【ヤスヒロ】CR戦国乙女 〜乙女武将との日々〜 第4.5章
1 :
ヽ(´∀`≡´∀`)ノ7777さん:
「 ウンコー!!」
人 人 人
(__) (__) (__)
(__) (__) (__)
∩ ´∀`)∩∩ ´∀`)∩∩ ´∀`)∩
〉 _ノ 〉 _ノ 〉 _ノ
おつかれさまです
人増えると…いいな…
ブレードは完結して欲しいなぁ
あと、〇〇シリーズ復活を願うばかり
5 :
ヽ(´∀`≡´∀`)ノ7777さん:2009/10/03(土) 13:00:30 ID:P5qFH2gP
〇〇シリーズのヒデヨシ偏の続きが読みたいですね。作者様、復活を楽しみにしています。
俺は乙女小説さんの復活を願う...
続きがみたいのですよ
みんなまだ気付いてないんじゃないかな。
サロンだし、俺も偶然見つけたし。
早く作者さん来てくれるといいね。
荒れるかもしれんが本スレに誘導書き込みしてみるわ
本スレから誘導されますた。
乙女キャラを使って勝手に話を作るスレでおk?
おk
短編でも長編でも
てかSSまとめサイトへのリンク貼った方がよくね?
>>10 賛成します
が、なんか携帯のせいが、まとめサイトのURLが、おかしいので貼れない
orz
他の方、宜しくお願いします
まとめの掲示板みたら、ブレードさんは完結までいくみたいで安心した
ギャグさんも気が向いたら書くのかな
過疎ってるのは否めない
新スレ祝い初投稿。今気づいたのですが、サロンは32行までなのですね。一つ一つが短くなりそうです。
──────────────────────────────────────────
時間は少し遡り、再び道場へ───
『〜〜♪♪』
「ん、アヤ兄ぃからだわ。なんだろ?」
『強くなったな…妹よ メールを、受け取れ〜〜!!』
「なんだ、ケンシンまだその着信音にしてんのか」
「だってこれにしてないとアヤ兄ぃ拗ねちゃうし…」
「ていうか何だよその着信音は」
「ん?先生知らないのか?これは──」
「せ、先輩っ!!」
「きゃあっ!?な、なに!?」
突然、既に帰ったと思われていたマサムネが飛び込んできた。
しかもケンシンにかぶりつくように…。普段の彼女からは想像もできないほどのテンションだ。
そしてそのままの勢いでケンシンの携帯を持つ手を握るマサムネ。
「あぁっ!マサムネてめぇ何オレのケンシンの手握ってんだ!離れろぉぉ〜」
「す、すみません、つい…」
恥ずかしそうにパッとケンシンの手を離すマサムネ。
彼女の左目が輝いている。そう、まるで何十年来の親友に久しぶりに出会ったかのように。
「で、伊達さん急にどうしたの?いきなりで驚いちゃったけど…」
「コホン…あの…そ、その着信音ってアレですよね!」
「アニメディアの『新春企画!!コタキュン剣鬼アツ極ボーナス!!』で数名にしか当たらなかったプレミア着信音ですよねっ!?」
コタキュンメイキュアップだとっ
久々のわっぷるでありますっ、あと>1乙剛爆砕
15 :
ヽ(´∀`≡´∀`)ノ7777さん:2009/10/07(水) 00:21:48 ID:ZfNgRRQh
ブレードさん来てたー!
続きを楽しみに待ってます。
wktk
17 :
戦国ギャグ乙女:2009/10/08(木) 15:26:31 ID:A5ZRkuEf
お待たせしますた。(別に誰も待ってないかもしれませんがw)
―――――――――――――――――
ケンゾウ「相変わらずすごい車に乗ってるな」
ヨシモト「あら、そんなことはありませんわよ?あれでもお父様の持ってらっしゃる
車の中では1番の安物ですわよ。まあ1000万円を少し下回るくらいですわね…」
ケンゾウ「俺ら一般庶民からすればそれでも十分すぎるわ!」
ケンシン「そうね、うちの父さんが乗っている車だって色々込みでも70〜80万円くらいだったはず…」
ヨシモト「あら、それでしたら家にある車を差し上げますわよ?お父様に言えば何とでもなりますわ」
ケンゾウ「丁重にお断りさせていただきます」
ヨシモト「どうしてですの?」
ケンゾウ「あのなあ今川、分不相応って言葉を知ってるか?とにかく、ああいう車はうちにはいらないから」
ヨシモト「残念ですわね。でももし必要でしたらいつでも言ってくださいな」
ヒデヨシ「はいは〜い!それじゃああたしが…」
ケンゾウ「話がややこしくなるからお前は黙ってろ!」
ヒデヨシ「うぅ…、ケンゾウ先輩の意地悪…」
ヨシモト「それよりもケンゾウさん。私のことはもっと気軽に『ヨシモト』と呼んでくださいな」
ケンゾウ「は?何を突然?」
ヨシモト「私とケンゾウさんの仲ではありませんか。そんな他人行儀な呼び方はナシですわ」
ケンシン「(ぴくっ)…どういうことかしら?」
ケンゾウ「ね、姉さん、いちいち反応しないでくれよ。それに、俺と今川はただのクラスメートなんだから」
ヨシモト「…それだけではいけませんか?」
ケンゾウ「…え?」
ヨシモト「クラスメートがお互いを名前で呼び合うことがそんなにいけませんか?」
ケンゾウ「あ、いや…、そういうわけじゃあ…」
シンゲン「おいおい、なんだかヨシモーの嬢ちゃん、涙ぐんでないか?」
ミツヒデ「ああ、わかりやすく言えば乙女チャンス失敗時のような表情になってるな」
ケンゾウ「あ、あの…、その…」
ヨシモーは失敗ばっかで反省の色がみられないからなぁw
俺は待ってたZE!
諦めずに待ってた甲斐があった!
ブレードさん、ギャグ乙女さん、早速の乙です!
コタキューーーン メーーークアーーーップ!! w
急にテンションが上がったと思ったら、伊達の口から突拍子な言葉が飛び出てきた。
その節々の単語から察するにもしかして、この娘はいわゆる…アニメオタクなのだろうか。
上杉も随分驚いた表情だ。伊達の豹変ぶりには、誰でもそうなるほどの衝撃だという事は間違いない。
「え、えぇ、確かそんな感じの…」
「すごいですっ先輩!それって超限定の応募者プレゼントで私も手に入れられなかったんですよぉ!
そんなレア物をお持ちだなんて…先輩もコタキュン剣のファンだったんですね!」
「ん、ファンっていうか…そのぉ…」
「その着信音って邪鬼王様の台詞の『小娘』のところを好きな台詞に変えてくれるんですよね!
でも、そこで名前じゃなくて『妹』にするところがすごく渋いです!わかりますっその気持ち!伝わってきます!」
今まで見ていた彼女のイメージが全崩れしそうな勢いのマシンガントーク。
クールな佇まいの美少女と思ってたけど、根がこうだったとはいやはや、女の子は見た目では分かりませんな。
「えっとぉ…それには理由があって…あぁんもう、何から話せばいいのかしらっ…」
「とりあえず落ち着けよーマサムネ。ていうかお前オタクだったのな、意外だなー!」
「えっ…?あっ…ハッ!?」
周りの人間の反応を見て、自分がどれだけネジがぶっ飛んでいたか、ようやく気付いたようだ。
今更遅いとは思うが、マサムネは更に大きな咳払いを一つして、いつもの彼女へと戻った。戻りきれてないが。
「…急に失礼しました。…でも、先輩もファンだったなんて意外です」
「えっと、だからファンっていうか…実はね…」
「ていうかそんなスゲーやつだったんだなそれ。ほら、オレのも──」
そういって自分のカバンを漁りだすシンゲン。出してきたのはケンシンと色違いのお揃いの携帯。
チョコチョコと操作すると───
『♪♪〜〜 強くなったな…シンゲン メールを、受け取れ〜〜!!』
22 :
ヽ(´∀`≡´∀`)ノ7777さん:2009/10/09(金) 12:50:56 ID:po9l3mkz
ブレードさん、続編来たー!
23 :
戦国ギャグ乙女:2009/10/10(土) 17:40:23 ID:Nlypxdmw
男子生徒「おい、ケンゾウの奴、今川を泣かせてるぞ!」
女子生徒「上杉君サイテ〜」
ケンゾウ「(あいつら…、隣のクラスの小早川と黒田だな…。いつか覚えてろよ…)
あ、あのさあ今川。さすがに今すぐ呼び方を変えるっていうのはなんというかその…。
て、照れくさいっていうかさあ…」
ヨシモト「照れくさい…ですか?」
ケンゾウ「あ、ああ…、だから…その…、今すぐにはちょっと…」
ヨシモト「…わかりましたわ。私も無理強いはしたくありませんもの。それに…」
ケンゾウ「それに?」
ヨシモト「先ほどからケンシン先輩をはじめ、まわりの女性陣の視線があまりにも強烈で
この場はこれ以上耐えられませんわ」
女性陣一同「「「(じとぉ〜……)」」」
ケンゾウ「うっ…、た、確かに…」
(教室前)
ケンゾウ「はぁ〜、なんだかもうすでに今日の体力、気力を全部使い果たしたような気が…」
ヨシモト「あらあら、それは大変ですわね」
ケンゾウ「(お前もその原因のひとつなんだけどな…)」
(ガラガラガラ)
ケンゾウ「おはよ〜っす」
ヨシモト「みなさん、おはようございます。おーっほほほほ!!」
ケンゾウ「(何でそこでいきなり高笑いするかな…?お嬢様の考えてることはわからん)」
スレ立て乙です!!
やっと皆さんの作品の続きが読めるんですね!!
ギャグ乙女さんの隣のクラスの小早川と黒田・・・
だめだ元広島の選手しか思い浮かばないw
「す、すごいです!お二人ともお持ちだなんて、すごい強運…!まさか武田先輩までファンだったなんて…!
人は見かけによらないって本当なんですね…」
「お前に言われてもな」
なんだかとても伊達は興奮してるが、そもそも何なんだあの着ボイスは。何なんだ『コタキュン剣』とは。
若い子たちの中で流行っているアニメかなんかなのだろうか。俺も若いのに知らないぞ。一人蚊帳の外だ。グスン。
「でもオレ別にファンってわけじゃないんだけどな。ちょこっと見たことあるだけだし」
「えぇっ!?そ、そんな……じゃあ何故応募を──」
「ふふ〜ん、そこにはふっか〜〜〜〜〜いわけがあるんだな、これが」
シンゲンが得意げにエヘンと胸を張る。
と思うと一瞬考え込み、何かを思いついたように目がキュピーンとなった。
「ふ、深い理由とは…?」
「実はな、ケンシンの兄貴はそのコタキュン剣で邪鬼王の声をやってるんだこれが」
「えぇ゙っっっ!?!?!?」
一瞬剣道場が揺れたかと錯覚するような大声で驚くマサムネ。
そして一瞬の空白を挟み、ケンシンの方へガブリと詰め寄る。
「ほ、ほ、ほ、本当ですかっ先輩!?」
「えぇ、まぁ…」
「あ、あの七色の声を操る大人気声優の『仙桃院』様が、せ、先輩のお兄様…!?」
「あまり人には言わないんだけど…そうなの。この着ボイスもそういうツテで持ってるわけ」
「で、オレもなんか珍しいらしいからついでに貰ったってわけだ」
「はわわ…」
おぉ、伊達の口から魂が抜けかけている。戻さないと大変なことになるのではないだろうか。
なんだか魂がベレー帽を被っているのは気のせいだろうか。
その前に魂とやらが見える俺は重症なのではないだろうか。
26 :
ヽ(´∀`≡´∀`)ノ7777さん:2009/10/12(月) 11:05:34 ID:C4u2Cgrz
続きキター!
しかしコタキュンのアニメってどんな内容なのか気になる。
部下はオウガイとムラサメとシロなのか?
27 :
戦国ギャグ乙女:2009/10/12(月) 20:15:16 ID:G3cVKB2a
男子A「おはようさん。…って、何だケンゾウ、今日は今川と一緒に登校か?」
ケンゾウ「バ〜カ、校門前でたまたま一緒になっただけだって」
男子B「愛しのケンシン先輩ともしばらくお別れ(ぽかっ)いてっ!何するんだよ!?」
ケンゾウ「殴るぞ」
男子B「殴ってから言うなよな…」
ケンゾウ「ったく、…ん?」
???「(ぼ〜)」
ケンゾウ「お〜い、徳川。おはようさん」
イエヤス「あ、ケンゾウさん…。おはようございます」
ケンゾウ「相変わらず眠そうな顔をしてるな…」
イエヤス「そうですか?これでも毎日10時間くらいは寝てますが…」
ケンゾウ「小学生かよ…」
イエヤス「春眠暁を覚えず…と言いますから」
ケンゾウ「いや、春はもうとっくに過ぎてるし」
イエヤス「そういうケンゾウさんこそ、なんだか疲れたような顔をしてますよ?」
ケンゾウ「ああ、やっぱりそう見えるか?」
イエヤス「はい」
ケンゾウ「強いて言えば、ツッコミ疲れ…かな?」
イエヤス「はあ…、ツッコミ疲れ…ですか?」
ケンゾウ「俺も出来れば突っ込む必要のない生活を送りたいんだけど、まわりがね…」
イエヤス「…そうはさせてくれない…ということですね?」
ケンゾウ「まあな…。面倒臭がってツッコミを放棄すればそれ以上に突っ込まなければいけなくなったり…」
イエヤス「悪循環…ですね」
ケンゾウ「まあそういうことだな」
(ガラガラガラ)
ケンゾウ「おっと、先生が来た。それじゃあ徳川、またな」
イエヤス「あ、はい…」
保守
魂が抜けかけてる彼女を尻目に、二人はなんだかゴニョゴニョ話し合っている。二人とも目がキュピンとなっているぞ。
そして上杉がおもむろに伊達に話しかけた。
「ねぇ伊達さん」
「ふぁ、ふぁいっ!」
「もしこの後特に用事がないんだったら…会ってみる?ちょうど兄はウチにいるし」
この時伊達に電流走る。
彼女にとっては、人生の大きく変わる一日となるだろう。
普通ではまず接点ができるわけのない、自分にとっての偶像である『仙桃院』との繋がり…。
なんと、同じ学校の先輩の兄だという。しかも、今その先輩から、『仙桃院』と逢わないかというお誘い…。
全てを擲(なげう)ってでも、行く価値がある。
「い、いいんですか!?はい!ヒマですっ…!超絶ヒマですっっ…!圧倒的ヒマ……!」
「そう?じゃあついでにご飯とかも…」
「はい!あ、厚かましいとは思いますが、ご一緒できるならそんな幸せなことはないです!」
「じゃあメールしとくね。こんな熱烈なファンが来てくれるなら、きっと兄も喜ぶと思うわ」
「なっしゃー、そうと決まったら行くか!」
なんか楽しそうだな〜。伊達もめっちゃ喜んでるし。
そしてこの一連の流れ、二人の魂胆が見え見えだ。でも伊達は嬉しさのあまり気づいていないようだ。
それにしても…ここまでしてもらったら断れないっていう筋書きは分かるが、問題は伊達が頑なに入部を拒む理由…。
これをクリアしないと、どうにもならんのではないだろうか?一体彼女にはどんな理由が…?
…それを抜きにしても、いいなぁ。青春て感じが。なんかうらやましい…。よしっ!
「あ、あの〜」
「お、先生。もう部活は一応終わりだよな?」
「あぁ、終わりだけどそのぉ…俺も行っていいかな?」
「先生は関係ないじゃん」
「うわあああああああああああああああんっ!!!!」
シンゲン ヒドスw
「じゃあとりあえず帰り支度を…あれ、先生?先生〜」
「なんか知んないけど、道場飛び出してったぜ」
「そう…なの?まいっか。じゃあ伊達さん、着替えてくるからもう少し待っててくれる?」
「はぁぅ〜お持ち帰り〜…」
「お…おもち…?」
─────────────────────────
トリップしているマサムネを放っておいて、シンゲンとケンシンは更衣室へと入る。
二人とも計画通り…!といった表情を浮かべた。
「アヤ兄ぃをダシに使うのも気が引けるけど…でもこれってチャンスよね」
「うんうん、勢いで押し切っちまえばこっちのもんだ。うちの家訓にもある通り、攻めること火の如し、だ!」
「存続の決定が下るまで残り一週間…彼女が入ってくれたら心強いわ」
「そういや、なんか一年ぽいのが二人いたけど、あいつらは結局何だったんだ?」
「さぁ?先生に用があったみたいだけど、気づいたら居なくなってたし。期待しないほうがいいわね」
「ふ〜ん」
二人は着替えながら、この後どう彼女を入部の方向へ持っていくか軽く打ち合わせをする。
とはいえ、一応彼女があれだけ拒んでいた理由も定かではないので、その理由も聞き出しつつ慎重に、といった流れだ。
そんなこんなで着替え終えて更衣室を出ると、まだマサムネは幸せそうな表情でボーッとしていた。
「お待たせ、伊達さん。伊達さんは歩き?自転車?」
「あ…自転車です」
「ちょうどいいな。じゃあチャリ置き場いこーぜ」
一方その頃 ────────
「勢いで飛び出してシロを見つけて眺めてたのはいいが、今頃あいつらも俺を待ってるに違いない…『冗談ですよ〜』ってな…。
ふふ、さすがに教師に、しかも顧問にあんな冷たく当たるはずがない、常識的に考えて。今流行りのツンデレってやつだろうな。
ってお〜い、鍵閉まってる〜、誰もいな〜い」
32 :
戦国ギャグ乙女:2009/10/17(土) 21:40:34 ID:fPtxqQMH
(授業中)
ケンゾウ「ふあ〜あ…(眠い…。やっぱり夕べはちょっと夜更かししすぎたな…。ん?あれは…)」
(グラウンド)
ケンシン「それ、パスよ!」
ケンゾウ「(姉さんたちのクラスだ。この時間は体育か。ふ〜ん、女子もサッカーやるんだな)」
女子生徒A「上杉さん、チャンスよ!(パスを出す)」
ケンシン「よし、決めるわよ!(パスを受け取る)」
女子生徒B「武田さん、行ったわよ!」
シンゲン「なっしゃー!甘いぜケンシン。ここはこのリベロの武田が通さねえぜ!!」
ケンシン「ふふ、単なる『てきの5ばん』でなければいいわね」
シンゲン「お、言ったな〜!勝負だ!!」
女子生徒C「上杉さんと武田さんの競り合いね…」
女子生徒D「今日はどっちが勝つかしら?」
女子生徒E「わからないわ。ただ武田さんは上杉さんに対しては『アレ』があるからね…」
女子生徒F「ああ、『アレ』ね…」
シンゲン「隙ありっ!!」
ケンシン「!!」
(むにゅっ)
ケンシン「ひゃんっ!!(思わず怯む)」
シンゲン「なっしゃー!ボールはもらった!!一気にカウンターだぜ!!」
33 :
ヽ(´∀`≡´∀`)ノ7777さん:2009/10/17(土) 22:42:05 ID:BVoyQTEv
寝る前に覗いてみればブレードさんとギャグ乙女さんが来てたー(^O^)
ブレードさんにギャグ乙女さん乙でございます
シンゲン「コーヒー豆ぇぇぇぇぇ!!」こうですかわかりますん
ギャグさんとブレードさんのペースが落ちなくて逆に心配になるw
保守
37 :
戦国ギャグ乙女:2009/10/20(火) 16:19:19 ID:r0y7rXku
女子生徒C「出た!武田流奥義・カミソリなっしゃータッチ!!(命名シンゲン)」
女子生徒D「クラスでは上杉さんが1番大きいからね…。アレに勝てるのは隣のクラスの織田さんくらいね」
女子生徒E「上杉さんも来るのはわかっているとは思うんだけど…」
女子生徒F「それでも決めてしまう武田さんもすごいわね」
(ピピーーーーッ!!)
