オーディオのロマンを語ろう パート2

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791エピソード V
TK帝国の民衆は皆、幸福になりたかった。いや、今までも幸福であったに違いな
い。ただ「謎」の『財力がなくても虚穏をなくし幸福になれる』教えをただひたす
ら待ち続けていた。「謎」の説法を聞き逃したら末代まで影響を及ぼすのは必至で
ある。そのため民衆のだれもが仕事を投げ出してしまった。帝国の国益は2つの輸
出でまかなっていた。国王家に代々に伝わるクランゲル時代やウェスターニン時代
の歴史的古物骨董。もう1つは亡命識者を受け入れてから発展した全宇宙語自動翻
訳機の開発と製造であった。しかし輸出は絶え帝国民の貧困は目に余る物があった。
各地で暴動が起こり、統制役のキルロイも王朝から破門同様であった・・・

「謎」の説法は続いていた。民衆はズタズタであった。しかし数名の識者達が力を
振り絞って「謎」の対応に奮闘した。対帝国大臣・歓祭人は帝国を過去に何度も救
った穏健な紳士である。民衆の怒りでヘソを曲げないように「謎」に対し大人の対
応で接客した。説法の確信に迫るために2名の官僚も立上がった。惑星貿易大臣の
K&Kと帝国娯楽大臣ツキナミである。K&Kは宇宙缶詰帝国の皇族であったが、
第3次・夏の大三角戦争の際にTK帝国に亡命した識者であった。ツキナミはセー
ラームーン帝国の王子であるが親善交流の立場でTK帝国に任命されていた。しか
し「謎」のノラリクラリとした態度には苦虫を潰さざるを得なかった。

実穏を夢見た民衆達の希望は今や怒りにさえ変化しつつあった。民衆の今の現実を
見ても何もしてくれない国王と長老幹部達に疑いの目をむける輩も出現し始めた。
帝国の産業は全く機能を失ってしまっていた。かつては人気の高かった月刊誌「ス
テテコ」は虚音評論家Dr・ISHIDAの失脚で廃刊となり、週刊誌「フォース
カ」は国王と長老幹部の資産番付をスクープしたがやはり廃刊に追い込まれた。民
集の怒りは頂点に達しつつあった・・・

民衆の疑いは多種に及んだ。国王達と「謎」は裏取引をしてるんではないのか?そ
して協力して洗脳をねらっているのか?。はたまた国王=「謎」であるという珍説
まで現れる始末。帝国は末期的症状に陥っていた。

帝国の滅亡近しを予感したある男がついに腰を上げた。元帝国軍の騎士長であり、
オクトパス爺と同様「穏力」の持ち主といわれる、オ艶ダイン卿である。もし、
「謎」が『財力がなくても虚穏をなくし幸福になれる』教えを公開しない場合は
私なりの「穏力」を民衆に公開しよう・・・・・騎士長は帝国を救えるのか・・・

はたまた、キタオ翁の死に目にあえなかった官房長官EMGは何故?「謎」が老人
であるような発言をしたのか?それも「謎」が自ら年齢を暗示する前に・・・
これは怪しいではないか・・・

民衆のクーデターを恐れたTK帝国の最高幹部であり、長老幹部達の影の橋渡しと
して暗躍する帝国広報大臣・楠公爵がようやく衆前に姿を現した。そして、言い放
った。私が「謎」の教えを体験できた暁には噛み砕いて公開しようではないか・・・

今後の「謎」の行動は? 国王の信頼は戻るのか? 帝国の運命は? 今後のカギ
を握るのは官房長官EMGなのか? オクトパス爺からの使命は? 広報大臣・楠
公爵のスケジュールは? 民衆の待望論が大きくなりつつある特攻隊長キルロイの
所在は・・・

7月の長く暑い夏はまだ続いている。8月5日まであと10日。