(9−2)「特許審査過程からの考察」の補足 … 新規性の無さが主因と判明
ではこの3点、「@拒絶理由通知書」「A拒絶査定」「B特許査定」について考えてみよう。
実質的にBは@Aにて拒絶された請求項目を、削除・変更した結果から成り立っているといえる。
その過程を知る為には、@Aの査定に引用された2つの文献、その内容も知っておかなければならない。
@拒絶理由通知書
http://www6.ipdl.inpit.go.jp/JP/application/P/1996- 167125/26.06.2007_Notification_of_Reasons_for_Refusal_06107309565.htm
理由1 特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
→2.特許を受けようとする発明が明確であること。
理由2 特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。
→特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が
前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明については、
同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。
理由3 特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
→特許出願前に日本国内又は外国において、
頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明
理由4 特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
→(省略して概要を示す)既に出願済みの添付書類に記述されていた内容は同一人にしか権利がない。
A拒絶査定
http://www6.ipdl.inpit.go.jp/JP/application/P/1996-167125/09.10.2007_Decision_of_Refusal_06107503836.htm 「@拒絶理由通知書の理由4によって拒絶」 拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。
→(省略して概要を示す)既に出願済みの添付書類に記述されていた内容は同一人にしか権利がない。
※査定内容としては新規性が無く例外事項(同一出願者)でもないと記述されている。
・遊技機が抽選動作を行うことは、例示するまでもなく周知の事項である。
・どのようにグループ内の他の遊技機に利益を与えるかは、当業者が遊技性等に応じて適宜決定し得る事項に過ぎない。
特許査定において、”新規性”(特許法第29条第1項)は最重要のポイントと言ってよい。
この拒絶例でも、既に出願済みの範囲又は同業者が容易に工夫できる、ここが問題となったようだ。
B特許査定
http://www6.ipdl.inpit.go.jp/JP/application/P/1996-167125/11.12.2007_Decision_to_Grant_a_Patent_06107639516.htm 「拒絶する理由がなかった」これは普通の扱いである。
申請者が拒絶された項目を削除または変更した結果、項目は1つとなり、この部分が認められたということ。
→「請求項3については、拒絶査定時点では拒絶の理由がないものと判断した。」
問題は変更の内容であるが、それは2007年11月10日付けの”応対記録”に記載されている。
その後に”手続き補正書”を提出して辛うじて権利を確保したことがわかるのだ。