???「こら武田ー!セクハラはやめいと何度も言っておるだろうが!!」
シンゲン「あちゃー、ばれてたか(さすがにオウガイ先生の目は欺けないか…)」
オウガイ「まったく、神聖な校内でまたおぬしは破廉恥なことをやりおって…」
シンゲン「だって反則は5カウント以内だったらOKじゃないっすか」
オウガイ「それはプロレスだ!それにおぬしがそんなことをすると授業に支障が出る」
シンゲン「支障?なんで?」
オウガイ「ほれ、まわりの男子を見ろ。皆、前屈みの状態から動けなくなってるではないか」
男子生徒A「う、上杉のあの巨乳を…」
男子生徒B「武田の奴、なんて羨ましいことを…」
男子生徒C「こんなときだけは女同士の友情が恨めしい…」
オウガイ「…まああのとおりだ。アレでは授業を進めようにも進められん」
シンゲン「あ、あはは…(照れ笑い)」
オウガイ「それに…」
シンゲン「それに?」
オウガイ「…さっきからずっと上杉弟がこちらを見ているのでな。ほれ、教室棟の方を見てみろ」
シンゲン「教室棟?(ちら)…あ、本当だ、ケンゾウの奴、こっちを見てるぜ」
オウガイ「だからあまり上杉姉を辱めるのは…」
シンゲン「お〜い!ケンゾウ〜!!(ケンゾウに向かってぶんぶんと大きく手を振る)」
ケンシン「ちょ、ちょっとシンゲン、やめなさいよ!」
のんびり待ちつつ、わっふるわっふる
「うぅ…仕方ない、帰るか…って上着置いたまんまじゃないか!財布も鍵も…」
まいったな。扉は閉まっているし他に出入り口はない…。
用務員さんに事情を説明して開けてもらうほかないか。
そう思い、道場を立ち去ろうとすると、ふと目に入ったのが風通しを良くするために付いている下の窓。
あれは…うっすら開いてるぞ?さては閉め忘れたか。
まぁ通り抜けられないこともないけど…鍵を借りに行く手間を考えれば…?
「…大丈夫だよな?」
辺りを見回し、誰もいないことを確認して、窓を全開にしてみる。
横幅はオッケー。問題は高さだが…これならイケるだろう。ミッションスタート。
まずは手、そして頭、残りは身体……ネクタイやシャツのボタンが引っかからないように注意して…
「ん、あれ……」
腰の所でいったん止まる。ベルトが引っかかったのか?
首を横に向けて確認してみる。やはりベルトだ。あまり時間をかけてもいられない。
今になって、やっぱ鍵を借りに行けばよかったと後悔するも、ここまできたら突き進むしかない。
引っかかっている個所に手を伸ばす。
しかし、こんなとこ人に見られたら最悪だなぁ…教師として、人として。
「随分堂々とした空き巣ですこと」
「うわっっ!?!?…いててっ!」
突然掛けられた声に驚き、ベルトとサッシの間に指を挟みこんでしまった。
「こういった場合は通報した方がよろしくて?」
「ちょ、ちょっと待って!待ってくださいっ!」
ズキズキ痛む指を気にしている暇もなく、急いで窓から身体を抜く。
そこには、一人の女性…いや、女生徒が立っていた。
制服を着ている事でようやく生徒、年下であることが分かるほど、彼女は大人びていた。
顔立ちは美しく整い、流れるようなロングヘアー、切れ長な目元に妖しく映える泣きボクロ。
それに背も高く、制服の上からでも分かるほどのスタイルの良さ。スカートからスラリと伸びる白い足。
いわゆる美女…そこらのアイドルよりも…いや、比べることが失礼なほど彼女は美しかった。
声も綺麗で、聞いているだけで脳がやられそうになるほどだ。
とても年下とは思えないほどの彼女の艶やかな魅力に、しばし言葉を失い見入ってしまう。
「空き巣の次は痴漢かしら…?」
「……え?あ、い、いや…」
彼女の言葉で我に返る。
このままでは不法侵入と痴漢のダブルセットでお縄になってしまう。
ちゃんと誤解を解かないと…まぁ痴漢、というか視姦的なことはしてしまったが。
「えっと、その、俺は空き巣とかそんなんじゃなくて、ここの道場を使ってる──」
「剣道部顧問の榛名ヤスヒロ先生…ですわね。存じ上げてますわ」
「…え?」
クスクス、と笑う彼女。どうやら俺と知っていてからかっていたようだ。
からかわれた怒りや悔しさよりも、まずは安堵感が湧いてきた。
この娘にかかっては、そんな気にもなれない…初めて出会ったはずなのにそう感じた。
「それで、顧問の方がどうして空き巣みたいな真似をなさっていたのかしら?」
「その…ちょっと出ている間に部員に鍵を閉められたみたいで…いやぁ情けない話で…」
「スペアキーを借りにいけば済むことではなくて?」
「おっしゃる通りで…」
「あまり教師として褒められる行動ではありませんわ。模範となるべき存在なのですから…」
「返す言葉も…」
年下に、しかも生徒に責められていることに興奮しそうになりかけた。目覚めてしまったらアウトだ。
彼女の持つ魅力のなせる技なのか。しかし、随分大人びた…しっかりとした物言いをするものだ。
一体何者なんだ…?
ブレードさん乙です。
保健の先生→ムラサメ姉さんじゃなかったんですねw
保険医枠に残る人物はっ……!
わっふるです
43 :
戦国ギャグ乙女:2009/10/23(金) 06:17:34 ID:Nu4Vtp2h
(教室)
ケンゾウ「(あ、気づかれちゃったか…。まあ無視するのもなんだし、とりあえず手を軽く振って合図だけしておくか…)」
(グラウンド)
シンゲン「お、手を振ってるぞ。ほれケンシン、お前も何か合図のひとつでもしろよ!」
ケンシン「しないわよ!あなたと一緒にしないで!それにあんな大声なんか出して恥ずかしいじゃない!!」
女子生徒A「あれだけの大声だもの、きっと弟くんのクラスどころか、校内中に響いてると思うわ…」
女子生徒B「しかも今は授業中だからより一層響くし」
女子生徒C「今のでますます上杉さんが辱められたわね…。ついでに弟くんも一緒に」
ケンシン「〜〜〜〜〜(赤面)」
(再びケンゾウの教室)
ケンゾウ「(それにしても、シンゲンさんもよくあんな大声を臆面もなく出せるなあ…)」
(ぽこっ)
ケンゾウ「いてっ!」
???「ずいぶんと人気者じゃない、上杉君?」
ケンゾウ「うっ…、ムラサメ先生…」
ムラサメ「私の授業中によそ見とはなかなかいいご身分ね」
ギャグ乙女さん乙です
学校中に響き渡る声ってどんだけでかいんだシンゲンwww
ムラサメ先生のはちみつ授業・・・
いいなぁ
じゃあ俺は、
いけない!ムラサメ先生でw
歳がバレるぞw
俺はやるっきゃ紳士かな〜
ヒデヨシ+ケンシン=パラダイス
の流れですね、わかります
(^q^)
保守
49 :
戦国ギャグ乙女:2009/10/26(月) 22:29:31 ID:gK6GK1Nb
ケンゾウ「う…、それはその…」
ムラサメ「お姉さんのことが気になるんでしょうけど、今は私の授業の方を気にして欲しいわね」
ケンゾウ「す、すいません…」
ムラサメ「それとも、お姉さんのブルマ姿に興奮してそれどころじゃないのかしら?」
ケンゾウ「ち、違いますって!」
生徒一同「「「あはははは!!」」」
ムラサメ「あまりムキになると却って怪しまれるわよ。ねえ、それよりも…(そう言ってケンゾウに顔を近づける)」
ケンゾウ「な、なんすか?」
ムラサメ「お姉さんのブルマ姿と先生のブルマ姿、想像するとどっちが興奮するかしら?」
男子A「おお!ムラサメ先生のブルマ姿だとよ!!」
男子B「………イイ」
男子C「先生の放つあの大人の色気とブルマの組み合わせがなんともたまらんですタイ!!」
ケンゾウ「先生、少しは自分のトシも考えてくださいよ」
(ゴッ!)
ケンゾウ「ぐぁっ!せ、先生。今の、教科書の角ですよ!!」
ムラサメ「女性にトシなんて聞くものじゃなくってよ?」
男子D「あ〜ケンゾウのバカ。せっかくムラサメ先生とのフラグが立つチャンスだったのに…」
男子E「なんというフラグクラッシャー…」
ムラサメ「うふふ、今度そういうことを言ったら月に代わっておしおきしちゃうわよ☆」
ケンゾウ「先生、それこそトシばれますよ?」
ムラサメ「ふんっ!(すかさずケンゾウをスリーパーホールドで締め上げる)」
ケンゾウ「ぐえっ、ぐ、ぐるじい…。せ、先生…。チョ、チョーク入ってます…」
50 :
戦国ギャグ乙女:2009/10/26(月) 22:32:25 ID:gK6GK1Nb
(注) 読者の皆様方が混乱しないように、外野の生徒の敬称は
3年生(ケンシンの同級生)を男子生徒、女子生徒。2年生(ケンゾウの同級生)を男子、女子と表示しております
うはっw 背中にムラサメ先生のオパーイがw
ギャグさん、乙です〜。
ほしゅ
俺の言いたい事は男子Cが全て代弁したw
エロい…エロいよムラサメせんせい…(;´Д`)
保守ついでにage
hoshu
最近ヤスヒロスレ見ないなぁと思ってたらサロンに立ってたのか;
いつの間にかまとめサイトも出来てるし
これからちょこちょこ覗きにきまするw
やっと規制が解けた!
ちょっと長くなりますが、書き溜めた分を等価
「まぁいいわ、それじゃあ入りましょう」
「え?入るって…」
そういうと彼女はチャリ、と持っていたカバンから鍵を取りだした。
そしてそのままツカツカと道場の入口へ向かい、鍵を開けた。
「え、あれ?なんで君が鍵を…?」
「何故って…借りてきたからに決まっているでしょう」
借りた…?まさか俺が必要としているのを予見していたわけでも、瞬間移動が使えるとか時を止められるとか
そんなことではないだろう。
鍵を借りたということは、この道場に用があったということだ。何故彼女が?一体彼女は何者…?
「君は一体…」
「細かいことを気にしていたらモテなくてよ?」
そう言って俺に微笑を浮かべると、さっさと中に入って行ってしまった。
もう既に上下関係が如実に表れているかのような、あしらわれっぷり。俺って威厳が無いのかな…。
急いで後を追いかけると、どうやら彼女は倉庫に用があるようだった。
あそこは汚くて整理する気が起きなかった場所だが、一体あんなところに何の用があるのだろうか…?
とりあえず上着と財布の無事を確認する。ほっと一安心。
再び彼女の方を見ると、何やらカバンに入れているようだ。…道場内は暗くてよく見えないが。
鍵は彼女が持っている。俺は手持無沙汰に、さっき入ろうとした窓を閉める。
一通り戸締りを確認し終えると、ちょうど彼女も用事が済んだようだった。
「待たせちゃったかしら?」
「いや、それは別にいいんだけど…それより君の事、教えてくれないか?剣道部と何の関係が───」
出しかけた言葉が、喉の奥に引っ込んだ。それは、彼女の人差し指が俺の唇を塞いだからだ。
「ふふ…焦らないの…。それに、いい女には秘密が付きものでしょう?」
まいったな。敵う相手ではなさそうだ。
「わかったよ…もう聞かない。でも、名前ぐらいは教えてもらってもいいんじゃないかな。
俺だって一応ここの教師だし、君はここの生徒だろう?」
やられっぱなしでは悔しいので、正式な上下関係をつきつける。職権乱用、大人げないと言われてもいい。
男として、年下の女の子に良い様にされているのを黙ってはいられないのだ。
そんな俺の思考をよそに、彼女は少し考えたようなそぶりを見せ…。
「…その内分かる時が来るわ」
とニッコリ。はいはいわかりましたよ、お手上げです。白旗です。バスティーユ陥落です。
と、傷心の俺に彼女がふと何かに気づいたように話しかける。
「ね、先生…。そのYシャツ脱いで下さらない?」
なに…?服を脱げって…?ま、まさか禁断の関係を…!?口止め料に…!?圧倒的僥倖っ……!
いやいや、倫理的にマズイ。実にけしからん…けしかるけどけしからん!
「いや、そういうのはもっと健全な関係で…」
「ボタン、取れかかってるわよ」
「へ?……あ、ほんとだ」
どうやらさっき窓から急いで身体を引っこ抜いた時に引っかかったらしい。ネクタイも曲がったまんまだし。
こんなんじゃ、威厳もクソもありゃしない。あまつさえ、生徒相手によからぬことを空想して…ハァ。
反省猿の俺を差し置き、彼女はカバンから何やら小箱を…開けると中にはミニ裁縫セットが。
へぇ…そういうのを常備してるのか。才色兼備とはまさにこの事か。自分で言うだけある、まさに『いい女』、だ。
「どうせ、直してくれる彼女もいないのでしょう?」
前言撤回… 一筋縄じゃいかない……こいつ……!悪魔だっ……!喰い殺される…………!!
道場の真ん中で教師と生徒が隣同士に座り、片やシャツを脱いだ状態…。
結局好意に甘えてボタンを直してもらっているわけだが、見る人によれば非常に危なっかしい光景ではある。
しかし、幸いこの道場には剣道部以外は基本的に来ない。
そう、来ないはずなのだが…この娘は、用事があったという。
理由は結局はぐらかされてしまったので不明だが、もしかすると元剣道部なのだろうか。
彼女は慣れた手つきでボタンの糸を外し、新しく付け直す。
細かいことだが、裁縫とか料理とか、良妻賢母的な事ができる女にはドキッとくる。まして美女なら尚更だ。
実際に俺は少しドキドキしていて、ついつい隣の彼女の横顔に見入ってしまう。
近くで見てもやはり彼女は美人だ。なんだか美人にこんな事をしてもらっていること自体、まるで夢のようで…。
俺のシャツがかかる白く細い脚…若いだけあって肌もきめ細やかで、つい目が行ってしまう。
それに、鮮やかな手つきで針を操っているあの細く綺麗な指…。俺の唇にさっき触れたんだよなぁ…。
「私の顔に何かついてる?」
「…い、いや、何も…」
こちらに目も向けずに言われてしまった。見られてるのを自覚していなきゃ、こんな事は言わない。
気恥ずかしくなり、正面を慌てて向く。生徒に見惚れてたなんて、他人には口が裂けても言えるまい。
冷静を取り戻さなくては…そうだ、さっき考えついた仮説を立証してみよう。
「君は、もしかして昔この道場を使ってたとか…?」
「さぁ…?どうかしらね」
むむ、手ごわい。一切情報を与えない気だ。
「何年生か…ぐらいは教えてもらってもいいよな?1年…てことはないだろうし、3年とか?」
「えぇ、そう…3年生よ」
「じゃあ山下シンジ先生は知ってるよな、その関係とか?」
「黙秘権♪」
とりあえず3年生というのは分かった…が、それ以外はさっぱりだ。他になんか手がかりになるような事は…。
「…………」
「…………」
あながち元部員説も間違いではないのか?もっと核心に迫るような質問は…。
名前の一番上の文字は…なんて子供っぽいことは聞けんしなぁ。
「あら、もう質問タイムは終了?」
「う、そういうわけじゃ…」
「何でも聞いていいのよ?好きな男性のタイプとか、スリーサイズとか…」
「そんな合コンじゃないんだから…」
「ちなみに好きな男性のタイプは、年上だけど無鉄砲で子供っぽい感じの人…」
どうやらボタンを付け終えたらしく、軽くシャツを畳みながら彼女は聞いてもいないのに喋り出す。
そして俺の手へシャツを渡すと、微笑みながら…
「誰かさんみたいに、ね?」
「うっ…あ、あまり大人を馬鹿にするなよ」
「ふふ、スリーサイズも実際に確かめてみる…?」
「な、なぁっ!?」
そう言って彼女は俺の腕を引き寄せ、腕を組んだ。ちょ、ちょっとだけ当たってる!
「やめろってばっ!」
慌てて腕を振りほどき、シャツを急いで着る。
そんな俺を、彼女は腹を抱えて笑う。本当にこの娘は小悪魔じゃ済まない、悪魔だ、色魔だ。
「あっははっ!おっかしぃ〜。本気にしちゃって…」
「う、うるさい!」
「あら、せっかくボタン直してあげたのに冷たいわね…」
「それは……!その…ありがとう」
「どういたしまして。それじゃあ私は用事が済んだから行くわ…。あ、鍵は代わりに返してくださる?」
寝る前に覗いてみたらブレードさんの大量投下キテタ――(゚∀゚)――!!
