「漫画文化を絶やさないようにしたい」――漫画家の赤松健さんは12月6日、絶版漫画を無料配信し、広告収益を作者に
還元する「Jコミ」について説明する記者会見を都内で開いた。「ラブひな」に続き、今後はジャンプ連載作品なども公開。
広告を出稿する企業を募っている。正式オープンは来年1月10日の予定だ。
Jコミは、絶版漫画に広告を入れ、PDF形式で無料配信するサイトで、11月26日にオープン。まずβテストとして「ラブひな」
全巻を、広告付きで無料公開。初日に4万5000ダウンロードあり、12月3日までに170万DLを突破。広告クリック率は10%
近かったという。
「ラブひな」の配信実験時は広告を無料で出稿してもらっていたが、β2テストでは、企業から広告費をもらって広告を掲載し、
広告代理店の手数料を除く広告収益はすべて作家に分配。その額を公開する。収益の見通しを示した上で多くの漫画家の
参加を募り、来年1月10日の正式サービスにつなげる計画。漫画内で広告を配信したい企業も募集中だ。
β2テストは、少年ジャンプの佐々木尚編集長から賛同を得るなど集英社も協力。講談社の取締役陣からも協力を取り付けた
といい、「参加する漫画家の安心感につながるのでは」赤松さんは期待する。
Jコミは、「漫画を読むという文化を絶やさないようにする」ための試み。絶版という「埋もれてしまう寸前の漫画を救済し、
漫画を文化として救済していきたい」と意気込む。
同時に、ネット上で違法に流通している漫画ファイルへの「唯一の対抗手段」とも。ファイルはDRMフリーでコピーし放題。
コピーされればされるほど広告も複製され、漫画家の収益が拡大するというモデルだ。
「もうけようとは思っていない」ため、収益はすべて作家に還元。Jコミの運営費は、トップページのバナー広告などからまか
なう計画だ。
来年1月の正式公開以降は、ユーザーがアップロードした漫画PDFファイルに広告を付け、作者の許諾を得た上で配信したり
、翻訳漫画を海外に配信したり、原作者が許諾した同人誌もJコミから配信する――といったことにも挑戦していきたいという。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1012/06/news069.html