(10)特許と悪意 … 競争は奨励されるが狂騒は軽蔑される
一連の考察を試みた本件ではあるが、実は「遠隔操作として制御を可能にしている」とする証拠としては、
大問題を抱えているのだ。これは致命的と言っても過言ではない。
本特許における構成・手段を実現して営業を行った場合には、各台は以下の3つの状態のいずれかにしかならない。
@全台が未稼働または大当たりしていない(グループ登録されていない台を除く)状態
A特定グループ登録された全台が当たっている状態(特許内表現:モードA登録グループ)
B特定グループ登録された中の最も当たりの少ない台が当たりを待っている状態
(特許内表現:モードB登録グループ)
@の状況ではなんの判断もできない。またABのグループは混在しているものと予想される。
だが、抽選は台で行っていると明記されているのである。特許請求項目から見てみよう。
【0006】
本発明は、当りか外れかを決定するための抽選動作を行い、
この抽選動作の結果が当りであった場合に多量の遊技媒体を放出する大当り状態を呈する複数台の遊技機と
『抽選動作を行い、当りであった場合に多量の遊技媒体を放出する複数台の遊技機』
もしも”抽選動作”を行うのが遊技機でない場合には、これを方式として明記しなければ、
既に拒絶査定を受けたように明確な発明とは見なされない。
つまり「連結グループ内の1台の遊技機において前記抽選動作の結果が当りとなったときに、」
グループ内で連動全台(Group-A)か特定台への当たり権利移動(Group-B)が行われるのである。
これは台固有の確率と同等(全台が@かGroup-B)となるし、Group−Aでは確率以上に当たってしまう。
異なる確率の台をグループ化してもGroup-Aならグループ内の最高確率になり、
しかも構成数だけ差分は大きくなる。Group-Bでも当選が別の台に移動するだけで、結果は同じである。
即ち本特許においては台の確率以下に制限することが出来ないのだ。
意図的にハマリを発生させることができないとなれば、さて制御する意味はあるのだろうか?
さて特許を前面に出して遠隔操作の証拠とする輩が現れて何年か経た訳だが、
残念なことに攻略法詐欺の被害者は目だっては減らず、悪意に満ちた放言は増加している気さえする。
歯止めが利かないとか、やることが他にないとか、原因がどうであれ愚痴は誰でもあるものだ。
個人が負けて悔しがるのは共感する方も多かろうが、
さりとてパチンコを止めるように勧めようにも無力を感じる今日この頃なのである。