか」
突然、モニターに中年男の顔が映った。
年齢に応じた深みのある、苦み走った男の顔だった。
「初めての客には、作業前に説明を兼ねて我々の紹介映像を見て貰うことになってる。
仕事の話はそれからだ」
私は頷いた。
「では、始めよう」
画面が切り替わった。軽快な音楽が鳴り響き、そこに先ほどの男の姿が映った――。

『宇宙で鳴らした俺たち特掃部隊は、巨大隕石を処分し、宇宙塵を掃除させられたが、
銀河系を脱出して古巣に戻った。
しかし故郷でくすぶってるようなおれたちじゃあない。
筋さえ通りゃ金次第でなんでも吸い込んでのける命知らず、不可能を可能にし、
超大質量ブラックホールを使って素粒子レベルで破壊する、
俺たち特(殊清)掃部隊ブラックホール・ファミリー!

俺は父親、ジョン・スミス。通称おとうさん。
降着円盤形成の名人。俺のような天才策略家でなけりゃ、百戦錬磨の強者どものリーダーはつとまらん。

私は母親のエミー・アマンダ・アレン。通称ママ。
チームの紅一点、シュバルツシルト半径からの脱出はお手のもの。

お待ちどう、長男のマードック、通称クレイジーモンキーだ。
産廃処理の腕は天下一品。X線?宇宙ジェット?だから何?

次男のバラカス、通称コング。
重力場の天才だ。超新星でもぶんなぐってみせらぁ。でも、特異点だけは勘弁な!

俺たちは、道理の通らぬ世の中に敢えて挑戦する、頼りになる神出鬼没の
特掃野郎ブラックホール・ファミリー!
助けを借りたい時は、いつでも言ってくれ』

このまま帰ろうかと思った。真剣に。だが、私には他に頼る場所もないのだ。
「で、ブツはなんだい?モノによっちゃあ、かなりの額をいただくことになる」
おとうさん、が身を乗り出した。私は覚悟を決めた。
「この段ボールの中身を処分して貰いたい。極秘に、確実に、全てを、だ」
中には中学の頃に書いた詩集や高校の時に書いた萌え絵や、
学生時代に書いた触手系エログロホモ同人誌がぎっしりと詰まっている。
思い出すだけで首をくくりたくなる黒歴史なのだ。今も、びっしょりと背中に汗をかいている。
「……自分でゴミに出せばタダだよ」
鼻をほじりながらおとうさんが言った。そんな、と立ち上がると、横からママが引き取った。
「気持ちはよーくわかるよ、確かに引き受けた。安心しな――私も腐女子時代には
人外系ふたなり陵辱スカトロものに、どっぷりとはまったことがあったからね、人ごととは思えないのさ」

目をむくお父さん、壁際に下がる二人の息子――伝説の一族の家族会議が開かれたのは、
その夜のことであった。