米Appleは、モバイルOS「iOS」に搭載していた、プロテクト解除(Jailbreak)済み端末を検知する機能をいつのまにか削除していた。
米メディア各社(PC Magazineなど)が米国時間2010年12月10日に報じたところによると、最新アップデート「iOS 4.2」で削除されたという。
Appleは、6月にリリースした「iOS 4.0」にJailbreak検知APIを初めて導入した。
ファイルシステムに変更を施すJailbreak行為は、企業のネットワークにとってセキュリティの脅威となる。
Jailbreakされた「iPhone」スマートフォンなどから企業ネットワークにアクセスすると、エンドユーザーが意図しなくても
悪意のあるプログラム(マルウエア)をネットワーク内に呼びこむ危険性がある。
そのため、Jailbreak検知APIはモバイル端末管理(MDM)APIの一部として提供したものだった。
米AirWatchや米Sybaseなどが採用していたという。
AppleがJailbreak検知APIを削除した理由は定かではないが、Sybaseなどは「同APIがなくても別の手段でJailbreak済み端末を検出できる」としている。
Sybaseエンジニアリング担当バイスプレジデントのJoe Owen氏は、「同APIは補助的に組み込んでいたものであり、誰も同APIの存在についても
無くなったことについても聞いてくる人はいない」と語った(InfoWorldの報道)。
iPhoneのJailbreakを巡っては、合法的に取得したソフトウエアの使用を可能にするための行為でフェアユースの範囲と主張する
電子フロンティア財団(EFF)と、iPhoneの著作権付きコンピュータプログラムの保護技術を破壊する違法行為だと主張するAppleが対立していた。
しかし、米著作権局が今年7月に発表したデジタルミレニアム著作権法(DMCA)の見直しにより、Jailbreakは同法の追及を受けないことになった
(関連記事:iPhoneのJailbreakは違法にあらず、DMCA見直しで適用免除に)。
ただしAppleは、Jailbreakされた端末は保証を受けられないとしており、Jailbreak行為により端末が損傷を受ける可能性があると警告している。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20101213/355154/