ムラサメ姉様ワールド全開ですねw (*´Д`)
規制が憎い…
しかし、大量投下は嬉しい
つまり、作者様乙です
ちゃっかりしてるなぁ…もうどうでもいいや。今日あったことは深く考えないようにしよう。
「はいはいわかったよ…。気を付けて帰れよ」
「くすっ…教師っぽいこともたまに言うのね…。それでは失礼するわ、ヤスヒロ先生♪」
スカートを翻し、彼女は道場を出て行った。
はぁ…まるで嵐が過ぎさったような…どっと疲れが噴き出してきた。
こんな日はさっさと帰って寝るに限る。そう思い俺は道場を後にした。
鍵を用務員さんへ返すついでに彼女の事を聞いてみようとしたが、なぜか彼女の話をするとひどく怯えた様子になり
一言も喋ってくれなくなった。何があったのだろうか…。
この彼女との出会いが、俺の人生を大きく変えることとなるのに気づくのは、まだ先の話である。
──── 某所にて
西日が室内に深い影を落とし、静寂を醸し出す。そんな中に気配が二つ…。
「はい、ご所望の物よ」
「おぉ、ありがとう…確かに受け取った。すまんな、雑用のような事をさせて…」
「いいのよ、別に…暇だったし。それに、彼にも会えたし」
「会えたのか。どうだった?奴は。中々面白い男だろう」
「そうね…いじりがいのあるドーテーって感じ…」
「はは、手厳しいな…」
「…ところで、私の持ってきたそれって何か特別な物なの?なんだか薄汚いけど」
「あぁ、どうやら部に代々伝わるものらしいな。OGに確認も取った」
「ふぅん…まぁどうでもいいけど。それじゃ、私は失礼するわ。こちらで監視は続けておくから」
「あぁ、頼んだ」
気配が一つ消え、再び静寂が戻る。そして椅子に座っていた方の人物は、袋からそれを取り出し眺めた。
言う通り、確かに薄汚い。だが、西日を受けることでそれは鈍く輝いた。かつての輝きを取り戻すかのように…。
マサムネは緊張していた。道中も、まるで何時間も経ったかのように感じるほど気が気でなかった。
そしてついに彼女は、かの地へと降り立ったのだ!(自転車から)
「どうしたんだよ、ボーッと突っ立って」
シンゲンの問いも耳に入らない。頭の中でグルグルと思考が回りだす。
そして、次の瞬間体の向きを反転させた。
「や、やはり私は……!」
「おっと!ここまで来て帰るのか?案外意気地なしだなぁ〜」
シンゲンはマサムネの首根っこを捕まえた。
「は、離せ!やっぱり私なんかに会ったら仙桃院様のお声が穢れてしまうんだ!」
「何もそう卑屈にならなくても…メールでも楽しみにしてるって言ってたわよ」
「そーそー!にしても今のお前は先輩に対する口のきき方がなってない!うりうり〜」
「いたたた!」
「いいじゃないシンゲン。私は自然体で話しかけられる方が好きよ。その方が伊達さんぽくていいかな…。
敬語敬語だと狭っ苦しくて…」
「むむ?まぁケンシンが言うなら…マサムネ、特別だぞ〜。そん代わり区別ははっきりつけろよ!」
「は、はぁ……ならば、先輩も私の事を『伊達さん』でなく、マサムネと…」
「お〜、いいねぇ、やっぱり部活はこうでないとな!先輩後輩仲良くやるのが一番だ!」
「ま、まだ私は部活に入るとは言ってない!」
「まぁまぁ…さ、それじゃマサムネ、入りましょ」
「あうぅ…やっぱ怖い…」
と、その時外の騒ぎを聞きつけたのか、扉が開いた。出てきたのはt長身の男性。
そして、その顔を見たマサムネは、心臓が口から飛び出そうなほど脈拍が早まった。
「おかえり、マイスウィートシスター!アンドシンゲンちゃん!」
「あら、アヤ兄ぃ…ただいま。テンション高いのね…」
「おじゃましまーす!」
仙桃院こと上杉アヤは、元気よく挨拶をしたシンゲンが腕で抱えている少女に気がついた。
「もしかして、君が…伊達マサムネくんかな?」
「!!!」
マサムネにしてみれば、いつも憧れていたあの仙桃院が目の前にいる…それだけでも卒倒物なのに、あまつさえ自分の名前まで。
あやうく意識が遠のいていくのを必死で耐え、なんとか声を発した。
「は…は…はひっ」
「僕の大ファンなんだってね?いやぁ嬉しいなぁ、こうして目の前にそんな娘がいるなんて」
「わ、私も…!お逢いできて、すっごく嬉しいです!」
「はは、恐縮しちゃうなぁ。まぁ立ち話もなんだから、中へどうぞ」
「お、おじゃましまふ…」
────────────────────────
中へ通され、しばらく話しているうちにマサムネもだいぶ落ち着きを取り戻したようだった。
「あのっ、毎週欠かさず『コタキュン剣』見てます!もちろん他の出演してる番組も全部…!」
「いやぁ熱心なことで、ありがたいねぇ」
「先月号のアニメディアのインタビューも ───」
(良い感じだな)
(えぇ…)
(一応兄貴に言ってあんの?)
(さりげなく切り出すようには、言ってあるわ)
(ふむふむ、じゃあその話になったらうまく誘導して…)
(うん、アヤ兄ぃが頼むなら…みたいな流れにして…)
「そうかぁ、嬉しいねぇ。ところで剣道部入ってみない?」
「「うわ〜さりげな〜い」」
ブレードさん乙です!
ここでまさかの榛名登場か!?
規制解除おめです。
そして乙です。
ギャグ乙女さんも規制食らってるのかな?
ギャグ乙女さん、ブレードさんの両作品同時にムラサメ姉さんが出て来て嬉しい限りです。><
hoshu
71 :
戦国ギャグ乙女:2009/11/09(月) 14:01:01 ID:DJm2c/Dd
ムラサメ「うふふ、ムラサメ先生のおしおきタ・イ・ム☆」
ケンゾウ「(ぐぁ…、な、何を楽しそうに言ってるんだこの人は!!)」
(むにゅっ)
ケンゾウ「(あ…、服越しからでもわかるほどの先生のこの豊満な胸の感触…。
さすがやわらか姐さん…って、今はそんなことに浸ってる場合かって!!)」
ムラサメ「さ〜て、このあとどうしましょうか?」
ケンゾウ「す、すいません…、もうトシのことは言いませんから…は、離してください…(タップ)」
ムラサメ「あら、もう降参?残念…(しぶしぶケンゾウをスリーパーから解放する)」
ケンゾウ「ぶはぁっ!…はぁ、…はぁ…げほっげほっ…」
ムラサメ「最初から真面目に授業を受けていればいいのよ?先生だって可愛い教え子に
こんな真似は出来ればしたくないんだから…」
ケンゾウ「(ウソだ!今、絶対楽しんでたよな?)あ…、危うくある意味この世で1番幸せな死に方を
実践するところだった…」
ムラサメ「さて、それじゃあ授業を再開するわよ。…と、その前に、上杉君」
ケンゾウ「は、はい」
ムラサメ「『ある意味』ということは、別の意味でもこの世で1番幸せな死に方があるわけね?」
ケンゾウ「そ、それは…」
ムラサメ「先生が当ててあげましょうか?それはお姉さんにぎゅぅ〜っと抱きしめられて窒息することでしょ?」
ケンゾウ「な、何でですか!?」
ムラサメ「あら、冗談で言ったつもりだったんだけど、どうやら図星だったみたいね」
ケンゾウ「生徒で遊ばないでくださいって!!」
女子一同「「クスクス…」」
男子一同「「ひゅーひゅー」」
(グラウンド)
シンゲン「なあ、ケンゾウの奴、思い切りムラサメ先生に絞められてたな…」
ケンシン「もう〜、ケンゾウのバカ!姉として恥ずかしいったらありゃしないわ…」
72 :
戦国ギャグ乙女:2009/11/09(月) 14:02:28 ID:DJm2c/Dd
よかった…。やっと書き込めました。
また規制されてましたが、どうやら解けたようですね
ギャグ乙女さん、規制解除おめ&乙です。
やわらか姐さん w
ゆ〜びさきで〜
つ〜つかれたら
そっこかっらデレる〜〜♪
「ちょっとアヤ兄ぃ!そんな唐突な…」
「まぁ待ちなさい妹よ」
アヤは焦っている二人をなだめ、マサムネに向き直った。
「あの…仙桃院様…それって」
「妹からさっき聞いたんだけど、お家で道場をやっているんだってね?君が教えているの?」
「いえ、母が教えてるので…私はたまにその手伝いを」
「ふむふむ。では剣道は嫌いかな?」
「…もちろん好きです」
「なら何も問題ないじゃないか。自慢じゃないが妹の腕も結構なものだ。部活に入れば大会とかでも色々な対戦相手と闘える。
自分自身のためにもいいとは思うんだけれど…」
シンゲンは、いつもちゃらんぽらんなアヤがこんなマトモな事を言うとは思っていなかったので、すっかり呆けていた。
ケンシンも珍しいとは思ったが、すぐに加勢する。
「そうそう、それでなくても、私達はどうしてマサムネが部活に入るのをあんなに嫌がったのかが分からないの。
確かに強引な勧誘で気分を悪くしたかもしれないけど、やっぱり納得のいく理由が知りたいの!」
「納得のいく理由…」
「そうだね、せめて理由を聞かせてくれないかな?」
マサムネはケンシンとアヤの顔を交互に見比べ、なぜか最終的にアヤを見て顔を赤くし、うつむいた。
そしてポツリと ───
「その…部活って放課後にやりますよね…えっと…その…放課後だとまずいっていうか…」
「……???」
少しの間。そしてマサムネは前を向きしっかりと言い放った。
「私は、5時から仙桃院様の出てるアニメを見なくちゃいけないんです…!!」
先輩「呑みに行こうぜ!」
「すいません、用事(深夜アニメ)があるんで」
ですね、わかります
(^q^)
部屋の空気が一瞬止まった。そんな中、シンゲンがポツリと漏らす。
「…録画すりゃいいじゃん」
ごもっともな意見で、これにはケンシンも頷いた。
だが、この発言は逆効果で、更にマサムネをヒートアップさせる結果となった。
「違う!録画ももちろんしている!だが、生で…リアルタイムで見なければ、失礼というものなのだ!
仙桃院様も、その方が嬉しいですよね!」
「え?え〜っと…まぁ…」
「ほっ…やっぱりそうなのですね…。製作者様や演者様のためにも、私にはリアルタイムで見る義務がある…!」
またまたあっちの世界へトリップしそうなマサムネを見て、シンゲンがまたまた呟いた。
「でも、実際は生放送じゃなくて録画放送だから一緒じゃねーの?」
「うっ…だ、だが視聴者にとっての時間軸は放送の時間軸と…」
さすがのマサムネも、これには虚を突かれたようで尻すぼみ状態に。
そんな中、アヤが追い打ちをかけるかのように話しかける。
「マサムネちゃん、その気持ちは嬉しいんだけど…。僕としてはそのことだけで君の時間を拘束してしまうのが、心苦しいんだ」
「仙桃院様…」
「シンゲンちゃんの言うとおり、録画だろうが大差はないよ。それよりも、自分勝手かもしれないけど、目の前の現実の危機を…僕の妹を助けてほしいんだ」
そういって、ケンシンの頭を撫でる。
「アヤ兄ぃ…」
「代わりと言ってはなんだけど、いつでも家に遊びにおいで?妹の恩人だもの、精一杯おもてなしするよ」
この言葉に、マサムネは膝から崩れ落ち、身体を震わせた。そして、左目に涙を浮かべ…。
「仙桃院様…いいえ、お兄様…。分かりました!不肖、この伊達マサムネ、お兄様の御為に立ち上がります!」
「おぉ!?ということはマサムネ…」
「はい、武田先輩。そして上杉先輩…1年C組伊達マサムネ、室生高校剣道部に入部致します!」
「ありがとう…よく決心してくれたわ!剣道部部長として歓迎します!」
今ここに新たなる仲間を加え、新生室生高校剣道部は大きく前進したのであった!!といったムードが部屋中に漂う。
「お兄様!今後は録画が中心となってしまいますが、私はいつでもお兄様のファンです!」
「おぉ、それでこそ我が妹の後輩!」
アヤとマサムネが盛り上がっている中、シンゲンとケンシンは夜神月顔負けのしたり顔でハイタッチを交わしたのであった。
────────────────────────────────
──翌日
ヤスヒロは、体育館の端、教員の列に立っていた。今日は朝から生徒総会が開かれているのだ。
だが時折、フラフラになっておぼつかない様子だ。見かねたのか、隣のベテラン教員に声をかけられる。
「どうしたんですか?榛名先生」
「いやぁ……昨日ちょっと考え事をしていて寝るのが遅くなったもので…」
「ははぁ、寝不足ですか、若者らしいですなぁ。ですが、倒れないようにしてくださいよ?示しがつきませんからな」
「面目ないです…」
そう、昨日は帰ってからも、まんじりとして寝付けなかったのだ。
彼女にはその内分かるとは言われたが、考え込むたびに、腕に受けたあの感触や妖しい雰囲気を思い出し
悶々としてしまうのだった。
『キャアァァァァァ〜〜!!!』
そんな寝ぼけ眼でうつらうつらと立っていると、突然の黄色い歓声に驚き目が覚めた。
「な、なんだ!?アイドルでも来たのか!?」
ヤスヒロのそんなとぼけた発言に、ベテラン教員は答える。
「アイドル…ですか。まぁそう言っても差支えは無いでしょうな」
「差支えないって…どういうことですか?本当にアイドルでも来てるんですか…?」
「おや、ご存じないですか。ふむ、まぁまだ入って日が浅いですからなぁ」
「???」
「ほら、壇上を御覧なさい。彼女がそのアイドルの正体ですよ」
言われるがままに舞台の上、壇上に目をやると、一人の生徒が今まさに壇上に上がろうとしているところだった。
生徒達は彼女へ黄色い歓声をぶつけ、彼女はそれに応え手を振る…そしてそれに更に大きな歓声が…の繰り返しだ。
そして壇上の机の前に立つと、マイクを手に取った。
「声援どうもありがとう…只今ご紹介にあずかりました、斎藤ムラサメです」
『キャアアァァァァ〜〜!!!』
「あ、あいつは…!!」
マイクを通して耳に届いた、聞き覚えのある声…。
そう、今朝から自分を寝不足にした元凶の彼女が、壇上に立っていたのである。
「ははは、1年の頃から変わらずの人気っぷりだ…」
「だ、誰なんですあの娘は!?」
「我が高の生徒のトップ中のトップ…斎藤ムラサメだ。まぁつまりは生徒会長ですな」
「生徒会長…あの娘が…」
「ちなみに、成績もトップだ。まぁ欠点の見当たらん娘だよ」
その内分かると言ったのはそういうことか。次の日に総会があるのだから、そりゃ自分の正体が分かるはずだ。
しかし、この人気はすごい。全校生徒を、しかも同姓だというのに虜にしている。
「それでは、今年度の部の決算報告を ───」
仕事もきっちりこなしている。形だけのアイドル生徒会長というわけでもない。
まぁ、生徒からしてみれば理想像だよな…容姿端麗、頭脳明晰で、五里霧中、四面楚歌、孤城落日、油断大敵……
やわらかお姉様、大人気w
ブレードさんお疲れ様です!
次回作も期待して待ってます
ここで再び疑問が湧きあがった。なぜ生徒会長が道場の倉庫に用事があったのだろうか。
学校にとって大事なものが入っていたという事なのか?
う〜む…生徒会長という事実が判明したところで、これは直接聞かないことには解決は図れない。
「─── 以上、生徒会による決算報告まとめでした、ありがとうございました」
どうやら終わったらしい。
と、壇上の彼女がこちらを向いて─── 手を振った。途端に再び湧きあがる歓声。
今、目が会ったよな…。俺の前にいるクラスの娘達は口々に自分に振ってくれた、などと色めき立っている。
遠くて分かりづらいし確信はないが、まさか、な。
締めに理事長が出てきた。
「我が室生高校理事長、室生オウガイである!!!」
う〜む、2回目ともなると言葉に深みが感じられるようになってきた。良いお言葉だ。
これにて生徒総会は無事閉会した。壇上に進行役の生徒が出てきてマイクを入れる。
「それでは、1年生と2年生は退場してください」
ぞろぞろと帰っていく生徒達 ─── あ、あれ?全員帰ってしまったぞ?1年と2年だけのはずなんだけどなぁ。
まったく、今時の高3はそういうルールや礼儀ってものを知らな過ぎるな。
「ねぇベテラン先生…3年生勝手に帰っちゃってますね。こういうの、下級生に示しがつきませんよ」
「いえいえ、何をおっしゃいますか…誰一人、間違った行動はとっておりませんよ」
「???」
「3年生は、この場にいないですからな」
「え?生徒総会なのに、3年がいないんですか!?どうしてですか?」
「…それは私の口からは…おっと、お先に失礼するよ」
「あ、ちょっと…!」
行ってしまった。3年不在の生徒総会…?一体この学校はどうなっているんだ?
