オーディオのロマンを語ろう パート3

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836エピソード4 続き
「謎国」に密航したとたんに官房長官EMGはちょっと帰りたくなった。予想した
楽園とはなんか違うような感じがした。ただ楠公爵や麻彦殿と一緒にトンズラは出
来なかった。官房長官は国王の片腕である。ただ今回はこの地位が恨めしかった。
国王を責めるわけにはいかないし、裏帝国でキルロイと遊んでいた方が良かったと
思っても、もう遅い。国王に適当に相槌を打って時間稼ぎするしかないか。帰った
ら禁酒を破りしこたま呑み、寺か神社の境内でひっくり返り、天を仰ぎながらベガ
やアルタイルに話しかけるのが自分にとっての『実穏』でありロマンなんだと言う
ことがおぼろげながら解ってきたEMGであった・・・

「謎国」に密航したとたんに労働大臣カンチレバーさえちょっと帰りたくなった。
予想した楽園とはなんか違うような感じがした。周りを見渡すと広報大臣楠公爵
はうなだれ、厚生大臣麻彦の目は宙を泳ぎ、官房長官EMGは国王の顔色を上目
遣いに窺っていた。カンチレバーは最初「謎」に対し好き放題言い放ったが、国
王の立場がなくなることに気づき軌道修正した。努めて「謎国」の参考になる点
を捜そうと苦慮した。労働大臣として、○は○、×も○との上昇志向がなければ
この不景気を乗り切れないではないか。民衆に希望を与えるのだ・・・

国王TKは鬱であった。先に帰還した広報大臣はその名の通りすべてを民衆に伝達
するであろう。マイッカのステレオデジラマで撮りまくっていたではないか。テラ
星の派遣モームス達とジャポン酒コシノカンパイを用意しておくべきだったのか。
厚生大臣も民衆のことを考えればかなり否定的な発言になるであろう。「謎国」の
混浴温泉を予約しておくべきだった。官房長官と労働大臣は、まあ大丈夫だろう。
いや寝返るかもしれない。そのときは裏帝国に行こう。あのパラレルワールドも、
元来自分が作ったものだ。その際はキルロイを官房長官に格上げしてやれば良い。
いやそんなことはどうでも良い。何故大臣たちは自分の杓子でばかり物事を計るの
か。もっと大きな心で対峙すべきではないか。民衆に煽られたからと言って大臣た
るもの、自分を守るだけでいいのか。それが民衆のためになるのか。仮にどんな
粗穏だったにしろ認めるべきところは有ったし、礼を尽くすべきではないのか。
これは線香花火で終わらせてはならない。もっと長いスタンスで取り組むべきである。
ここまで考えた国王TKはやや安堵のため息をついた。その顔には精気がみなぎり
つつあった。

再封印されてしまったのかオクトパス爺の『虚穏封じ』。オ艶ダイン卿の『穏力』とは
なにか。キルロイ考案に発したカンチレバーの『カンチメソット』は完成するのか。
国王TKより『謎の実穏』の構成は発表となるのか・・・
熱帯夜にそぼ降る霧雨。夏はまだ続く・・・