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139名無しさん@お腹いっぱい。

「この『鬼風』は、自然を操れる念珠です。…多分」
 斎のその示唆を確りと記憶し、京也は再び愛車を走らせた。

 深夜二時、京也は十字路に五芒星を描き、その中心に職場の注射器で抜いた自分の血を数滴垂らす。直後、空間に亀裂が生まれ、目標が現れた。
 眼前には人間大のサラセニア、空を往く体長約5mの蠍、更にそれと同等の体躯を持つ蜂。
 京也は怯む事なく愛車を降り、「召鬼」の念珠を取り出した。同時に腰に骨盤状のベルトが生じ、瞳は紅く輝き、心の奥底より殺戮を求める鬼が騒ぎ出す。
 呼吸を整える京也。殺戮本能はこの妖魔共にのみ向けねばならない。念珠を握った右拳を左腰にあて、それを右へスライドさせる。
「…変身!」
 その言葉がいわば始動キー。ベルト中央の宝玉より力の嵐が生じ、京也を包み姿を変える。
 白い外骨格に包まれたカマキリに似る鬼神=仮面ライダー。
 敵の出現を待ちわびていた妖魔が各々の武器を繰り出す。
 蠍は尾とハサミを振るい、人食いサラセニアは溶解液を吐き、巨大蜂は尾から無数の毒針を銃弾のように掃射する。
「鬼馬」の念珠で愛車をスカルゲッターへ変型させた仮面ライダーはそれらの攻撃を回避し、斎から示唆のあった「鬼風」の念珠をベルト左側より呼び出す。
「時間は掛けたくない。一気に決める!」
 取り出した「鬼風」をベルトに読ませる。同時に仮面ライダーの体へ異変が生じた。
 紅く輝くベルト中央部、両眼、第三の目は紫へ変色。鋭く天を向く肩角は二の腕を保護するように下部へ曲がる。外骨格に守られた全身の黒い強化筋肉も各所に紫のラインが走る。
 姿を変えた仮面ライダーは、休む事なく念珠「鬼槍」をベルトへ読ませる。同時に彼の拳部分の外骨格が増殖、一部が拳から離れ、空中で更に変形、肥大化する。
 蜂の針を跳躍でかわし、肥大化した外骨格細胞を掴む。その形状は、長槍だった。姿を変えた仮面ライダー=「ディザスターフォーム」の専用武器「鬼槍ディザストスピアー」だ。
 蜂の放つ毒針を薙ぎ払い、サラセニアの胴を正面から突き、そのまま地に叩きつける。更に地面へ槍を刺し、空中から襲い来る蠍を蹴り飛ばす。
 三匹とやや距離を置けたが、サラセニアが吐いた溶解液が仮面ライダーの外骨格を僅かに溶かす。
 この飛び道具を脅威と見た仮面ライダーは、ベルトへ「氷鬼」の念珠を読ませる。瞬間、仮面ライダーの周囲に猛烈な吹雪が生まれる。