中国のFoxconn Technology Groupで5月26日深夜、今年に入って12件目の自殺事件が起きた。同社が中国の主力工場を
記者団に公開し、米国Apple、Dell、Hewlett-Packard(HP)といった顧客がこの問題の調査を約束したばかりだった。
Foxconnは、台湾のHon Hai Precision Industryのトレードネーム。関係者によると、Foxconnはすでに自殺防止策を実施して
おり、飛び降りた人を受け止めるネットを建物に取り付けるなどの追加対策を進めているという。
年初からこれまでにFoxconnの中国の従業員12人が同社の構内で飛び降り自殺を図り、このうち10人が死亡している。
深センの公安省によると、26日深夜には、ハン(Han)という姓の23歳の男性が深センにあるFoxconnの龍華工場敷地内の
建物から飛び降りて死亡した。この敷地内には生産ライン、従業員向けの宿舎とカフェテリア、スポーツ/娯楽施設などがある。
Foxconn従業員の相次ぐ自殺は世界的に話題を呼んでいる。同社はEMS世界最大手であり、AppleのiPhoneやDell、HPの
PCなど、有名IT企業の製品を製造しているからだ。
Foxconnは、一部の報道は不正確だとしている。同社は中国で54万人以上を雇用しており、同社従業員の自殺率は、中国全体
の平均である10万人当たり12人よりもはるかに低いという。
それでも、Foxconn経営陣は注目を浴びており、同社はさまざまな自殺防止策を講じている。今年、中国工場の従業員への
精神的カウンセリングのために仏教僧を招いた。また、精神科医も招いてカウンセリングの提供を受けた。
一方、Foxconnは、世界各地の工場で事件が続発していることでも厳しい目を向けられている。有名な事件としては、中国で
昨年、第4世代iPhoneのプロトタイプが紛失したあとで若いエンジニアが飛び降り自殺した。
こうした事態についてAppleは、「Foxconnで最近自殺が相次いでいることを深く悲しんでいる。(中略)われわれは、この悲劇的
な出来事に対処するための措置を検討している」というコメントを発表した。
26日深夜の自殺は、Foxconn会長のテリー・ゴー氏が大人数の記者団に龍華工場の構内の施設を見せて回り、最近の自殺の
続発に関する記者会見を行った直後で発生した。
http://www.computerworld.jp/news/trd/182909.html