83 :
戦国ギャグ乙女:2009/11/17(火) 07:21:30 ID:mguAU35e
女子生徒A「ねえ、助けに行かなくてよかったの?」
ケンシン「な、何で私が助けに行かなきゃいけないのよ!?」
女子生徒B「だって…ねえ?」
シンゲン「お前らが校内一のブラコン&シスコン姉弟だってことは生徒、教師も含めて
全員知ってるんだからさあ。今さらお前がケンゾウの教室に殴り込んだって
またいつものこととか、仲が良くて微笑ましいなとかそれくらいにしか思われないって」
女子生徒C「それに関してはみんな同意見だと思うわね」
女子生徒D「まあ、殴り込んでる時点で微笑ましいとはいえないけどね…」
ケンシン「あ、あなたたちねえ…」
オウガイ「ほらほら、授業を再開するぞ」
シンゲン「よーし、それじゃあ俺の地を這うカミソリネオバズーカチャ○ネルを…」
オウガイ「武田、おぬしはセクハラのペナルティとして残り時間はずっとスクワットだ」
シンゲン「ががーん!」
オウガイ「調子に乗りすぎるといつか2年の今川にマグ○ットセービングされるぞ?」
ケンシン「先生、それ今川違いです…」
(休み時間・廊下)
ケンゾウ「あー、ムラサメ先生も容赦ないよなあ…。まだ少し首が痛いぜ…」
(家庭科室前)
ケンゾウ「…ん?(くんくん)お、なんだかいい匂いがするぞ。…って、家庭科室か。
どこかのクラスが調理実習でもしてるのか?」
ケンゾウ「(ドアの隙間から中を覗く)お、なんだかすごく甘い匂いがするぞ。何を作ってるんだ?」
???「そこ!何をコソコソしている!?」
hoshu
── 昼休み
職員室で、同僚と昼食を食べようと準備をしていると、聞いたことのある声が耳に入ってきた。
「失礼しま〜す!」
この元気な声は…やっぱりだ。豊臣と、その後ろには徳川もいる。本当に仲のいい二人だな。
そして俺の姿を見つけたらしく、小走りで近づいてくる。
「先生〜」
「おぅ。どうしたんだ」
「あのね、先生に渡したいものがあるの…」
な、なんだ…。まさか、新任早々生徒から熱烈ラヴレターを貰えてしまうのか。
こんな公衆の面前で渡すなんて、大胆だぜ豊臣…。
「はい、これ!」
豊臣の差し出した手には、手紙…のように見えるが、なんかの用紙だった。チェ。
受け取って見ると、これは部活の希望用紙だ。そういえば昨日忘れてたとか言ってたな。
希望の部は剣道部、ふ〜ん ──
「えぇぇぇぇ!?!?!剣道部!?!?」
「うん!それと、イエっちも…」
「はい、先生…」
「ま、まさか!!これも剣道部!?!?ふ、二人とも入ってくれるというのか!?」
「うん、でもイエっちは ───」
「うおおおおおぉぉぉ!!!圧倒的至福っ……!!僥倖っ……!!」
「あ、あのね?先生…イエっちは ──」
「この愉悦……!!法悦……!!カカカ……コココ……キキキ……!!」
職員室はざわざわしたという。
「落ち着きました?先生…」
「ふぅ…なんとか落ち着いた…何か疲れた…」
「でも、そんなに喜んでくれるとは思わなかったよ。えへへ」
無邪気に笑う二人。もしかすると、昨日の見学もそういうことだったのかもしれないな。
「いやぁ、本当に大助かりだよ…これで5人に一歩近づいた!」
「え?5人って?」
「あれ?言ってなかったっけ?実は、かくかくしかじか四角いMOVE──」
「えぇっ!?そうだったの!?ふぇ〜…」
「でも先生…」
徳川がおずおずと喋りだす。
「さっきは先生が狂ってたので、言いだせなかったんですけど…私、その、運動が苦手なので…マネージャーとして…」
さり気に毒を吐かれた気もするが、これまた大事なお話。
マネージャーということは、実質戦力で増えるのは豊臣のみ…ということか。
「そ、そうなのか…いやいや、それでも入部してくれて嬉しいぞ、これは本当だ」
「はい…ですので、頑張って皆さんをサポートしたいと思います…」
「よろしくね!」
「二人ともありがとうな!」
「あ、それと先生…これから3年間お世話になるかもしれないんだから、名字じゃなくて名前で呼んでいいからね!」
「名前で…」
「あ、もしかして覚えてないんでしょ…ふんだ!」
「お、覚えてるよ!ちょっととまどっただけだ!ヒデヨシに、イエヤスだろ?」
「へへ〜、よろしい!じゃあそういうことで…よろしくお願いします!」
「お願いします…」
二日目にして、部員が増えた。伊達の方は…あの拒否っぷりから考えれば、数に入れないとしても残り二人。
これならいけるかもしれない…栄光を再び取り戻すんだ!!
ギャグ乙女さんにブレードさん乙でございます
ギャグ乙女さんのカミソリネオバズーカチャ○ネル…
撃ったらやっぱりアレになっちゃうんですか?
アレになったシンゲン…見てみたいような見たくないようなw
一方ブレードさんの方は後一人でメンバーが揃いますね
やっぱりあの人なんでしょうか?
両方とも続きが楽しみです
ブレードさん相変わらずカイジ好きっすねw
楽しませて頂きました。乙です
「本当にありがとうな、二人とも…二人は俺の教師生活で最高の教え子だ!」
「教師生活って…まだ3日でしょ、気が早〜い!でも本当にそうなるといいね?イエっち」
「……(コクン)」
─── と、その時
ガラッ
「失礼します」
職員室の扉を開けて入ってきたのは、一目見て分かる眼帯をした噂の…誰あろう伊達マサムネだ。
彼女もまたキョロキョロした後、俺を見つけるとツカツカと近寄ってきた。もしや…?淡い期待で胸が踊る。
「伊達!昨日はすまなかったな、付き合わせて」
「いいえ、それはいいのですが…取り込み中ですか?」
「いや、もう大丈『あぁ〜〜!!!』
俺に被せてヒデヨシが素っ頓狂な声を上げる。
「な、なんだ!?」
「昨日の人だ!すっごく強かった人!」
「む…昨日って…。剣道場にいたのか?」
「あっひど〜い!ずっと試合見てたんだから!」
「すまん、集中してると周りが見えないことが多くてな…では先生、これを」
これ、といって差し出されたものは、ヒデヨシたちの持ってきた紙と同サイズの用紙…こ、これは!
「だ、伊達!おまえまさか…!?」
「はい、お世話になります。私で力になれるのでしたら…」
「力になれるもなにも大助かりだよ!!ありがとう伊達!!」
仏の御加護、神仏の念波、我が身に降臨す…!!神様…!ありがとうございます…!ありがとうございます!
「わっ、やっぱり入ってくれるんだ!えへへ、実は私たちも今入部したところなんだよ!」
「そうなのか?では、これで5人ちょうどか」
「あ、でもイエっちはマネージャーだから、えっと…あと一人!」
「イエっち…?」
やたら元気な少女の隣の、おっとりとしていそうな少女に目をやる。
なるほど、マネージャーというのもうなずける。
「そういえば、自己紹介がまだだったね!アタシB組の豊臣ヒデヨシ!」
「…徳川イエヤスです。ヒデっちと同じB組…」
「私は伊達マサムネだ。隣のC組だ、よろしく」
「よろしくね、ムネリン!」
「ム、ムネリン!?」
「そうだっ、ねぇお昼食べた?」
「いや、まだだが…そのムネリンというのは──」
「じゃあ決まり!親睦会を兼ねて一緒に食べよ!れっつご〜!」
「お、おい!押すな、押すなって…!おい ───」
「あ…」
行ってしまった。俺だけを残して。昨日もこんなことがあった気がする。
親睦会なら俺を呼んでくれてもいいようなもんだよな。グスン。
同僚はこの騒ぎの中、既に食べ終えて次の授業の準備をしていた。
「人気があっていいじゃないか」なんて言われたが、こんなんで果たしてあると言えるのだろうか。
まぁいい。とにもかくにも、これで4人揃ったわけだ。あと1人…救世主はいずこにおられるのか。
しかしあの伊達をよくぞ引き入れてくれたものだ。上杉と武田の例の作戦がうまくいったということか。
伊達が入部を拒否した理由もクリアできたということだろうな。どんな理由かは今度二人に聞いておこう…。
せっかく入部してくれた伊達のためにも、そして初心者であろうヒデヨシのためにも早めに練習をさせてあげたい。
まずは一刻も早く部員を揃えることだ。そして猛練習をして、春季大会に臨まねば。
マサムネが入ってくれたのはデカい。何と言っても8位以内入賞が条件だからな…。
絶対廃部なんかにはさせないぞ!
91 :
戦国ギャグ乙女:2009/11/20(金) 16:00:20 ID:pi2DlseB
ケンゾウ「うわっ!す、すいません!!」
???「なんだ、ケンゾウではないか。何をやっている?」
ケンゾウ「な、何ってその…。そういうマサムネさんこそエプロンなんかつけて何やってるんですか?」
マサムネ「調理実習なんだからエプロンをつけるのは当然だろうが」
ケンゾウ「マサムネさんのクラスだったんすか?…あれ?でも今マサムネさん、オレの背後から現れたような…」
マサムネ「トイレに行ってきたからだ」
ケンゾウ「あ、そうだったんですか」
マサムネ「で、戻ってきたらお前がドアにへばり付くようにして中を覗いていたわけだ」
ケンゾウ「あ、あはは…。…ん?エプロンをつけたままトイレに行ってたんですか?」
マサムネ「(急に赤面)う、うるさい!仕方ないだろう!きゅ…、急だったんだから!!」
ケンゾウ「す、すいません。…なんだかデリカシーのないことを聞いてしまったみたいで」
マサムネ「まったくもう…(まだ少し赤面)」
ケンゾウ「それにしても…(じー)」
マサムネ「な、なんだ!人のことをじーっと見て」
ケンゾウ「マサムネさんのエプロン姿って結構様になってますね」
マサムネ「(再び赤面)〜〜〜!!な、何をいきなり…」
ケンゾウ「いや、俺はただ素直に似合ってるなあと思っただけで…」
マサムネ「…それにしても、入るんだったら堂々と入ればいい。今は休み時間なんだから」
ケンゾウ「い、いや、でもさすがに3年生のところにいきなりお邪魔するのはやっぱり…」
マサムネ「別に誰も追い返す奴はいないぞ。一応、お前は校内では有名人だからな」
ケンゾウ「オレ…というよりオレと姉さんと1セットで…とか言いたそうな顔をしてますよ?」
マサムネ「厳密にいうとそうなるな」
ケンゾウ「って、マジだったんすか!?」
マサムネ「あまり細かいことは気にするな。それよりほら、入るなら入って来い」
ケンゾウ「あ、はい…。お、お邪魔しま〜す…」
92 :
戦国ギャグ乙女:2009/11/20(金) 16:11:17 ID:pi2DlseB
ミツヒデ「おや、意外なお客さんを連れてきたねえマサムネ」
マサムネ「うるさいぞミツヒデ」
ケンゾウ「あ、ミツヒデさん、どもっす。そういえばマサムネさんと同じクラスでしたね」
ミツヒデ「ああ、そうだよ。それにしても…(ニヤニヤ)」
マサムネ「か、勘違いするな!私はただケンゾウが外でコソコソと覗きのマネをしていたから、
それよりだったら堂々と入ってきたほうがいいと思ってだな…」
ミツヒデ「おや〜?私はまだ何も言ってないんだけど?(クスクス)」
マサムネ「うぐっ…」
ケンゾウ「それより、何を作ってたんですか?なにやら甘い匂いがしてますけど」
ミツヒデ「クッキーだよ。…といってもまだ焼き上がってはいないけどね」
ケンゾウ「あ、そうなんですか?残念…」
マサムネ「お前さえよければだが、余った材料で何か作ってやってもいいぞ。
…といっても休み時間内で出来るといったらせいぜい目玉焼きくらいだがな…」
ケンゾウ「いいんですか?それじゃあせっかくだしお言葉に甘えて…」
(ジュ〜〜〜)
ケンゾウ「…って、もう焼いてるし!!」
マサムネ「ほれ、焼けたぞ」
ケンゾウ「早っ!…まあいいや、それじゃあいただきます。あ、ここにある塩、少しもらいますね」
マサムネ「好きにしろ…(ふむ…、どうやらケンゾウはシンプルな味付けを好むみたいだな…)」
ケンゾウ「(ばくばく)…ん?」
マサムネ「(じ〜…)」
ケンゾウ「あの、マサムネさん。オレの顔に何か付いてますか?」
マサムネ「え?い、いや、な、なんでもない!!(赤面)」
ケンゾウ「ふ〜ん、まあいいですけど…。(ごくん)…ぷはぁー、うまかったっ!
あ、そろそろ教室に戻らないと。それじゃあマサムネさん、ゴチになりました!」
マサムネ「お粗末様」
ケンゾウ「食器は流しに入れておきますね。それじゃあ失礼しました(退室)」
マサムネ「あ、ああ…」
ゆっくりしていってね!!
hoshu
そんなわけで放課後 ───
「── 以上!それじゃあ日直は号令〜」
帰りのあいさつが終わったところで、ヒデヨシとイエヤスは教壇へと歩み寄っていった。
「先生〜、今日部活あるんだよね?」
「あぁ、二人は着替えはあれだから…とりあえず道場に先に行っててくれ。鍵持ってるのはあいつらだから…
多分開いているとは思うけどな。開いてなかったら、道場の外で待っててくれ。俺も早めに行くから」
「は〜い!それじゃあいこっか、イエっち」
教室を出て行った二人は、今度は隣の教室へと足を運んだ。
C組の入り口から中の様子を覗く。こちらも同じく、皆帰り支度や部活の準備をしている騒がしい状況だ。
探す相手はもちろんマサムネだ。程なくして、後ろの方でカバンに教科書を詰めている彼女を発見した。
中に入り、近寄っていって声をかけた。
「ムネリ〜ン」
「う、ヒデヨシか…その呼び方はやめろと昼も言っただろう」
「…ムネリン…」
「イエヤス、お前まで…」
「あっ、もしかしてこれって剣道着と竹刀?」
ヒデヨシが指さしたのは、机の横に置いてある大きめの袋。さらにその隣には、細く長い袋も立てかけてある。
「あぁ、家から自分用のを持ってきた」
「そっか、お家でもやってるって言ってたもんね〜」
「二人はまだ道具は揃えてないのか?」
「うん、まだだよ。早く揃えたいんだけどねぇ」
「よければ家が贔屓にしている店を紹介するぞ。そこなら品質も良いし、値段も格安だ」
「本当っ!?ありがと!」
「ありがとう…」
最後の方「二人は」じゃなくて「ヒデヨシは」ですね…訂正。
───────────────────────────────────
三人がきゃっきゃうふふしている頃、その上の階では…
「なっしゃ、いこーぜケンシン。三人に増えたし、練習も充実させよーぜ!」
「そうね…でも今日もとりあえず勧誘からね。マサムネには悪いけど…」
「な〜に、心配いらねーよ!この調子でいけばすぐ5人になるさ」
「だといいけどね」
二人が道場へと向かおうとすると、目の前に見慣れた後姿が見えた。
シンゲンはそれを見て、何かを企んだようだ。
「おっ、あいつは…今日は機嫌がいいから、いっちょからかってやるか」
「無駄なことはしなくてもいいんじゃないって、行っちゃった…もう…」
シンゲンは音を出さないように走り出し、その人物めがけて背後から脇へと手を滑り込ませた。
「おりゃぁっ!」
「きゃあああっっ!?!?な、な、何ですのぉ!?ぁんっ!おやめなさい!!」
「ふっふっふ、風のように近寄り、火の如く揉む…家に代々伝わる家訓だ」
「おバカな事言ってる場合じゃありませんわ!」
息も絶え絶えになりながら、揉まれた相手、今川ヨシモトはその手を振りほどき、シンゲンと相対した。
「意外とあんじゃんか。まぁケンシンには敵わないけどな!」
「なっ、なんですって!?これでもそうそう負ける事のない代物ですのよ!」
「(林と山は何なのかしら…)はいはい、そこまでそこまで」
追いついたケンシンは、そんなことを考えつつ二人を制した。
そう言いつつも、ヨシモトの胸に目をやり、シンゲンの言葉に頬を染めるケンシンであった。
ケンシン、ヨシモーのたわわに実った胸を揉みまくるシンゲンに軽く…いや…おもいっきり嫉妬するお…
(´・ω・`)
98 :
戦国ギャグ乙女:2009/11/24(火) 22:05:08 ID:WM4gn9hm
(昼休み)
女子A「上杉君、席貸してね」
ケンゾウ「あ〜、どうぞ(何で女子っていうのはこうも群がりたかるかなあ?
…ていうかあっという間に大きなテーブルと化してるし…)
男子A「やれやれ、また女子に席を追い出されたか?」
ケンゾウ「どうせいつものことだからな。さてとそれじゃあ俺は外にでも行くかな」
男子B「またいつものように愛しのケンシン先輩と一緒にランチってか?」
ケンゾウ「うっせー」
(廊下)
ケンゾウ「さてと、それじゃあ中庭にでも出るとしますか」
シンゲン「ケンゾウ〜!!」
ケンゾウ「あ、シンゲンさん…(がばっ)うおっ!な、なんすかいきなり抱きついてきて!?」
シンゲン「ケンゾウ、頼みがあるんだ!」
ケンゾウ「頼み?」
シンゲン「ああ、あのなあケンゾウ…」
ケンゾウ「は、はい…」
シンゲン「オレを………揉んで気持ちよくしてくれよ」
ケンゾウ「…は?ちょ、ちょっと!何がですか!?主語が抜けてますよ!!その言い方だと確実に誤解されますって!!」
シンゲン「いいじゃんかよぉ〜!以前、お前に揉んでもらったとき、すごく気持ちよかったからさあ、また頼むよ」
ケンゾウ「いや、だから何の話ですか!?」
小早川「おい、ケンゾウの奴、シンゲン先輩のことを揉んで気持ちよくしているらしいぜ」
黒田「上杉君卑猥〜」
ケンゾウ「またあいつらか…。いったいどこから湧いて来るんだ…」
「ふん、まったく…これだから野蛮人は嫌ですわ!」
「野蛮って…別に殴ったわけじゃなく胸揉んだだけじゃんか」
「普通は揉みませんわ!」
再び言い合いになりそうだったので、またまたケンシンは仲裁に入る。
「まぁまぁ、ヨシモトもそんなに目くじら立てないで…」
「乙女の胸はそんなに気安く触っていい物ではないですわ、覚えておきなさい!」
「減るもんじゃないしいいだろ…っていうかむしろ揉めば逆に増えるだろ」
一瞬なるほど、と思ったヨシモトだったが、すぐに気を取り直した。
そして冷静を取り戻したように見せるため、ふっと髪をかきあげた。
「ま、まぁ…いいですわ。そのうちそんなノホホンともしてられなくなるでしょうし…残り5日程の命ですわ」
「…剣道部のことか?」
「ふふ、情報が古いわねヨシモト…」
「な、なんですの?」
今度はケンシンが余裕を持って、髪をかきあげた。
「あいにくだけど、有望な新人が今日付けで入部しているのよ」
「ヨシモーにゃ悪いけど、うまい具合に進展してんだよ」
「なんですってぇ!?」
「絶対に道場は弓道部に明け渡さないからな!じゃあな〜」
そう言うとシンゲンはヨシモトの肩をポンと叩いて、すれ違いざまに走って行った。
ケンシンも「そういうことで」と、シンゲンの後を追いかけて行った。
一人ポツンと残されたヨシモトは、肩を震わせた。
もう少しで道場が手に入りそうだったのに、なぜだか事態は自分にとって思わしくない方へと向かっている。
だが、このまま指を咥えて見ているわけにもいかない。
「…これは、会長のお力を借りるしかないですわね…見てなさい!」
「あっはっは!見たか?あのヨシモーのアホ面!」
「言いすぎよ、でもちょっと胸がスッとしたかな」
二人が道場へと向かっていると、道場前に人影が見える。
「お、来てたか。お〜〜い、マサムネ〜〜〜…っとあいつらは誰だ?」
「あ、あの娘たちは…」
マサムネの隣には、ケンシンが昨日対応した生徒二人の姿が。
シンゲンの声に気づくと、こちらに向かって二人は一礼する。
「なんだお前ら?一年?」
「確か、昨日来てた娘よね?えっと…」
「は、はい!豊臣ヒデヨシです!」
「徳川イエヤスです…」
「そういえば、私も言ってなかったよね。私は剣道部部長の上杉ケンシンです。それで、どうしたの?また榛名先生に用事でも?」
ヒデヨシは首を横に振り、拳に力を入れた。
「今日から、アタシ豊臣ヒデヨシは剣道部に入部させていただきます!よろしくお願いします!」
「私も、マネージャーとして入部させて頂きました。よろしくお願いします…」
そして一礼。イエヤスも続く。ケンシンとシンゲンは一瞬ポカンとしたが、すぐに理解し、この事実を喜んだ。
「なっしゃー!まじでか!剣道部の時代が来たっ…!」
「本当に…!?ありがとう二人とも!」
「よしっ、これで条件は揃ったはずだ…!あとは大会で勝つだけだ!」
「先輩、イエヤスはマネージャーだから、あと一人だ」
「そうよシンゲン。でもありがとう…去年は私もマネージャーみたいな事もしてたから、重要さは知っているつもりよ。
私たちの支えになってね、徳川さん…よろしくね」
ついに4人の剣士が一同に会した。残りはあと一人…だが、彼女たちは身近に迫る何者かの意志に、まだ気付いていないのであった…。
わっふる!わっふる!
