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47名無しさん@お腹いっぱい。
玄関には誰もいなかった。
男は首を傾げながら扉を開け、外に出た。
外にもやはり誰もいない。
青空の下には瓦礫の山が広がっている。
彼の住む4階建ての建物を中心として地平線まで広がる廃墟の
中に人の気配を感じさせるものは何一つなかった。
風が吹き、砂塵が舞う。
ひび割れたアスファルトの路上に突き刺された日章旗が
激しくはためいていた。
男はふと足元を見た。
風に乗って空高く舞い上がろうとする紙切れが小石に
押さえつけられてもがいている。
男は紙切れを拾い上げ、そこに書かれてある文字を見て
ぎょっとした。
そこにはひと言、
「逃げろ」
と書かれてあった。
男は反射的にその紙切れをくしゃくしゃにすると、ポケットに
つっこんだ。
彼の体の中で急速に不安が広がっていく。
一体、誰がこんなことを書いたのだろうか。
男はファンと名乗った者がどんな人間だったかを確認するために
猫耳メイドを呼ぼうとした。
だが、彼は彼女の名前を知らなかった。普段なんと呼んでいたかも
思い出せない。
しかたがないので「おーい、おーい」と言いながら家中を探し回ったが
家の中には彼以外誰もいない。
いつしか不安は恐怖に近いものに変わっていた。
男は書斎に戻り、創作メモに書かれた内容を確かめようと机の引き出しを
開けた。
だが、そこには何も入っていなかった。