http://japan.zdnet.com/cio/sp_12mikunitaiyoh/35032346/ Googleと英国議会との法人税(節税)をめぐるやりとりについては、この連載でも何度か紹介してきたが、
ここに来てこの闘いが一気に加熱してきたようだ。現地時間5月18日には、GoogleのEric Schmidt会長が記
した寄稿記事がThe Observerに掲載され、またこれを追いかけるように同19日には同社英国法人の元幹部
による「内部告発」の記事がThe Sunday Timesに掲載されていた。
Eric Schmidtが20日に「Business Advisory Group」と称するメンバーの一員として、David Cameron首相ら
との会見を予定していたことは、前回の記事に記した通り。また16日に英下院Public Accounts Committee
(以下、PAC)にGoogle担当幹部が呼び出され、「本当に英国法人では取引のクロージングに関わる業務は
行っていないか」と改めて詰問されていたことも前回触れたとおりだが、下記の動画はその委員会の模様を
映した映像。
(動画の中で、メガネをかけた年配の女性がMargaret Hodge委員長、そしてグレイのジャケットを着用した男
性がGoogle担当幹部のMatt Brittin。この映像からも相当激しいやりとりが交わされていたことがうかがわれる)
今回Sunday TimesにGoogleの節税の手口を告発したBarney Jonesという元社員は、2002〜2006年に同社
英国法人に在籍し、Google幹部が上記のやりとりのなかでも繰り返している「ロンドンにいる英国法人のスタッ
フは、英国顧客へ営業活動・取引には関わっていない」「英国の顧客が取引している相手はアイルランド法人」
という主張を覆す証拠--あわせて約10万件もの電子メールや書類を保有、これを英国の国税当局にあたる
HM Revenue and Customs に提出する用意があるとしているという。またJonesがすでにPACで証言しており、
これが(上記映像にみられる)Hodge委員長の激しい詰問につながった、などとSunday Timesは記している(註1)。
Barney Jonesの話によると、Googleでは幹部の証言とは裏腹に、実際にロンドンにいる営業スタッフが英国内
の顧客との交渉や契約締結をしており、また顧客の代金振込用口座も英国内にあるものを使っていたという。
ただし、こうした証言や証拠が法的に有効なものと認められるかどうかは今のところ不明だが、今後の議論に
向けて大きな火種となったことはほぼ間違いなさそうだ。
なお両国の法人税率は、英国が23%に対し、アイルランドは12.5%と半分に過ぎず、Googleの業務に関して
英国のスタッフが関与したことが立証されれば、当然課税の基準は英国のそれになると思われる。NYTimesで
は「Googleの英国における売上高は2011年に30億ポンド以上、それに対して同年の納税額はわずかに600万
ボンド」、またReutersでも「売上41億ドルに対し、納税額は600万ポンド(約900万ドル)」などとしていた。
今回の件で、仮にGoogleのこれまでの説明が偽り(misleading) であったとなれば、「合法的な節税行為」とい
うGoogle(や他の企業)の主張の根拠が失われることにもつながりかねない。
さらに、来月北アイルランドで開かれるG8サミットに向けて、「多国籍企業には支払うべきものを支払わせる。
それが優先課題」とすでに明言しているCameron英首相あたりも、これまで以上に断固たる対応を迫られること
になる可能性が高い。
一方、GoogleのEric Schmidtは寄稿記事のなかで、一連の批判をかわすべく、「法人税の課税対象は利益で
あるべき(売上高ではなく)。ただし、利益の元となる価値が売上の生じた国・地域で生み出されたものとは限ら
ない」「Googleは(価値の大半を生み出している)米国では年間20億ドルも税金を支払っている」「利益を汚いも
ののように言うが、新たな投資ができるのも利益があってこその話。投資ができなければ、そこから新たな雇用
やそれを通じた新たな個人からの所得税を生み出すこともできない」などと、ほぼ従来通りの主張を一通り展開。
そして「この税制に関わる議論を前に進め、現行のものよりも明快かつシンプルな税制システムの策定につな
げることがわれわれの願い」としてエッセイを締めくくっているものの、これまでにBloombergの調査報道などを
通じて伝えられているような節税対策の諸策についての言及もむろんなく、「自分たちにとって都合の良い内容
しか書いていない」と言った主張に終始している印象だ(註2)。
さらに、各国間の法人税の改訂が仮に実現して、政府の税収が増えたとしても「イノベーションや経済成長、雇
用創出にマイナスの影響が出る可能性もある」とか、あるいは「Googleでは例えばロンドンに新拠点を設け、
インターネット検索大手グーグルの「サジェスト機能」で犯罪行為への関与を連想させる単語が表示され名誉を傷付けられたとして、東京都内の男性が米国のグーグル本社などに表示差し止めを求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。
本多知成裁判長は男性側の請求を棄却した。(産経新聞)
1月2日(ブルームバーグ):検索エンジン最大手の米グーグルのエリック・シュミット会長は、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)の台頭を見逃したことが、同会長が犯した最大の過ちだとの認識を示した。
シュミット氏は昨年12月30日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「会社を守るため多くのことに取り組んで忙しかったが、この分野にも進出すべきだった。私の責任だ」と語った。
シュミット氏は2001年から会長に就く11年まで最高経営責任者(CEO)を務めていた。
グーグルは当初、04年に始まったフェイスブックにほとんど注意を払わなかったが、フェイスブックはその後世界最大のSNSとなった。
フェイスブックとグーグルはオンラインやモバイルの広告収入獲得を競っている。