ブレードさん、ギャグさん、乙です。
どちらの作品のシンゲンも『おっぱい揉みキャラ』の定着化の様子にワロタw
シンゲン「なあ、早く揉んでくれよぉ…。もうオレ、足腰が立たなくなってきてるんだからさあ…」
ケンゾウ「シンゲンさん。あんた、わざと誤解されそうな言い方してないっすか?」
ケンシン「シンゲン、端折らないでわかるようにちゃんと説明しなさい」
ケンゾウ「あ、姉さん。シンゲンさん、いったいどうしちゃったわけ?」
ケンシン「早い話、ただの筋肉痛よ」
ケンゾウ「…筋肉痛?」
シンゲン「…いやあ、実はさっきの体育の授業のときのスクワットが結構きつくてさあ。
早速、脚に来ちゃったんだよ。まあ筋肉痛が本当に響くのは明日以降だろうけどな」
ケンシン「まったく、自業自得よ」
シンゲン「で、以前ケンゾウにマッサージをしてもらったことを思い出したってわけ」
ケンゾウ「それならそうとはっきり言ってくださいよ。いらん誤解をされるのは俺なんですから…」
シンゲン「さすが、よくケンシンのことも揉んで気持ちよくしてるだけあってうまかったよなあ…」
ケンゾウ「だ〜か〜ら〜!その言い方が誤解されるって言ってるんです!!」
ケンシン「ちょっとケンゾウ、声が大きいわよ!」
ケンゾウ「え?」
(ざわざわ…)
ケンゾウ「あ、しまった…。つい…」
ケンシン「それからシンゲン。いい加減ケンゾウから離れなさい!もう十分に堪能したでしょ!!」
シンゲン「ぶーぶー、ケンシンのケチぃ〜!(しぶしぶケンゾウから離れる)」
ケンシン「まったく…、それじゃあ中庭に行ってお昼にしましょう」
ケンゾウ「あ、うん…」
シンゲン「なっしゃー!メシだメシ〜☆」
ケンゾウ「(ふう、とりあえず嵐は収まってくれたようだな…)」
ヒデヨシ「ケンゾウせんぱあああああああい!!!!!!!!!!!」
ケンゾウ「(…で、お約束のようにそこへ新たなる嵐の到来か…)」
保守
「そんじゃ、とりあえず着替えるか、入ろうぜ」
先頭でシンゲンが中に一礼しながら入る。ケンシンも後に続く。
マサムネは、あのシンゲンが意外にも礼儀正しいことに驚き、少し彼女の事を見直した。
ヒデヨシ、イエヤスも見様見真似で一礼しつつ中へ入る───。
更衣室に入るなり、ヒデヨシは間の抜けた一声。
「わぁ〜、くさ〜い…」
「ふふ、まぁ剣道部の宿命ってものね。これでも大分消臭してるんだけど、初めての娘にはまだ慣れないかもね」
「そーそー。そのうちこの匂いを嗅いでいないと、正気を保てなくなる人間もいるんだぞ〜」
「えぇっ!?そうなんですか!?」
「そんなわけないだろう…」
各々、自分の道着に着替え始める。ヒデヨシと、今回はイエヤスも、適当なサイズの道着を見繕い、着替え始めた。
そんな中、着替え中のマサムネに忍び寄る魔の手…。
── モニュッ☆
「…ひゃっ!?」
「ほうほう、見てて思ったけど結構あるじゃんか。着痩せするタイプだな」
「い、いきなり何をする!?」
「お前みたいなクーデレは貧乳と相場が決まってんのにな」
「誰がクーデレだ!」
「さて、お次は…」
両手をワキワキさせ、目を光らせながらシンゲンはその隣へとゆっくり近づいていく。
その先には怯えた様子の二人が。
「へっへっへ…お譲ちゃんたち…可愛い下着してるねぇ」
「い、いやぁっ…」
「まったく、シンゲンはいつもこうなんだから…」
「い、いつもって…はぁ、理解できん。しかし変質者そのものの台詞だな」
「同級生の胸は多分シンゲンに一度は揉まれてるはずよ」
「はぁ…」
逃げまどう下級生二人に容赦なくシンゲンは襲いかかる。まずは捕まえやすいイエヤスから。
「おりゃぁっ!」
「ぁぅ…いやぁっ…」
「なるほどなるほど、小ぶりで程良い揉み心地。手の平サイズで万人受けしそうだな」
ひとしきり楽しんだ後、物陰に隠れるヒデヨシに狙いを定める。
「お前は触らなくても分かりそうだが…それでもテイスティングしないとな!」
「ソムリエみたいな言い方しないでよぉ!」
「さぁヒデヨシ…逃げるとお前の代わりにイエヤスにもっと酷いことしちゃうぞぉ?」
「あ…うぅ…」
その言葉を聞いて動けなくなっている涙目のヒデヨシにジリジリと詰め寄っていくシンゲン。
その様はまるで、虎に襲われて絶体絶命のウサギのようだ。
数秒後、あえなく捕食。
「とったどー!」
「いやぁぁ〜っ」
「思った通りの微乳!まだまだこれからの成長に期待だな!」
「ふえぇぇ…。絶対見返してやるんだからぁ…」
さっきは少し見直したが、やはりこの先輩は変だ…。
そして一切止めようとしない上杉先輩も…止めても無駄だと思っているのか、それとも楽しんでいるのか…?
一癖も二癖もありそうな部員達に囲まれ、これからどうなっていくのか少し不安になったマサムネであった。
ドタバタしつつも、ようやく着替え終わって道場内でくつろいでいると、道場内の扉が開かれた。
立っていたのはヤスヒロ、4人態勢でのムロコー剣道部の始動である。
「「「「「よろしくお願いします!!」」」」」
「お願いします。さて、早速練習を…といきたいところだけど───」
正座で並ぶ5人を順に眺めながら、とりあえずの戦力分析。
ケンシン、マサムネの二人を主力として…シンゲンを完全に使いものにするには、もうちょい鍛えないといけない。
ヒデヨシは初心者だが、運動神経もよさそうだから上達は早いかもしれない。そのためにはすぐにでも基礎を教えたいが…。
「申し訳ないけど、残り一人の部員の確保のため、期限の日までは勧誘に力を入れたいと思う」
冷静に考えれば、理事長が課した期日は一週間だが、日曜日を挟んでしまうため実質今日を入れて4日+期日の日しかない。
当日の何時までという指定は無いが、放課後まで…なんて曖昧な時間設定はしてこないだろう。
朝の時点で打ち切られる事を、大いに視野に入れておかなければならない。つまり、土曜日までが勝負だ。
「まぁ仕方ないよな。揃わなきゃ潰れるんだし、頑張ろうぜ」
「アタシも頑張る!」
「先生、勧誘方法は今までと同じでいいんでしょうか?」
ケンシンから質問が飛ぶ。
「まぁ、それ以外やりようがないよな。地道に続けていくしかないさ」
「わかりました、みんなもそれでいい?」
「仕方があるまい」
「…はい」
「なっしゃぁ!それじゃ早速準備だ!」
2年生組が準備をしている間に、俺は1年生組に声をかける。
「すまんな、入って早々練習もできずに勧誘なんて…」
「ううん、全然オッケーだよ!1から作り上げてく感じでちょっと楽しいかも、えへへ」
この娘のポジティブさには今後も助けられそうだ。妹にしたい娘No.1だな。もちろん良識の範囲内で。
「揃ったとしても、団体で8位以内入賞…私の力がどこまで役に立つかわからないですが、精一杯やらせてもらいます」
なんて頼りになるんだ。なぜ一転してこんなにやる気が出ているのかは謎だが。いわゆるツンデレなのか。なら大好物だ。良識の範囲内で。
この娘のおかげで第2の試練、8位以内の入賞も望めそうだ。
「…頑張ります」
頭数には入れられないが、進んでマネージャーをやってくれるのはありがたい。顧問なんて初めてだし、きっと一人では部を回せないだろう。
この娘と一緒に剣道部を盛り立てていかなくては。そして何より可愛いし愛くるしい。良識の(ry
────────────────────────────────────
早速勧誘を始めたわけだが、うち以外にも勧誘を行っている部活もチラホラある。
そして、意外とそっちには興味を持った人が付くのだが、こっちにはさっぱりだ。
ビラを受け取る人もいるにはいるが、興味は持ってくれない。
そんなに剣道は人気が無いか。でも一人二人はいるはずだ、そんな娘に当たるまで頑張らねば…!!
─── が、ダメっ……!!何も収穫が無いまま、人通りはほぼ絶えてしまった。
「ダメだったね…」
「そう落ち込まないの。まだまだこれからよ」
「ケンシンの言う通り!今日がだめなら明日、明後日だ!」
なんだか、嫌な予感がしてきた。ここまで順調に揃ったというのに…。
頼むから、あと一人なんだ…あと一人…。
── そんな彼女達を物陰から見つめる人影が一つ。制服を着ているということは、この学校の生徒のようだが、一体彼女は…?
おもむろに携帯を取り出すと、どこへやらと電話をかけ始めた。
「…私だ。どうやら今日は工作の必要はないようだ。明日から、だな」
ヒデヨシ「あたしを受け止めてくださああああい!!!!!!!!!(勢いよくケンゾウに飛びつく)」
(ひょい)
ヒデヨシ「甘いです!同じ手は2度食らいません!!」
(がしっ)
ケンゾウ「ぐえっ!」
シンゲン「おおっと!ヒデヨシの飛びつきを避けようとしたケンゾウですが、避けられる瞬間に
ヒデヨシがケンゾウの首に腕を絡めてそれをブロック!そのままフライングネックブリーカーの
要領でケンゾウをなぎ倒したぁ〜〜〜〜!!!!!」
ケンシン「それは違うネタでしょ!…って、ケンゾウ!大丈夫!?」
ケンゾウ「げほっげほっ……こ、殺す気かこのアホぉーーーっっ!!!!」
ヒデヨシ「違いますよぉ〜。あたしはただ今朝の二の舞にならないようにしただけです!
そのときあたしはケンゾウ先輩に傷モノにされちゃいましたから」
ケンゾウ「アレはお前が勝手に自爆して…」
小早川「おい、ケンゾウの奴、あの1年のコを傷モノにしたらしいぞ」
黒田「上杉君鬼畜〜」
ケンゾウ「お前らいい加減帰れ!!」
ヨシモト「(いきなり登場)あの…、誰か私のことを呼びました?」
一同「「「いや、呼んでない呼んでない」」」
ヨシモト「あら、そうですか。いきなり殺す気かとか言われたような気がしたのですけど…(立ち去る)」
ケンゾウ「今川の奴、いったい何しに出てきたんだ…?」
ケンシン「まさか、『アホ』の言葉に反応したのかしら?」
ケンゾウ「相変わらず訳わからん奴…(つーか姉さん、今微妙にひどいこと言わなかったか?)」
─── 某所
「そう…わかったわ、ありがとう」
豪華な応接用ソファに座っていた彼女は携帯を閉じ、ン〜っと伸びをする。
そんな彼女の後ろの方から声が飛ぶ。
「遊ぶのもいいが、あまりいじめてやるなよ」
その声に振り向くことなく、彼女は自身の髪をいじりながら応える。
「私としてはどうでもいいんだけど…ヨシモトがあんなに必死になるとは思わなかったから、つい…」
「それだけではないであろう?」
「ふふ、わかる?彼がどう対応するか…それが少し見たくなってね」
「ほう…随分お主の中で評価があがっておるようだな」
「冗談はよして。ただの暇つぶしよ」
これくらいで凹まれても困るわ、もっと喰いついてきなさい…ふふふ…。
─────────────────────────────────
予感は的中した。
こういう悪い予感だけは的中するのが世の常というならば、それはなんて残酷な事なのだろう。
ついに、あと一人というところで、土曜日を迎えてしまった。
「なんでこうなるんだ…どうしてあと一人が見つからないんだ…」
しかもここ2日は、勧誘中生徒たちに明らかに避けられているような感覚まで覚えた。
一切手ごたえのない、不完全燃焼。こんな結末だけは避けなければ…。
土下座してでも、理事長に月曜の放課後ギリギリまで待ってもらおう。
彼女たち剣道部を救うためなら、俺は格好悪かろうがも何でもやらなければならない。
そういうわけでまずは理事長室へと足を運んだ。
姉さん!黒い!(゚∀゚)。彡゚
ヨシモト自覚してたんだな・・・・・・・・w
hoshu
── 理事長室
「失礼します!」
朝一番で理事長室へと向かうと、いつものように理事長はそこにいた。
「久しぶりだな、剣道部のその後はどうだ?聞くところによると、4人程集まったようだが…」
「その事なんですが…あと一人というところでどうにも難航しているんです」
「ほう、ではマズいのではないか?期限まであと幾ばくもないぞ」
「そこでお願いがあります」
俺は数歩下がり、膝をついた。
「おいおい、何をしている ──」
「お願いです!どうか月曜の放課後ギリギリまで、チャンスをください!」
「…我は来週までといったはずだ。つまり明日の日曜が来た時点で期限は終了している…違うか?」
「言いました…!言いましたが…今回、『来週』の定義を指定まではしていない…そのことをどうか理事長も思い出して頂きたい。
つまり…その気になれば、期限の設定は次の月曜日、さらには土曜日までということも可能だろう…ということ…!」
「ハハハ!大した屁理屈だ!いや、まいったまいった…」
理事長は大口を開けて笑った。だが、笑われて済むことではない。俺はさらに、頭を下げ、ついに土下座した…。
「お願いします!月曜の放課後までどうか…!」
「わかっていないな、ヤスヒロ君」
「…え?」
理事長は一転物静かな口調へと戻る。
「人間、いよいよとなれば頭などいくらでも下げる。問題なのはその行為ではなく誠意であろう?腹の底から嘆願しているかどうかだ。
本当にお願いしたいという気持ちで胸が一杯なら、どこであれ土下座ができる…例えそれが ───」
ざわ…ざわ… ざわ…ざわ…
ざわ…ざわ… ざわ…ざわ…わっふる…
ざわ…ざわ…わっふる…
ケンゾウ「…で、豊臣。いったい何の用だ?」
ヒデヨシ「はい、先輩と一緒にお昼しようと思いまして。おにぎりの最新作を作ってきたんです☆」
ケンゾウ「うっ…、蘇る忌まわしき記憶…」
シンゲン「お、何の話だ?もしかして過去におにぎりを作ってきてもらったことがあるのか?」
ケンゾウ「ま、まあ一応は…」
シンゲン「なあなあ、どんなおにぎりだった?(興味津々)」
ケンゾウ「…醤油を垂らしたプリンの入った『うにぎり』とか、蜂蜜を垂らしたキュウリの入った『メロンおにぎり』とか、
納豆とバナナの入った『バナ納豆おにぎり』、さらには『ハバネロキムチ鷹の爪にぎり』とか…」
ケンシン「どこかの自称『ビューリホー女子大生』も真っ青なものばかりだったわ…」
ケンゾウ「特に最後の奴はあまりの辛さに尻が焼けるようでずっとトイレに篭ってた覚えが…」
ヒデヨシ「今度は大丈夫ですよぉ〜!過去最高の自信作なんですから〜!!」
ケンゾウ「…かなり不安なんだけど…。とりあえずさっさと中庭に行くか」
ケンシン「そうね、いつまでもここで立ち話してても埒が明かないし」
シンゲン「そうそう、早く行こうぜ!」
(中庭)
シンゲン「いっただっきまーす!!」
ヒデヨシ「いっただきま〜す!!」
ケンシン「いただきます」
イエヤス「いただきます…」
ケンゾウ「………」
シンゲン「おいおいケンゾウ、ちゃんといただきますしろよ」
ヒデヨシ「そうですよケンゾウ先輩!お行儀悪いですよ〜!」
ケンゾウ「…何で徳川がここにいるんだ?」
イエヤス「…いけませんか?」
ケンゾウ「い、いや、別に悪いことはないんだけど…」
イエヤス「でしたら、無問題(モウマンタイ)です…」
ケンゾウ「…なんでそこでナイ○イの岡○っぽくなるかな…?」
イエヤス「細かいことを気にしては負けです…」
ジュゥー… ジュゥー……
ジュゥー…
ジュゥー……
理事長が一旦部屋の横にある扉に目をやったかと思うと、扉が開き、中から鉄板が運ばれてきた…。
派手な音を立てて、肉焦がし…骨焼く…鉄板っ……!!
