「アキュフェーズ」ってそんなにいいの?

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262アニタ・オディ
私が自分の歌にすっかり自信をなくして「もう歌うのは止めよう」と落ち込んでいたある日、
突然1人の見知らぬ男が現れて、私を無理矢理1軒の店に連れて行ったのです。
古ぼけたうす暗い店でした。そこでかかっていたのは、私の歌のCDでした。
「やめて!聴きたくない!」と私は叫びました。すると男は、
「いいから聴くんだ」と言って力ずくで私をスピーカーの前に座らせました。
仕方なくしばらく聴いていました。するとなんだかとても素敵な歌声に聴こえて
きたんです。
それまで嫌いだった自分の声とはまったく違う、なにか命の輝きにみちた歌声でした。
その時、男は
「アキュフェーズ」
と、ひとこと低い声で言いました。私にはなんのことかわかりませんでした。
でも私はそんなことはどうでもよくて、もっとこの歌を聴いていたいという
気持ちでいっぱいになっていたのです。
曲が終わった時、私は「もう一度歌おうかな」と思いました。
私を連れてきた男はいなくなっていました。「さっきまでいた人はだれ?」
私は店の主人に尋ねました。
主人は「バードだよ。知らなかったのかい?」と言いました。

それが私と『バード』そしてアキュフェーズとの出会いだったのです。
               
                 「チャーリー・パーカーの伝説」より