http://mimizun.com/log/2ch/peko/1274869145/

このエントリーをはてなブックマークに追加
172名無しさん@お腹いっぱい。
堀田の最大の武器は、そのカット能力。
 ひたすらカットをして、相手投手の消耗を待つ。長く投げさせる事で、チームメイトに少しでも相手投手の情報を流す。
 それは堀田がプロの世界で生き抜くために培った武器だった。もちろん、甘い球を痛打する打撃力も備えている。
 彼もまた、このプロという世界で必死にもがいているのだ。

「さて、仕事だ。ホラ、行った行った!」

 矢田は宗田を座らせた。そして、一年ぶりの戦闘を開始する。
 最初の相手は九番に入った代打の新人。矢田はいつものように振りかぶり、復活の一球を投げた。ボールはブーンと音を立てミットに収まり、同時に爆音と共にバットが空を切る音がする。
 そして審判のストライクコールと共に歓声とどよめきが沸き起こった。

 その球速はーー153km/h。

 見ていたファンも、チームメイトも、そしてボールを受けた宗田でさえ驚いた。
「矢田はまだ、これほどの球を投げられるのか」とーーーー

 代打に送られたルーキーはあえなく三振する。変化球は必要無かった。ただ、その速球を見せ付ければよかったのだ。

「凄い‥‥!やっぱり矢田さんは凄い!」
 宗田はそう思わずにはいられなかった。続く1番打者は、速球とチェンジアップで簡単に打ち取れた。矢田の速球に恐れをなし、子供だましのチェンジアップに対応出来なかったのだ。
 そしてついに、堀田がバッターボックスへ立つ。その目は既に何かを確信しているようだった。

「矢田さん‥‥‥球速くなってるね。リリーフだから力加減考えなくていいもんね」
「ええ。でももともとこんなモンですよ」
「そうだっけかぁ?ははは」

 堀田は不敵な笑みを浮かべる。宗田は察知した。矢田にフォークが無い事がバレていると。 フォークが無いからこそ、力で捩伏せるべく矢田は速球に力を込めていた。
 堀田の能力であれば、たとえ150km/hを超える真っすぐでも、それだけでは簡単には打ち取れない。