ではなく、ステーキが乗っかった鉄板…いわゆるレストランで出てくるような小さいものだ。非常においしそうな音だ。
例の眼帯の理事補佐が、その鉄板を持って出てきたのだ。
「っと、朝食が来たか」
朝からステーキ…?胃がもたれそうな気もするが、規格外の理事長の事だ。これが普通なんだろう。
理事長は、なぜか刃の根元が丸く切り抜かれているようなナイフでステーキを切り分け、口に運ぶ。
「うむ、うまい!」
「……」
「あぁ、そういえば話の途中であったな」
「はぁ…」
理事長はナイフとフォークをおき、ナプキンで口を拭く。
「まぁ…男に土下座までさせて、心はどうして動き出せない事も無い」
「えっ…ていうことは…」
「勘違いするな。期限は期限…今日一日がラストチャンス、それは守ってもらう」
……?じゃあどうしろというんだ。期限がそのままじゃどうしようもないじゃないか…。
「ひとつ良い事を教えておこう。お主、生徒会長は知っておるか?」
生徒会長?例のあの斎藤って娘か。知ってるも何も、この前短い時間ではあったが随分からかわれたものだ。
しかし何故ここで生徒会長の話が出てくるのか。
「一応…生徒総会でも見かけましたし、その前にも一度会ってるので」
「ふむ。では、その総会で何か気付いた事は?」
気づいた事…??あっ……そういえば、ベテラン先生も口をつぐんだ、あの妙な光景…。
「3年が…いませんでしたね」
「正解だ。3年がいない生徒総会…まぁ普通ではありえんな。だが、我が校では大いにありうるのだ」
「と、言いますと…」
「我が校は、3年というのは別格なのだ。もちろん勉強もし、部活にも勤しむが、ある種自治権…とでもいったものを持っているのだ。
それゆえ、1,2年とは別行動を取ることが多い」
言われてみれば、この校舎の構造も変だ。どう考えても、教室の数は2学年分だけしかない。
今まで気づかなかった…じゃあ3年はどこにいるんだ?
「少し逸れたな。で、良い事というのは、その生徒会長についてだ」
「生徒会長が、剣道部に何か関係あるんですか…?」
「多分、ではあるが、ここ2,3日勧誘の際におかしなことはなかったか?例えば、あからさまに避けられるといった…」
「あ、ありました!ただ興味がないっていうよりは、むしろ嫌がっているような…」
「その理由は、秘密裏に行われた生徒会による工作だ。剣道部に近づかせないためのな」
「えぇっ!?!?」
まさか、そんなことが…!?生徒会が、妨害を…?大体、上杉だって役員じゃないか!つまり彼女にも内緒で秘密裏に…。
自分たちの組織の一員が所属している部に、平然とそんなことをするなんて…!!
大体、そんなことをして何のメリットがあるっていうんだ!
「まぁ、奴からすれば遊び感覚だろうが…止めさせるには直接言わねば通じんだろうな」
「そんなことが許されるはずがない!理事長、教えてください、生徒会長は今どこに!」
「そこがさっきの話のミソだ。3年は1,2年とは違う校舎におる」
「違う…校舎?」
「おい、お前。案内してやれ。そして、部員にも上意を出しておけ」
理事補佐は頷き、どこかに電話をかけ始めた。生徒会長斎藤ムラサメ…一体彼女は何を考えているんだ…。
「我からの見返りはここまでだ。後は自分で何とかするがいい」
「ありがとうございます、理事長」
「そろそろ授業も始まるな。剣道部の部員達は公欠扱いにしておこう、一日かかるかもしれんのでな」
「へ…?一日…?」
「それでは榛名先生、ついていらしてください」
「え?あ?はぁ」
腑に落ちない様子で、補佐に連れられ理事長室を出ていくヤスヒロ。その様子を見届けた後、理事長は再びステーキを口に頬張った。
「うむ、うまい。お主もどうだ?」
「私は結構。朝からそんなもの食べてたら、肌に悪いわ」
奥の扉から姿を現したのは、斎藤ムラサメその人だった。
「そうか?うまいのにな」
「美味しいのは知っていてよ。でも、時と場合によるわ」
「そんなもんか。さて、今日は面白くなりそうだな?」
「まぁ、ね。土下座なんてものも見れたし…」
「それほど部員を大切に想っているのであろう。妬けてしまうか?」
「…バカ」
「まぁ、そういうわけだから奴にも声をかけておけ。久しぶりに骨のある奴が来た、とな」
「言われなくても…。それじゃあ後でね」
「あぁ」
───────────────────────────────
理事補佐に連れられて来た先は、1-Bの教室…。聞いてみると、どうやら先にHRを済ませろとのことだ。
確かにもうそんな時間ではある。
普段通りにHRを始める。さっき理事長の言っていた感じからすると、何故か部員達も駆り出されるらしい。
生徒会長には、剣道部全員で会いに行けという事か。しかし一日かかるってのは…?
そんな不安げな視線をヒデヨシとイエヤスに送っても、彼女らは不思議な顔をするだけだった。そりゃそうだ。
そしてその時は来た。
HRが終わり予鈴が鳴り響いたその時、教室の扉が不意に開かれた。
ガラッ! 「上意である!」
一人の女生徒が、叫んだと同時に何やらプリントを持って入ってきた。
そしてそのプリントをしげしげと眺め、口を開いた。
「1年B組担任榛名ヤスヒロ、並びに徳川イエヤス、豊臣ヒデヨシ以上3名。只今すぐに3年生居棟『封印塔』に出頭するべし!」
教室内がざわざわと騒ぎ始める。
ヒデヨシとイエヤスも何が起こっているのかさっぱりな様子だ。
「以上、しかと申し渡した」
そう言って、彼女は出て行ってしまった。
入れ替わりに補佐が中に入り、ヒデヨシとイエヤスに声をかけ、俺に目配せをして教室の外に連れ出した。
「先生…なぁにこれ?一体どうなってるの?」
「俺もよくわかんないんだけど、とにかく剣道部のために生徒会長に直訴しにいくんだ。詳しくは後で話す」
見ると、隣のC組の教室からさっきの女生徒が出てきた。そしてしばらく後に、マサムネが怪訝そうな顔で続いた。
「あ、ムネリ〜ン!」
「ヒデヨシか…というより、いつもの面々だが…先生、一体これは何なのだ?」
「俺もよくわかんないんだけど以下略」
─── 2階、2-Bの教室
「あ〜あ、何かヤバいなぁ…このままじゃせっかくマサムネとか入ってくれたのに潰れちまうよ…」
「まだ今日があるわ。気落ちしないで私たちの熱意を届けるのよ」
「そうは言ってもさ〜…な〜んか変なんだよな。まるで悪の組織がオレたちの邪魔してんじゃねーのかってぐらい人集まんないしさ」
「ほら、ウダウダ言ってないで。一限目は教室移動よ、準備して」
「う〜い」
シンゲンとケンシンが、移動のための準備をしていると、不意に教室内に声が響き渡る。
「上意である!」
教室内にどよめきが起こる。
2年ともなると、3年の処遇も噂で聞いたことがある。そして上意というものが本当にあったのかという驚き。
そしてそれが自分たちの誰かに向けられているという事態が、教室内のどよめきを加速させる。
「すげぇ!3年からの呼び出しだ!誰だろな?」
「…それにしても新学期早々にこんなことが起こるなんて」
女生徒がプリントを眺め始め、教室内が一瞬静まり返る。
「2年B組上杉ケンシン、武田シンゲン以上2名!只今すぐに3年生居棟『封印塔』に出頭するべし!」
全員の目が二人に向けられる。
「げぇっ!?オ、オレ?」
「私たちってことは…剣道部…?」
「あんたたち何やったのよ〜」「しっかりな!」「いってらっしゃ〜い」
皆自分でない事にホッとし、騒ぎ立てる。
「おまえらなぁ〜、他人事だと思って…くっそ〜」
「でも、封印塔なんて、どこにあるか知らないわよ…」
「まぁ…とりあえず行くか。あいつについていけばわかんだろ」
先ほどの女生徒は教室の入り口にまだいた。道案内のためだろうか。
二人は、クラス中に冷やかされながら彼女の後についていくことにした。
ブレードさん乙です!
やっと魁の意味がわかりました
ここで男塾ネタできますかwww
続きを期待してます!
122 :
ヽ(´∀`≡´∀`)ノ7777さん:2009/12/03(木) 19:17:42 ID:EQC0Ox+z
きっと、大豪い…じゃなかった。
ノブ様が…
大量投下乙です!
地味にBLOOD+ネタがあったような…w
女生徒についていき教室を出た後、階段を下りるとそこには見慣れた面々が揃っていた。
シンゲンはその姿を見つけるとブンブンと手を振った。
「お、先生〜!!」
「あなたたちも、呼び出しを?」
「うん!よくわからないけどそうみたいです」
「一体何がどうなっているのだ…」
「…不安です」
現時点での部員全員が揃ったわけで、しばしのご歓談をというわけにもいかないようだ。
気づくと、ケンシンとシンゲンの先に立っていた3年生と思われる女生徒の姿は既に無かった。
騒いでいる部員たちを尻目に、補佐は一言「こちらです」と、スタスタ歩き出した。
「お、おい!お前たち喋ってないで行くぞ!」
「は〜い」
まるで遠足かDQのPTのように並んで校舎を出る。
その後どこにいくかと思えば、体育館方面に向かっているようだ。
「こっちって体育館しかないんじゃねぇの?」
「少なくとも、私はそう思ってるけど…先生、どうなんですか?」
「俺もさっぱりなんだよ。大体俺だって赴任したばっかだから地理もよくわかんないし」
そうこうしているうちに、工事現場にあるような立ち入り禁止の看板が立てられている体育館の裏側へと続く路地。
ここを超えて進むことになった。
「ねぇねぇ、こういうとこってカツアゲの名所なんでしょ?」
「怖い…」
「今もそうなのかは知らんが、まぁ普段立ち入るような場所ではないことは確かだ」
陽の光も届かず、暗くジメジメとした細道をグネグネと進んでいくこと数分、補佐が足を止めた。
目前にそびえるのは、巨大な門。こんなものがこの敷地内に存在したという衝撃が、部員たちの中を駆け抜けた。
唖然としている俺たちに、補佐は声をかける。
「私が案内できるのはここまでです。ここからは出頭命令のあった皆さんだけです」
「あ、ありがとうございます」
それにしても、こんな大仰な門まで立てて、ここの3年生は一体どういうつもりなんだ?
「まぁいいや。さっさと入って斎藤に会いに行くか」
「榛名先生…あなたは新任だからまだわからないんです、3年生の力を。それに、生徒会長だけではありません。
その前に3年生学年委員、織田ノブ ───」
ギギ…
いきなり門の扉が開いて、その隙間から声が飛ぶ。
「フッフフ。眼帯、いつからそんなにオシャベリで教師思いの補佐になった。さぁ6人は入って来い」
なんだか不気味だが、とりあえず中に入ってしまうのが一番だ。
大体、3年に会いに行くのがこんなに手続き踏むとは、なんて面倒臭いんだ。
「そんじゃ3年とのご対面といくか」
「えぇ、行きましょう」
門をくぐり、6人は中に入って行ってしまった。
一人残った補佐は、空を見上げ呟いた。
「わかってない…なにもわかってないのです、あの人たちは…!!」
──────────────────────────────
門をくぐると、再び門が。今度は何かしらの建物の入り口のようだ。
先ほどの3年生が、門の前で腕組みをして立っていた。なんか迫力のある女子だ…。
「これが…ナントカっていうとこへの入り口か?」
「封印塔、よ。それにしても何だか趣味の悪い建物ね」
いつもならここでヒデヨシがテンションあがって騒ぐはず、と思っていたイエヤスは、どうもヒデヨシの様子がおかしい事に気づく。
「ヒデっち…どうしたの?怖い顔して。さっき補佐さんの話聞いてからおかしいよ」
「えっ。…ん〜ん、なんでもないよ…」
「…そう。それならいいけど…」
「さぁ入れ。3年生筆頭がお待ちだ」
先ほどの3年が中に入るように促す。筆頭?さっき理事補佐が言っていた学年委員のことかな。
生徒会長に会うために、わざわざ学年委員を通すのか?
「もっともこの鎮邪禁直廊を通り抜け、筆頭のお待ちあそばす奥の院まで辿り着けた時の話だがな」
「鎮邪禁直廊……!!」
『鎮邪禁直廊』 戦国時代、北の甲賀と並ぶ南の伊賀に学ぶ忍者達が、その修業を極めた者としての証として最後に挑戦した。
本殿まで一直線状に伸びた直廊の中はいくつかの房に区切られ、そのひとつひとつに仕掛けや番人がおり、そこを通り抜けられた者
だけに修業証が授けられたという。 ──民明書房刊「日本忍術大覧」より
「なっしゃ〜、面白れぇ!最初はオレに切らしてもらうぜ」
シンゲンは勢いよく門の扉を開けた。
だが、その扉を開けた瞬間、中のすさまじい雰囲気に全員が固唾を飲んだ。
ヒュウオオォォ……
奥まで伸びる無数の針の山……ではなく、足ツボマッサージの凸凹だ。
その先では、凸凹の上で座禅を組んでいる少し太めの女生徒がいた。
「乙女とはなんぞや……!?命とはなんぞや……!?返答せい!!」
127 :
ヽ(´∀`≡´∀`)ノ7777さん:2009/12/04(金) 18:22:47 ID:4QUNp5kA
>>115 おにぎりの具でまさかとは思ったが
やはりメモオフの小夜美さんかwwwwwwww
独眼鉄wwww
音ズレ直廊ってw
130 :
ヽ(´∀`≡´∀`)ノ7777さん:2009/12/04(金) 22:02:31 ID:HCd0Zimo
鎮邪禁直廊て…WWW
ブレードさん狙いすぎwwww
....だがそれがいい!
ヒデヨシ「イエヤス先輩はあたしが誘ったんです。中学時代は同じ部活だったんですよ」
ケンゾウ「徳川と豊臣って同じ中学だったのか?」
イエヤス「…言ってませんでした?」
ケンゾウ「初耳だぞ」
ヒデヨシ「それよりもケンゾウ先輩。あたしの作ったおにぎり食べください。ほらほら、遠慮しないで」
ケンゾウ「わ、わかったからそんなに押し付けるなって。(おにぎりを受け取る)」
ヒデヨシ「(じぃぃぃぃぃぃ)」
ケンゾウ「そんなにガン見しなくたって食べるから…。(ぱくっ)」
ヒデヨシ「(わくわく)」
ケンゾウ「………これって、中身の入ってない塩で味を付けただけなんだな」
ヒデヨシ「えへへ、実はその…、今日はちょっと材料が足りなくて1個だけ中身を入れてなかったんです」
ケンゾウ「ハッキリ言うぞ。今までの中ではこれが1番美味い」
ヒデヨシ「ほ、本当ですか!?」
ケンゾウ「つーか、今までのが変なものばかり入っていたからな…」
ヒデヨシ「あ、ひどいこと言ってます〜。…でも嬉しいです。えへっ☆」
ケンシン「あ、ケンゾウったら、ご飯粒なんかつけて。子供じゃないんだから…(ケンゾウについているご飯粒を取る)」
ケンゾウ「え?ちょっと姉さん、こんなところで恥ずかしいって」
ケンシン「それじゃあそのまま午後の授業に出るつもり?」
ケンゾウ「うっ…」
シンゲン「…………(じ〜〜〜〜)」
ケンシン「な、何よシンゲン?ずっとこっちの方を見て」
シンゲン「お前らって家ではいつもこんな感じなのか?」
ケンシン「どういう意味よ?」
シンゲン「オレもお前らの家で飯ゴチになったこと何度かあるけど今みたいなやり取りは初めて見たからな」
ヒデヨシ「ええ〜っ!ケンシン先輩って家ではいつもケンゾウ先輩とこんなことしてるんですか!?」
ケンシン「してないわよ!今のはたまたまケンゾウが…」
シンゲン「でも、お前らだったらこんなことが日常茶飯事であっても別に不思議じゃないかなあ…」
ケンゾウ「すぐにそっちの発想に至るシンゲンさんの思考回路の方が不思議なんですけど…」
シンゲン「(聞いてない)ん〜、たとえばだなあ…」
(シンゲンの妄想)
ケンシン「ケンゾウ、ご飯出来たわよ〜」
ケンゾウ「お、今日はシチューか」
ケンシン「うふふ、今日のはちょっと自信があるのよ。さ、早く食べましょ」
ケンゾウ「それじゃ、いただきま〜す」
ケンシン「あっ、熱いから気をつけて…」
ケンゾウ「あちっ!」
ケンシン「あ〜もう〜、言ってるそばから…。ちゃんとふーふーしないとダメじゃないの」
ケンゾウ「ご、ごめん…」
ケンシン「(ふーふー)はいケンゾウ、あ〜ん☆(ケンゾウの前にシチューの入ったスプーンを差し出す)」
ケンゾウ「…え?」
ケンシン「あ〜ん」
ケンゾウ「えっと…、その…」
ケンシン「あ〜ん!!」
ケンゾウ「(うぐっ…、どうやら受け入れるしかなさそうだな…)あ、あ〜ん…(ぱくっ)」
ケンシン「どう?おいしい?」
ケンゾウ「う、うん、とてもおいしいよ」
ケンシン「よかった、うふっ☆…それじゃあ…(そういって口を開けて何かを待つ)」
ケンゾウ「(…今度は俺が姉さんに食べさせてってことか…)そ、それじゃあ姉さん、あ〜ん…」
ケンシン「(ギロッ)姉さんに火傷をさせる気?」
ケンゾウ「(びくっ)ご、ごめん…。ふ、ふー、ふー…。はい姉さん、あ〜ん…」
ケンシン「あ〜ん、(ぱくっ)…うふふ、おいしい。やっぱりケンゾウに食べさせてもらったからかしら?」
ケンゾウ「そ、そうかもしれないね…(ま、いいか…。姉さんも喜んでいるみたいだし)」
(妄想終了)
シンゲン「…というようなやり取りが実は毎日行われていたり…」
ケンシン「しないわよ!!」
ケンゾウ「どこのバカップルですか!?」
ヒデヨシ「ケンシン先輩ずるいですよぉ〜!あたしもケンゾウ先輩にふーふーあ〜んしてあげたいですぅ〜!!」
ケンゾウ「お前も人の話を聞けって!!」
「さあ答えんか!乙女とはなんぞ!鎮邪禁直廊万針房番人三年生ドクガンテツ聞かせてもらおう!」
異様な風景であることは間違いないのだが、何故だか少年時代を思い出す胸の熱くなる展開だ。
「なんだありゃぁ。いきなりわけのわからないことぬかしやがって…」
「乙女とは、ですって。乙女って言ったらポ ──」
「…上杉先輩、それ以上言うのは危険です…」
「何にせよ、言葉で説明しても聞いてくれる相手でもなさそうだ、行動で示すしかないな」
マサムネがそうつぶやくと、シンゲンは袖をまくった。どうやらやる気まんまんのようだ。
「なっしゃー!面白ぇ、正解者には賞品にハワイ旅行ってか。オレが行って答えてやる!」
シンゲンは一歩前に出て、しげしげと足ツボの山を眺める。
「とは言ったものの、こんなん靴履いてれば何の関係も ──」
「ここは土足厳禁!靴下もだ!裸足でのみ返答を願おう!」
奥から声が飛ぶ。つまり裸足でこの足ツボゾーンを抜けないといけないわけか。
そうなるとやっかいだ。やってやれないこともないが、これはかなり痛そうだ。
「なるほど、そういうことか。やってやろうじゃんか!」
「アタシが行く!」
シンゲンがローファーを脱ごうとすると、横からヒデヨシがズイと前に出る。
「ヒデヨシ、そりゃぁねえだろ。こいつはオレに任せて…」
「アタシが行くったら行くんです!」
「なんだよ、えらくおっかない顔して…」
そう言うと、ヒデヨシはローファーと靴下を脱いで裸足になる。
う〜む、生足女子高生…いやいや、そんなこと考えてる場合ではない!立候補したからには何か秘策があるのだろうか。
ヒデヨシは制服の裾をヘソ上までたくしあげ、そこで結んだ。そして脱ぎ捨てた靴下を何度か折り、スポンジのように。
それを手に持ち、足ツボの前で屈んだかと思うと、いきなり足を蹴り上げ逆立ちの状態に!
