ロシア語の記号だけが文字化け。

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2かおりん祭り ◆IidAAeuI
 月末になるとゆうちゃんは薄い給料袋の封も切らずに
 必ず横町の角にある郵便局へとび込んでゆくのだった
 仲間はそんな彼をみてみんな貯金が趣味のしみったれた奴だと
 飲んだ勢いで嘲笑ってもゆうちゃんはニコニコ笑うばかり
 僕だけが知っているのだ彼はここへ来る前にたった一度だけ
 たった一度だけ哀しい誤ちを犯してしまったのだ
 配達帰りの雨の夜横断歩道の人影に
 ブレーキが間にあわなかった彼はその日とても疲れてた
  人殺しあんたを許さないと彼をののしった
  被害者の奥さんの涙の足元で
  彼はひたすら大声で泣き乍ら
  ただ頭を床にこすりつけるだけだった
  それから彼は人が変わった何もかも
  忘れて働いて働いて
  償いきれるはずもないがせめてもと
  毎月あの人に仕送りをしている
 今日ゆうちゃんが僕の部屋へ泣き乍ら走り込んで来た
 しゃくりあげ乍ら彼は一通の手紙を抱きしめていた
 それは事件から数えてようやく七年目に初めて
 あの奥さんから初めて彼宛に届いた便り
 「ありがとうあなたの優しい気持ちはとてもよくわかりました
  だからどうぞ送金はやめて下さいあなたの文字を見る度に
  主人を思い出して辛いのですあなたの気持ちはわかるけど
  それよりどうかもうあなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」
   手紙の中身はどうでもよかったそれよりも
  償いきれるはずもないあの人から
  返事が来たのがありがたくてありがたくて
  ありがたくて ありがたくて ありがたくて
  神様って思わず僕は叫んでいた
  彼は許されたと思っていいのですか
  来月も郵便局へ通うはずの
  やさしい人を許してくれてありがとう 
  人間って哀しいねだってみんなやさしい
  それが傷つけあってかばいあって
  何だかもらい泣きの涙がとまらなくて
  とまらなくて とまらなくて とまらなくて