労働基準法や労働安全衛生法などの違反に関しては、従来は労働基準監督官によ
る取締や助言・指導・勧告などを通じて間接的に紛争解決がなされるケースが多く
みられましたが、監督の対象は労基法等の所定事項に限られるという問題がありま
した。そこで、1998年の労基法改正により、都道府県労働局長が、個別紛争一
般(次にみる男女雇用機会均等法上の紛争などを除きます)について、紛争当事者
の求めに応じて助言・指導を行う紛争解決援助制度が設けられました(第105条の3)。この制度は、さらに拡充することが検討されています。
男女雇用機会均等法のもとでの紛争については、同様に、都道府県労働局長が紛
争当事者の求めに応じて助言・指導・勧告を行う制度(第12条)がありますが、
また当事者の少なくとも一方からの申請があり、都道府県労働局長が必要と認めた
場合には、機会均等調停委員会による調停制度があります(第13条)。また、直
接の紛争解決手続ではないものも含みますが、職業安定法違反については、厚生労
働大臣の指導助言(第48条の2)や、申告に基づく厚生労働大臣の措置(第48条
の4)、公共職業安定所での相談・援助(第51条の3)等の制度があり、労働者派
遣法についても同様です(第48条、49条の3、52条)。