「うわっ!」
俺は咄嗟に目を手で隠し目線をそらす。
あんな格好で逆立ちしたら丸見えになっちゃうじゃないか!近頃の女の子ははしたないというか、抜けてるというか…。
…チラッ
「あ、やっぱりチラ見した」
「げぇっ、上杉!な、何を確認してるんだ!」
手の隙間から見えた光景は、眼前に迫る上杉の顔。
「先生のことだからもしかしたら…って思ったけど、案の定…」
「変態教師だな」
「ケダモノ…」
「あ〜あ、これだから男ってのは…」
総攻撃だ。でも俺だって男だぁ!見ちゃいけないとわかってても見てしまうんだ。
「仕方がないだろう!これが男のサガだ!」
「うわ、開き直っちゃったわね…」
「まぁ何にしろ、先生にとっては残念な結果だろうけどな、ほれ」
「残念って…あれ?短パン穿いてるのか…」
「…私たち、一限目は体育でしたから…ヒデっちは用意周到なんです」
「あ、そう…」
残念無念。でも実際逆立ちで丸見えなんてのも、よくよく考えれば色気がなくてつまらん。
それより特筆すべきは、あのヒデヨシの作戦だ。手に靴下のクッションを挟んで逆立ちすれば確かに痛くないし、裸足という条件もクリアーだ。
あの3年が何も言わないことがその証拠だ。しかし逆立ちがうまい。運動神経がかなり良いんだろう。これだけ重心バランスがいいなら、剣道の方も期待できそうだ。
「よーしそのまま行けヒデヨシー!」
「気を付けてー!」
ヒデヨシは軽々と逆立ちで進んでいく。疲れもなさそうだし、これなら…!
半分ほど進んだところで、ドクガンテツは天井から垂れているヒモに手をかけた。
「ふぅ…もう少し…」
「答えい、乙女とは…!」
グイッ
「きゃぁっ!」
「ヒ、ヒデヨシー!」
ドクガンテツがヒモを引っ張ると、横から無数の槍が…!ではなく電マが…!
「わっわっわっ!?えぇ〜い!」
「おぉ、なんとか全部避けてる!危ねぇ危ねぇ…それにしてもヒデヨシの奴、すげぇ気迫だ。こりゃやっぱりなんかあるぜ」
─── 某室
「フッフフ、やるようじゃのう」
モニターには万針房に取りつけられたカメラから送られた映像が出ている。
その前には、椅子に座った一人のバカでかい女生徒…おおよそ10mはあるだろう。
そしてその周りを取り囲む多くの生徒達。
「もっともこれしきの事でくたばるようでは、ワシが呼んだ意味がないというものじゃ」
巨大な女生徒は、これまた巨大なグラスで何やら飲んでいる。
そしてモニターに映るヒデヨシに向ける金色の目からは、何を考えているのか全く読む事が出来ない…。
「答えい、乙女とは!!」
「お、おい、あんにゃろう何か変な物取りだしたぞ」
ドクガンテツが取りだしたのは、巨大な刃の付いた円盤のような武器…!ではなく普通のヨーヨー…!
「あ、あれは!」
「ストリングプレイスパイダーベイビー!!」
「ヨーヨーの化けもんだーっ!!」
「フッフフ、攻撃ではなく私の特技を披露しただけだ…答えい、乙女とは!」
「う、うるさい!そっちに辿り着けばいいんでしょ!今答えを教えてあげるんだから!」
「よし、聞かせてもらおう。この答えにお前の進退がかかっておる。答えい、乙女とは!」
「え〜い!」
ヒデヨシは逆立ちをやめ、足ツボの上を走りだした!
「ヒデヨシーっ!」
「大丈夫…乙女を問われてヒデっちが間違った答えを出すはずがない…」
「うりゃああ!!い、いたっ!うぅ〜!えぇぇい!!」
「フフフなるほどな。さあどんとこい!」
あと数歩…!ヒデヨシが足ツボの山を越えようとした瞬間、足の痛みからか、ヒデヨシは前につんのめった。
「これが豊臣ヒデヨシの乙女だ──わ、わ、わぁ!?むぎゅっ!」
勢い余って、ヒデヨシはドクガンテツの腹に頭から突っ込んでしまった。
「へぇーっ、まともに腹で受け止めやがった。たいした自信だぜ」
「なかなかの答えだ。しかしこれではまだ正解とは──」
「うぅ〜、いたたぁ…」
ガンッ!
「いった〜い!」
ヒデヨシは起き上がろうとした瞬間、今度は後頭部をドクガンテツのアゴにぶつけてしまった。
「わわぁっ!ご、ごめんなさ〜い!でも私悪くないもん…」
「決まったぁ!ヒデヨシの腹とアゴへの二段攻撃!」
「たまたまだと思うけど…」
それでも微動だにしないドクガンテツ。なんというタフさだ…。3年生とはこんなにも恐ろしいものなのか。
「フフフまぁいい、正解としておいてやるか。確かに筆頭がお呼びになるだけのことはあるようだな。
次に会う時まで貴様の答えは預けておく」
再び天井のひもを引くドクガンテツ。今度は長い板がシンゲンたちのもとまで渡らされた。
「あぁん?」
「さぁ通れ。鎮邪禁直廊次の房が貴様らを待っている」
「へっ、サービスのいいこったぜ。オレ達も逆立ちして渡んのかと思ってた」
全員板の上を渡ると、奥の方ではヒデヨシが疲れた様子で座っていた。
「さすがじゃねぇかヒデヨシ!」
「こ、これくらいへっちゃらだもん…」
「ヒデヨシ、もう話をしてくれてもいいのではないか?3年の学年委員…お前と奴の間に何かあるのか?」
「…放っといて。皆には関係ない…アタシひとりの問題だから…」
「だけど…」
「まぁいいじゃねぇか。このナントカってとこを抜けてそいつに会えば全てわかるんだ。早いとこ次の房も片づけちまおうぜ」
シンゲンはそう皆を諭すように言うと、次の房の扉をバンバンと叩く。
ふ〜ん、武田も意外と空気を読んで場を鎮めることもあるんだな。これは意外だ、やっぱ長く接してないとわからないもんだな。
「なっしゃぁ〜!行くぜい!」 バァァン!!
ヒョオオオオオ……
「…なんだこりゃ?またどんな仕掛けがあるのかと思ったら、何の変哲もないただの廊下じゃんか」
シンゲンの言う通り、次の扉を開けた先は特に何もない直廊が伸びるばかり。
先の方は暗くて見通すことはできないが、見る限りでは別段これといった大仰な仕掛けはない。
「私が様子を見てくるわ」
「ま、まてよケンシン!今度こそオレの出番──」
ケンシンが数歩先へと進むと同時に、天井から不穏な音が響いた。
ガガガガガッ ガシャーン!!
「…!」
「ケンシーンッ!」
天井から降りてきたのは鉄格子…俺たちの力では開きそうにもない頑丈な鉄格子だ。
ケンシンのみが鉄格子の向こう…完全に遮断されてしまった。
「これは…!」
「フフフ、その鉄格子で仲間が手助けできないようにしたってことね。随分私もなめられたものだわ」
ケンシンが更に奥へと数歩…すると突然、両脇にある排水溝のような箇所から液体が流れ出てきた。
それはケンシンの周りを覆いつくし、どうやら身動きが取れなくなったようだ。一体この液体は…!?
「どうした!?ケンシン!」
「くっ…これは…」
「フフフ、動けまい」
突然、奥の方から人影が現れた。
先ほどのドクガンテツとやらとは違い、スリムでとても利発そうな顔立ちをしている。
だが、その瞳の奥には冷たい炎が静かに燃えているような印象を受ける。
「あ、あなたは…!」
「やぁケンシン、相変わらず元気そうだ」
「なんだ?ケンシンそいつと知り合いなのか?」
「…生徒会の副会長よ」
「な、なにぃーっ!?」
副会長、と呼ばれた女生徒は掛けているメガネを指でクイッと直し、うやうやしくお辞儀をした。
「後ろの奴らは私を知らんだろう。私は明智ミツヒデ…只今紹介にあずかったが生徒会で副会長をやらせてもらっている、以後お見知りおきを…」
「生徒会ってことは…!お前らが剣道部に妨害を!」
「妨害、とは聞こえが悪いな。あれはただの会長の戯れだ、お前らにはそれにつきあってもらっただけのことさ」
「…いくら会長でも、そんなことが許されるはずがないわ!」
「そうだ!ケンシンそいつをぶん殴ってさっさと進むぞ!」
「ぶん殴る?ふふ、面白い。さぁケンシン、私を殴るならさっさと近寄ってくるがいい」
ミツヒデは頬を差し出して挑発する。
だが、ケンシンは一行に動かない…いや、動けないのだ。
「くっ…」
「先輩はさっきの液体で動けないようだな。一体なんなのだあれは…」
「せっかくだ、この房の説明をしてやろう」
ミツヒデがパチンと指を鳴らすと、ケンシンの頭上で何かが動く音がした。
一同がそこに視線をやると、大きな水槽が設置されていた。中には何やら水のような液体が入っているようだ。
「その水槽の中身は濃硫酸だ」
「な、なにっ!?ふざけんな、死んじまうじゃねぇか!!」
「冗談だよ冗談。中身はペペローションだ。そしてケンシンの足元の液体もペペローション…うかつに動けばどうなるかわかるだろう?」
つまり、ケンシンが動けずにいるのは、滑って転んでローションまみれになるのを避けているという事か。
女子高生にローション…なんて素晴…けしからんトラップなのだ。
俺としては、ケンシンには勇気を持って動いて欲しい!それで転んでも仕方が無い!仕方が無いんだ…っ!!
「元はこの垂溶房は私の管轄ではないのだが、お前らがどれだけのものか確かめたくて、私自らやってきたというわけだ」
ミツヒデがスッと横へずれると、奥には蝋燭が静かに燃えている…その上にはロープ。
すでに炎はロープを焦がし始めている。ロープの先には…。
「そしてその水槽は、あのロープが切れると中身がぶちまけられる仕掛けになっているそうだ。ふふ、随分な仕掛けだな」
「あんな遠くにあっては、消しようがないではないか」
「つまり、動かねばじきにローションまみれ、動いてもローションまみれは必須ということだ。さぁどう切り抜けるかな?」
── 某室
「オッス!失礼します!」
数人の女生徒が、5人がかりで運ぶほどの巨大な徳利を持って登場し、先ほどの巨大な女生徒のグラスに注ぐ。
「ミツヒデか…あ奴はドクガンテツと違って程を知らぬからな。本来の目的を忘れなければよいが…」
── 垂溶房
「先輩…頑張って…」
「いやぁ楽勝じゃねーの?」
「どういう意味だ?武田先輩」
「まぁ見てなって」
いやに自信たっぷりだな武田は。それだけ上杉を信頼しているということなのか。
「だが、私はそれを待てるほど人間が出来ていないのでな」
ミツヒデが何やら構え始めた。そして何かを投げつけるような動きを見せた瞬間 ──
ケンシンから声が漏れる。
「い、いたッ…!」
「先輩!」
「ふふ、お前の気の強い顔が歪むのを見ると、とても気分が高揚するよ……はぁっ!」
「痛っ!くっ…」
ケンシンが痛がるたびに、足元のローションに何かがポツンと落ちる。あれは…画鋲?
「あ、あれが世に聞く朱雀鋲爆砕…!」
「なにぃ、知っているのかマサムネーっ!」
『朱雀鋲爆砕』 戦国武術400年の歴史を誇る、本能寺教体拳最大の秘技とされている。
無数の鋲を敵に投げつけ殲滅する技で、かつてはクナイを投げていた。体得できたのはほんの数人と言われている。
その技の特性から大量の鋲を持つ必要があったが、大量生産のため多くの鋲が質の悪い鋼(はがね)で出来ていたことから
駄目鋼(だめがね)と揶揄されることもあった。現代でもこれに似た技を使う者をダメガネと呼ぶのは、この名残である。
── 民明書房刊「強カワ眼鏡大百科」より
ケンシンは落ちた画鋲を拾って拭い、蝋燭へ向かって同じようにして投げつけた。だが、外れてしまった…。
「なるほど、私の画鋲を使う事を思いついたか。だが、この朱雀鋲爆砕は一朝一夕で扱える技では無い…はぁっ!」
「きゃあっ!」
さらに数発の画鋲がケンシンを襲う。
「さぁ、倒れこめば楽になるぞ!そして屈辱にまみれた顔を私に見せてくれ!」
「くそ…!なんて奴だ、あの副会長は。このままでは先輩は…」
「安心しろよ、マサムネ。よく見てみろよケンシンの顔を」
「えっ…?笑っている…」
ガードをした腕の隙間から見えるケンシンの口は確かに、わずかに口角が上がっている。
「ふん、あまりに絶望的な状況になって気でも触れたか?笑っていられるのも今のうちだ」
「ふふ…充電完了ってとこかしらね…」
「…なんだと?」
「充電とはな。どこぞの桃太郎侍みたく般若ゲージでも溜めていたのか?」
「あなたを倒すための怒りのゲージよ!」
ケンシンはガードを解き、ミツヒデを睨みつけた。
「ふん、動けない状態で良く言う…。それにそろそろ上の水槽も落ちる頃会いだ」
「なめないで、こんなものいつでも動けたわ」
そう言って一歩踏み出すケンシン。
まるで氷の上を踊るがごとく、前後左右にブレることなく滑っている。一回転までして見せた。
「ふん…何故かは知らぬが、随分と慣れているようだな…だが、その前に我が奥義を持ってお前を倒す!でやぁっ!」
「もう通用しないわ!」
ケンシンは足元のローションを一掬いすると、投げられた画鋲に向けて一閃。
画鋲はローションにまみれてその場に落ちてしまった。
「な、なにぃっ!?」
「マッハローション!」
ケンシンは右と左両方で掬ったローションを、まずは左手でミツヒデへと投げつける。
「きゃぁっ!」
眼鏡や顔にかかり、驚いたミツヒデはローションに足を取られ、ついに倒れてしまった。
そしてさらに1回転したケンシンは右手で思い切り奥の蝋燭へ向けて飛ばす。
果たして、見事ローションは蝋燭へと命中!火は消え、ロープもぎりぎり残る形となった。
それをローションまみれになりながら見ていたミツヒデは、肩を落とした。
「くっ…不覚…!」
「YOU'RE NOT MY MATCH.(勝利は我が手中にあり!)」
ぺぺローションwww
ブレードさん、どんだけ男塾好きなんだW
嫁へのダメガネ呼ばわりは、民明書房が元凶だったのか・・・
ちょっと大河内民明丸に抗議しに行くから、ローションまみれの嫁は連れて行きますね
「ふふふ…油断したようだ…。まさかこれほどとはな」
「副会長…これ以上は無意味です。私たちを先へ行かせてください」
ミツヒデはゆっくり立ち上がり、メガネをなおす。
すっかりローションまみれになってしまったミツヒデは、非常にエロい。
ところどころ透ける肌やブラがたまらんぜ!ひゃっほう!
