オーディオのロマンを語ろう

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294Eurodyn使い
23年も昔のこと、頻繁に立ち寄っていた店で換気扇のような
形のフロントグリルが付いている得体の知れないスピーカーと
出会った。なんでも、Siemens のスピーカー・ユニットで
Coaxial というらしい。そのユニットは、見慣れない形の箱
(後面解放箱)に取り付けられていた。

その時、そのスピーカーからは音が出ていた。音楽性云々以前
に私には違和感の固まりが音になって出ていたとしか思えなか
った。アンプ、レコード・プレーヤーの組み合わせは定かでな
いが、プリアンプはマークレビンソンの JC2、カートリッジは
SPU-AE、ヘッドアンプにマークレビンソンの JC1DC だったと
思う。その当時、その店でよく使っていた組み合わせである。

その頃の私は、分不相応にもマークレビンソンの透明な音が大
好きだった。しかし、このスピーカーからはマークレビンソン
の良さが全く聴こえてこない。私には苦痛を感じるような音し
か出ていなかったが、脅迫感にも似た説得力に圧倒されていた。

これが、私と Siemens/Klangfilm との出会いである。この脅迫
感にも似た説得力に魅力を感じるようになるのには、その後数
年を要した。更に關本試聴室を訪問して、この脅迫感にも似た
説得力の虜になってしまった。この強烈な説得力を味方に引き
入れ、表現力とする音造りがあることに驚愕してしまったので
ある。

以後、オーディオ装置に求めるものが一変してしまったのは言
うまでもない。