ガードマンは信頼されていない。
たよりにされていない。
テレビ番組で20何億の金を運んできたガードマンを見て、
一人の女司会が言った。
「ガードマン一人じゃ足りないね」
この一言の中に女の、そのガードマンに対する考え方が
嫌というほど感ぜられた。
女一人にすら頼りにされていないガードマン。
何が防犯か、警備か。
こんな金で命張ってまで馬鹿にされて居たくないと思うこともある。
ガードマンは汚いし臭いイメージがある。
馬鹿にされ汚いな臭いなと言われても改善を考えない。
恥ずかしい気持ちなんてないのだろうか?
神経が腐っているのだろうか?
そんな調子だから
いつまでたってもそのイメージが消えない。
晴れの日は公園で飯を食うガードマン
雨の日はどこで飯を食うのか
雨に打たれながら屋根をみつけて町をさまよう姿は
乞食と変わらないではないか。
ガードマンをやると人に謝る癖がつく
片交中です、すみません。
通行止なんです、すみません。
すみませんすみませんと頭を下げながら生きて行く人生。
そのうち、生きててすみませんと
言わなければならなくなるだろう。
人間のクズの集まり
俺もクズのひとつだがいい加減嫌気もさしてきた
収入が安定しない職業だ。
だから良い家庭も持てない
良い暮らしが出来ない
良い人生なんて送れない
ガードマンが事故を起こした。
ガードマンが物を盗んだ。
ガードマンが人を殺した。
ガードマンに対する新たな警戒方法が必要だ。何が防犯か、警備か。
働けることは、この不景気の中で幸せな方だと誰かが言った。
俺もそう思ってた。
だけど、土砂降りの中かぶりついた握り飯は、
雨以外の水分の味がしたんだ。
もうあんな思いはしたくない。もうあんな思いはしたくない。
道端の雪だるまの如く、雪に埋もれながら旗を振った。
手足は凍りついたようで、刺すような痛みがはしっていた。
電話ボックスの中で、立ちながら飯を食った。
自動販売機で買ったお茶を手足に振りかけながら。
もうあんな思いはしたくない。もうあんな思いはしたくない。
ガードマン服を着ると、あるべき人権が飛んで消えて行く。
あの工事人は、ガードマンの数え方が一匹二匹だった。
俺は畜生並みか。
ふと見ると、現場横の飲み屋のガラス窓に
自分の姿が映っていた。
しかと目を合わせることが出来なかった。
自分の姿にすら。
こんな仕事なんて。