オーディオのロマンを語ろう パート2

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109音の謎
英語辞書でharmonicsの訳は「倍音」とある。ところがharmonicsが
意味するところは「調和、和音、ハーモニー」であって、言葉通りの「倍音」ではない。
初心者が勘違いして、500HZ、1000HZ、2000Hz、4000HZ、
8000HZ、16000 HZ、……、というふうに倍倍ゲームで限りなく高域を伸ば
すことが倍音を出すことと思ってしまう。この認識を抜け出すのに10年、下手すると
30年、死ぬまで分からぬ人もいる。この誤訳は日本のオーディオを駄目にしてきた元凶である。倍音とは単一音の周辺に漂う雰囲気音、複合音で響き出すハーモニーのことである。独唱とコーラス、楽器の単音と和音、を考えれば誰もが解る。共に高周波ではない。
SP盤を蓄音機で鳴らしてせいぜい5000HZ迄の帯域で、感動的な音楽が鳴るのは
ハーモニー(倍音)が出ているからである。倍音は高周波帯域を出すことではない。
自然音、アコースティックな生の音には倍音が備わっている。ところが電気再生音には
倍音が貧弱である。アナログ再生でも不十分であるが、CDデジタルの音は倍音が皆無
の情けないレベルである。この倍音は録音の良し悪しで直るものではない。録音がいCD
の音には感心はするが、音楽的に何の感動もしない理由はここにある。電気再生におい
てアコースティックな自然音を再生するには、倍音(ハーモニー)の増幅技術がどうし
ても必要になるのである。この技術はスーパーツイーターを付けて超ハイ帯域を鳴らす
ことではない。ただでさえ厄介な高域歪みは高域を出せば出すほど、ますます出てしまう。
肉声や楽器の音から、ガラスを釘で引っ掻いても出ないような超高域音が出る訳がない。
以上のことは常識ではあるが、お金儲けのビジネスとなると、常識が抹消されて、世の中
はお金を使うように仕向けるベクトルが優先されてしまう。これに騙されることのないよ
うにしなければならない。人間がDNA聴覚で感知する音の認識は昔も今も同じであって、
時代と共に進歩するものではない。