・・もう20年にもなるだろうか、当時私は惑星タイタンの戦役へかりだされていた。
あの頃を思い出すたびに右足の古傷が痛むのだ・・
惑星タイタン・・
長引く戦いが人の心を蝕み、武器の横流しやスパイが横行し、沢山の兵士が失われた。
敵は一歩も引く気配がなく、食料も弾薬も徐々に尽き果てようとするその時に
予想外の敵の猛攻を受けた。
コロナのように燃え盛る炎が陣地を燃やし、私は逃げ延びるのがやっとだった。
昼は灼熱地獄となる砂漠も安らかな月の光に照らされ静まり返っている。
私は右足の傷にうめきながらも夜を徹して歩き続けた・・
日が昇り、わずかな時間に灼熱の大地と化す熱砂が私の歩みを止めるのにさほど
時間は要しなかった。うめくように私は倒れこみ、何もないはずのポケットを
探るとひやりとした感触に手を止めた。
これは・・アクロテック6N-A2010ッッ!!
そうだ!私の青春はいつもアクロと共にあったのだ。アクロが奏でるコルトレーンに
感涙し、今は亡き戦友もアクロに共感しアクロと共に泣いてくれた。
その思いを込めたケーブルを私は肌身離さず持っていたのだった。
私は最後の力を振り絞り、果てない砂漠を歩き続けた・・