★生徒にさせたくない/フリーター県内事情
・フリーターと呼ばれる若者たちは、この国にどんな影響を与えるのだろうか。
「夢を追うため」「仕事にやりがいを感じない」「職がない」……。動機は様々
だが、その数は確実に増えている。
「フリーターを続けていたときは考えが甘かった。2度とやりたくない」。広島市の
男性(27)は話した。正社員とフリーターをともに経験した立場から、「結局
アルバイトには責任を与えられず、会社に利用されているだけだ」「フリーターを
続けて30歳を超える自分の姿を想像したくない」と話した。
広島県では今年3月末の求人倍率が1・5倍を超えたことなどから、新規高卒者の
就職率は92・4%と、前年より4・2増えた。だが、高卒の就業者が1年で
約4分の1、3年で約半数が会社を辞める現状がある。
「どうして私から視線をそらすんだ」
5月下旬、県立松永高校の3年3組。厳しい声が放課後の教室に響いた。
教師2人と生徒が向き合う模擬面接会場だ。生徒が教室の外からドアをノック
して入室し、「よろしくお願いします」と頭を下げて着席する。少しでも気を抜いた
動作があると、やり直しだ。教室は緊張に包まれていた。
指導役は元日本鋼管(NKK)技術者の田中邦男さん(60)。県教委が就職の
スペシャリストとして採用する「ジョブ・サポート・ティーチャー(JST)」の一人だ。
県教委は02年からJST制度を導入。現在、6人が県立高校12校で指導に
あたっている。制度の導入後、松永高の就職率は90%以上に安定した。
個別面談や進路説明会など年間の指導時間は授業外も含め計約250時間に
及ぶ。田中さんは「大切な生徒を先が見通せないフリーターにはさせたくない」と話す。
http://mytown.asahi.com/hiroshima/news01.asp?kiji=3719 ※画像: 「ひろしま若者しごと館」を訪れる若者たち=広島市中区で
http://mytown.asahi.com/hiroshima/images/pic1_3719.jpg