アサーティブの学習をすれば、トラブルは減っていきます!
1 研究の基本的な考え方と活動計画
(1) アサーティブな自己表現力
日本にアサーション・トレーニングを取り入れた平木(1993)は,「アサーティ
ブとは,自分も相手も大切にした自己表現」と述べている。私は,この考え方を参
考に「自分の考えや気持ちを素直にしかも相手のことも考えて表現する力」をアサ
ーティブな自己表現力と考えた。アサーティブな自己表現には,言語的表現と非言
語的表現があるが,本研究では,言語的表現について研究を進めた。
(2) アサーティブな自己表現力の育成に必要な要素
アサーティブな自己表現力を育成するには,三つの要素が必要だと考えた(図1)。
一つ目は,「考えや気持ちを明確にする」ことである。自己表現をするために
は,
相手に伝えたい自分の考えや気持ちが明確であることが必要である。明確であれ
ば,相手に分かりやすく伝えることができると考える。
二つ目は,「アサーティブな自己表現の仕方を身に付ける」ことである。伝え方
によっては,自分や相手を傷付けてしまう場合がある。アサーティブな自己表現の
仕方が身に付いていれば,自分も相手も気持ちのよい自己表現をすることができる
と考える。
三つ目は,「自己肯定感を高める」ことである。自己を肯定的にとらえ,「自分
の伝えたいことは伝えていいんだ」という自信があれば,自分に素直に自己表現を
することができると考える。
以上,三つの要素を高めることが必要だと考えているが,本研究では,二つ目
の「アサーティブな自己表現の仕方を身に付ける」ことを目指した。それは,社会
環境や家庭環境等の変化から,児童がよりよい自己表現の仕方を学ぶ機会が少な
くなっており,その機会を学校教育の中にも設ける必要があると考えたからである。