654 :FROM名無しさan:2006/06/24(土) 20:53:32
自動車絶望工場―ある季節工の手記 講談社文庫
鎌田 慧 (著)
働く喜びって、なんだろう。
毎日、絶望的に続くベルトコンベア作業の苛酷さ。
現代の矛盾の集中的表現としての自動車は、労働の無内容さと人間の解体を満載し、
排気ガス、石油資源などの諸問題を前にして、いま大転換を迫られている。
自ら季節工として働いた体験を、生きいきと再現した傑作ルポタージュ。
ttp://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061830961/hatena-22/ref%3Dnosim/249-1769766-8505935 75 :FROM名無しさan:2006/06/27(火) 20:42:52
鎌田慧『自動車絶望工場』(講談社文庫、122ページ、5行目)
新しく入ってきた一人の労働者が、“定着”するまでに多くの労働者が脱落していき、一方的に決められているスピードに追い
つくのに、僕のように1ヶ月もかかるコンベア労働は、“不熟練“とも簡単にいえないような気がする。ミッション組付けの全行程
をこなせるのは、組長、班長、準班長の三人だけだが、この三人は不熟練工ではないが、熟練工でもない。半熟練とも違う。
初めから熟練の概念の埒外に置かれた、“反熟練“といった方がぴったりするような気がする。「単能工」ともいわれるが、これ
がはたして能力と呼べるものだろうか。これは苦役でしかない。黒いカーテンの内側でじいっとエネルギーを蓄える姿がもっとも
象徴的だ。豊田佐吉が発明しようとしたという「無限動力」という単語がしきりに思い起こされる。