「先生…目が怖いです…」
「はっ…!俺とした事が!決してそんな目で見ているわけじゃないんだ、信じてくれ!」
「信じろというのは無理な話だな」
「やっぱり変態教師だな!」
「うわーん!」
「このままでは私のメンツに関わる!貴様も道連れだケンシン!」
「くっ…!」
ミツヒデがケンシンに近寄ろうとした次の瞬間、どこからかスピーカーに乗せて声が届いた。
『ミツヒデ、何を後輩相手に熱くなっておる…この場は貴様の負けじゃ。さぁ行けぃ剣道部共、いよいよ鎮邪禁直廊最後の房じゃ』
「この声は…!わ、わかりましたノブナガ様…」
ミツヒデは後ろへ向かい、ローションの上を渡るための板を取りだした。
「ついていたなケンシン…ノブナガ様のお言葉とあらば仕方あるまい。次に会うときは容赦はせん」
「…覚えておきます」
ついに鎮邪禁直廊最後の門まで辿り着いた。
ここさえ突破すれば、学年委員の織田ノブナガとやらとご対面だ。
そしてその先には、生徒会長斎藤ムラサメ…決着の時は着々と近づいている。
「いやぁ、さっすがケンシンだな!ローションプレイならお手の…もがもが」
「な、なんのことかしらね!さぁ行きましょう、最後の房よ!」
「「「???」」」
1年組は何の事かわかっていないようだが…俺には少しわかる気がする。
この二人前々から思っていたけど、かなり怪しい関係だな!既にローションを使う域まで達しているとは。
いやはや、女子高ってすごいところだなぁ…。
そんなお喋りをしつつ、最後の房へ入るための扉までやってきた。
「これが最後の関門か。まったくノブナガってのは何様かは知らねぇけど、随分ともったいつけたことしてくれるぜ。
なっしゃぁ!いよいよ真打ちのご登場だ!今度こそオレの出番だ!」
ドカァン!
シンゲンは扉を勢いよく開け、中へと飛び込んだ。
「ん〜?ここも特に何も…」
ガシャァン!
再び鉄格子が閉まり、分断される形となってしまった。
「ま〜た鉄格子か。あちらさんも念入りだなぁ」
シンゲンは鉄格子をポンと触ろうとしたが、その時、シンゲンに電流走る──!
バチィッ!
「ってぇ!こ、これは…!む、誰だ!」
シンゲンが振り返ると、奥の方から誰かが姿を現した。
見た目は普通の女生徒だが、ムチを持ち、更に頭に角か何かがある…コスプレ?
「お仕置きの時間よ」
「お仕置き?へん、そんなもんこっちは慣れっこだ!お前は誰だ!」
「私は女色ディーノ…かわいがってあげるわ」
「お手柔らかに頼むぜ…!」
何だか随分な色者が出てきたな。
今までは足ツボ地獄にローション地獄…今度はどういう仕掛けがあるのだろうか。
「ちなみにこの紫電房は壁や鉄格子から静電気が発生するようになっているわ…。
さぁこちらまで来なさい、我らが筆頭はこの房の次の大広間でお待ちかねよ」
「気を付けてねシンゲン…何があるかわからないわ」
「楽勝楽勝、あのSMねぇちゃんにちょっとあいさつしてくるぜ」
シンゲンは相手に向かい歩き始めた。
「何が紫電房だよ、壁や柵に静電気があったってどうってことねぇじゃんか」
「ふふふ、そうかしら…?じゃあこれならどう?」
ディーノは壁にあるつまみのようなものを横へ回した。
すると突然、シンゲンが歩いていた床が音を立てて動き始めた!
「うわっ!この床、ルームランナーみたく後ろに下がってく!くっそおお!」
「シンゲン!走って!」
シンゲンは急いで走り出した。しかし、いくら進んでも中々前には進まない。
「ふふ、気分はどう?あなたを全国一のランナーに調教してあげる…。今は高校女子800mの平均速度になっているわ」
「うりゃああ!!」
さすがに平均タイム程度の早さならシンゲンも大丈夫そうだが…。
ローファーってのがきつそうだ。そして制服であるがゆえに…パンチラの危険も!
「へっ、こ、こんくらいなら大したことないぜ!」
「なかなかやるようね。じゃあしばらく走っていてもらいましょうか」
「な、なんだと?」
ディーノは、走るシンゲンをじっと見つめたまんまだ…。
そんなこんなで5分程経ってしまった。さすがにシンゲンも急に走り続けるのは堪えるのか、息も切れ切れだ。
「はぁ…はぁ…くっそぉ…はぁ…いつまで…はぁ…走ってれば…」
「すっごくいい…」
「…はぁ…はぁ…あぁん?」
突然ディーノはスイッチを切った。
走りからようやく解放されたシンゲンは、その場にへたりこんだ。
「だぁー!きっつ!はぁはぁ…」
「汗いっぱいかいちゃって…素敵よ…私好み」
「はぁ?お、おまえまさか…女色って…」
「その通り!」
そう叫んでディーノは持っていたムチを振るうと、シンゲンの首に巻き付けた。
「う、うわっ!何すんだ、離せ!」
「もっとあたい好みになってもらうわ」
「しまった!解けない…!」
「こっちにおいで!」
ディーノは巻き付けた鞭をひっぱり、シンゲンを自分の元へと引き寄せた。
上杉がヤバイ形相で睨んでる…そりゃぁなぁ…。
「言うとおりにしてくれればいいのに…」
「や、み、見るなぁ…」
「楽にしてあげる…」
どんどん二人の顔の距離が狭まっていく…。
上杉がまるで鬼の形相です。怖いです。
「やめ…」
あぁ、もうこのままでは…ディーノに武田が籠絡されてしまう。
「シンゲーーーン!!」
おぉ、上杉の魂の叫びが。
「やめろって!」
「はっ!」
「…言ってるだろーーーっ!!!」
「フラれるなんてーー!!」
テンテンテテン
「討ち取ったり!」
ここで桃キュンがwww
まさか…剣つながり!?
ケンシン・シンゲンのローションプレイ…(;*´Д`) ハァハァ
想像してたら何かムラムラしてきたw
ドクガンテツや女色ディーノたんは、やっぱ眼帯に呼ばれるSU4忍者なんじゃろか・・?
>>153 ご名答です、彼女らをイメージしてもらえると幸いです
「ふぅ、危なかった…ケンシンが叫んでくれなかったら、オレあいつに唇奪われるとこだったよ」
「よかった、シンゲン…本当に…」
鉄格子を挟んで、まるで映画のワンシーンのように見つめ合う二人。
ただ一つ違うのは、二人とも女性だということだが…それはこの際オッケーである。そういうのも俺は大好きだ。
すると突然余韻に浸る間もなく、間を挟んでいた鉄格子が天井へ上がっていく。
ついに最後の房もクリアしたのだ。残すは学年委員との対面…。
奥の方で扉が開く音がし、間もなく3年と思しき生徒がやってきて、中へ入るように促した。
「よくぞ鎮邪禁直廊を突破した、剣道部ども!さぁこの封印塔次の間で3年生筆頭がお待ちかねだ!」
「へっへへ、恥丘の境目がパックリ口を開けたってか」
「いよいよ学年委員とやらにお目にかかれるな」
「……」
その時、扉に向かって走る一つの影が…あれはヒデヨシか!?
「おいヒデヨシ!」
「みんなゴメンなさい!」
ヒデヨシは扉の先へと走りこみ、扉を閉めてしまった。
「クソッ、鍵もかかってる!ヒデヨシ、開けろ!何でお前一人でいくんだ!」
「ごめんなさい…アタシ個人のことで皆を巻き添えにすることはできないの…!織田ノブナガのことはアタシが一番良く知ってる…。
馬鹿な女だと笑ってもいい…だけどこればかりは後に引けないの。さようなら、みんな…」
「ヒデヨシーッ!あの娘刺し違えるつもりよ!ヒデヨシー!!」
なぜか武田と上杉とヒデヨシは大盛り上がりだが、刺し違えるってなんだよ…。
マンガの読み過ぎではないだろうか。マサムネ、イエヤスも隣で呆れ顔だ。
(これでよかったんだよね…これで…)
「今生の別れは済んだか、猿よ」
「織田ノブナガ…!」
ヒデヨシが振り返ると、そこにはゆうに10mを超える巨大女が。
「久しぶりじゃのう、猿。まさかこの学校にお前が来るとは思わんかったぞ」
「アタシもアナタがいるとは思わなかった。だけど好都合ってことだよね、これでアナタに復讐できる!」
「ほう…勇ましい事じゃ。お前らは手を出すな、ワシが直々に葬り去ってくれよう」
「織田ノブナガ、覚悟ーっ!」
────────────────────────
「くそー!だ、だめだ、なんて頑丈な扉なんだ!」
「死なないで、ヒデヨシ ──!」
床に座り、イエヤスが何故か持ってきていた水筒でお茶を頂く。どうやら遠足的感覚でいたため、持って来たらしい。
2年生コンビは未だ扉と格闘中。死なないで、という言葉が飛び出すほどの大熱演だ。
────────────────────────
ヒデヨシが飛びかかろうとすると、ノブナガの指がヌゥと出てきてその突進を弾き飛ばす。
「キャァ!」
「どうじゃ、苦しかろう悔しかろう。お前はワシの身体に傷一つつけることもできんのじゃ。地獄で後悔するがよい!
この室生高三年筆頭織田ノブナガに牙をむいたということをのう!どりゃぁ!」
「きゃああああ!!!!!」
────────────────────────
「な、なんだ今の叫び声は!」
「まさかヒデヨシの身に何かが!早く開けて助けないと!」
「…あの…先輩…それ押すんじゃなくて引く扉です…」
「それを早く言え!」
ガラガラガラ
扉を開けると、そこには巨大なノブナガに掴まれ、息も絶え絶えなヒデヨシが。
「…先輩…みんな…」
「ヒデヨシーーッ!!」
「な、なんて巨大な奴なんだ…!ゼントラーディじゃあるまいし…」
「よく見ておくがよい。このワシに牙をむけた愚か者の最期をの」
ノブナガはヒデヨシを床に落とすと、その拳をヒデヨシへ向けて振り下ろした──!
「やめろーっ!!」
シンゲンが叫ぶと同時に、ケンシンはノブナガへ何かを投げつけた。
その瞬間ノブナガの腕が止まり、シンゲンが間一髪ヒデヨシを救い出す。
「む…画鋲か」
先ほどの画鋲を念のため持っていたようだ。
さすが上杉、用意がいいな。しかし、なんだこの規格外の女は…。あれ?どっかで見たような…。
「先輩…」
パチンッ!ケンシンはヒデヨシの頬を叩いた。
「馬鹿っ…!何でかは知らないけど、勝手な真似をしちゃだめでしょ!剣道部の皆が付いてるんだから…」
「うっ…ごめんなさい…っ」
「しかし、あいつとどんな因縁があるんだ?ヒデヨシ」
「…近所のお姉ちゃんで、アタシちっちゃい頃いじめられてたの…」
「そんな壮絶な過去が…!わかったわ、ヒデヨシ。あなたの無念、私が晴らすわ!」
付いてけません、この人たち。それより、でけぇよこの女。
「ほう、剣道部部長で生徒会役員で二年生筆頭の上杉ケンシンか。ワシに楯つく罪は重いぞ。
しかし素手では相手にならんから、これをくれてやろう」
ノブナガが投げてよこしたのは竹刀だ。随分優しいな。
「そして、お主がそれを使うなら、ワシも使わねばなるまい…このキセルを」
自分で渡しておいて何を言っているんだ。そしてこれまたバカでかいキセル。
キセル…タバコ…あっ!!思い出した、こいつ…!
「さすがは二年生筆頭。猿のように無暗に突っ込んではこないようじゃな。貴様にはこのワシの強さも恐ろしさもわかるらしい」
「えぇ、それにもうひとつ分かっているわ。人を人とも思わない残虐さも…!てぇい!」
ケンシンの放った太刀筋を、あの図体でヒラリとかわす。
それに合わせ、キセルがケンシンめがけて襲ってくるが、なんとか竹刀で受け止める。
「なんて人…あんな巨大なキセルを苦も無く振り回して」
「このキセルから逃れることはできんのじゃ」
再び振り下ろされるキセルを逃れ、ケンシンはノブナガの足元へとダッシュする。
「うまいぞケンシン!奴の懐に入り込んだ!」
「胴ぉぉぉぉ!!!」
「良い太刀筋じゃが、その程度では通用せん」
ノブナガは指で竹刀を受け止め、竹刀ごとケンシンを吹き飛ばす。
「きゃぁっ!…くっ、やるわね…」
「すげぇ、あいつバカでかいだけじゃなくあの図体でかなりの素早さだ」
「…せん…ぱい…頑張って…」
「…ヒデヨシ、見ててね。てやあああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ケンシンが起き上がり、ノブナガへ渾身の一撃!
しかしそれをキセルで合わせるノブナガ。そしてケンシンの竹刀は無情にも折れてしまう。
「やべぇ、ケンシンの竹刀が折られた!」
「これで最期じゃ。死ねぇぇい!!」
── が、ケンシンへ向けて振り下ろしたキセルは途中で柄の部分が折れてしまった。
「…!!」
「ふふ、あなたのキセルも見かけほどではないようね…!」
「見事じゃ」
ノブナガは後ろにある大きな椅子にドカッと座り、笑みを浮かべた。
「よかろう。これでこそワシが呼んだ甲斐があるというもの。ここはこれまでじゃ。貴様らには相応しい死に場所を用意しておる」
「…どういう意味?素手ではあなたを倒せないと思っているの?」
「待てーっ!」
突然、横の扉から声がした。この声は聞き覚えがある…あのお方だ。
「それは我から説明しよう」
「…理事長!」
扉から現れたのは、我らが理事長室生オウガイ。
理事長が何故ここに?確か手を貸してくれるのは、場所を教えるだけだったはずじゃぁ…。
「あいかわらずやってるな、ノブナガ」
「オウガイ…お前もな」
随分親しげに話すんだな、あの二人は。…って気づいたらノブナガが普通の人間サイズに!
落ちてるキセルも普通の大きさだ。ヒデヨシの怪我もよく見ればタンコブ一つだ。これが闘気のなせる業か…すげぇぜ!
「理事長、これは一体…?」
「ヤスヒロ、まずはこの鎮邪禁直廊を無事通り抜けた事を褒めてやろう。無論、お前たち剣道部もだ」
「はぁ…」
「全てはお主らの力を試すためじゃ。そして見事、お主らはこのワシやオウガイに認められたという事じゃ」
つまり全ては理事長の手の上で踊らされてたという事か。
「そして、この私にも認められたという事よ」
「あっ!お前は…」
理事長の出てきた扉から現れたのは、まぎれもない張本人、生徒会長だ。
「斎藤!理事長から聞いたぞ、お前…」
「無粋な事言わないの。それに、私が何もしなくても結果は一緒よ。これは3日前全校生徒に取ったアンケートなんだけど、
剣道部に入りたいという生徒は残り0…つまり、手詰まりだったわけ」
いつのまにそんなアンケートを…。それじゃあこの剣道部はどうなるんだ。
「心配そうな顔をしておるな。だがその心配も無用だ」
「どういうことです?理事長」
理事長がノブナガへ目をやると、ノブナガは軽く頷いた。
「…ミツヒデ!」
「はっ」
さっきの副会長がノブナガの横に現れた。いつの間に…そして制服も無事だ…着替えたのだろうか。
「このワシと、ミツヒデ。今日付けで剣道部に入部してやろう、ありがたく思うがよい、はっはっはぁ!」
「な、なんだってーー!?」
「既に我が入部手続きをとっておいた。フッフフ、我が室生高校理事長、室生オウガイである」
「な、なんだってーー!?」
一挙に二人加入!これで部員集めの心配はなくなるわけだが…問題が一つある。いや、たくさんあると思うが、とりあえず一つ。
「その前に、織田ノブナガ…君に聞いておきたい事がある」
「なんじゃ、藪から棒に」
「俺は入学式の日に、体育館横で君を見かけた。目も合った。覚えてるか?」
「あぁ…おったな。ひょろい男がこの学校に何用かと思ったが、お前だったか」
「この場でハッキリさせておきたい…煙草を吸っていただろう?だとしたら、君を部に入れるわけにはいかない!」
我ながらビシッと決まった。理事長の前だし、言い逃れはできないだろう。
いくら人数が揃ったとはいえ、不祥事で休部なんてのはゴメンだ。
「あぁ、あれはシナモンスティックじゃ、ほれ」
そう言って取りだしたのは、煙草のように見えるシナモンスティック。
「ほ、ほんとにシナモンスティック…で、でも煙を吐いてたぞ!?」
「あの時は恥ずかしながら童心に帰ってドライアイスを、口に入れて遊んでたのじゃ、ほれ」
そう言って取りだしたのは、ピンク色のプラスチックスプーン。
「ほ、ほんとに31…」
「というわけでワシは潔白じゃ。他に何か聞いておきたいことはあるか?」
「…カレーとか作れる?」
「作れぬ。食い逃げはするがな、はっはっはぁ!」
そうだったのか…!なら彼女は潔白だ。喜んで部に迎え入れよう!
──喜んでいるヤスヒロの後ろで、怪訝そうな部員達。
「…なぁ、とんとん拍子に話進んでるけど、あれ絶対嘘だよなぁ?」
「ん〜、でも信じてあげるしかないんじゃない?」
「不安要素は沢山あるが、部員が揃ったことは確かだな。後は大会で勝てばいいのだろう」
ヒデヨシ「う〜っ、だって一つ屋根の下っていうだけであたしにとっては大きなハンデなんですからぁ〜!!」
ケンシン「ハンデって…」
ケンゾウ「じゃあお前、オレの妹にでもなるか?」
ケンシン「ちょ、ちょっとケンゾウ!?」
ケンゾウ「な〜んて、冗談…」
ヒデヨシ「ええ〜っ!?それは困ります〜っ!!」
ケンゾウ「…は?困る?」
ヒデヨシ「だってだって〜、妹になってしまったら、あたし先輩のお嫁さんになれないじゃないですかぁ〜!!」
ケンゾウ「…は、はぁ…、そういうモンなわけ?」
ヒデヨシ「はい、そういうモンです!」
ケンシン「(このコもシンゲンに負けないくらいのぶっ飛んだ思考回路の持ち主ね…)」
イエヤス「………ケンゾウお兄ちゃん(ぼそっ)」
ケンゾウ「…徳川、今何か言ったか?」
イエヤス「…いえ、何でもありません」
シンゲン「そういえばケンゾウ、お前さっきムラサメ先生に豪快に絞められてたけど、いったい何したんだ?」
ケンゾウ「(ぎくっ)え、え〜と、それはその…」
イエヤス「…授業そっちのけで先輩方のブルマ姿に見とれていました」
ケンゾウ「ちょ、と、徳川!」
ケンシン「ケンゾウ…(じとぉ〜)」
ケンゾウ「ご、誤解だって!アレはたまたま姉さんたちの姿が目に入っただけで…」
イエヤス「そしてずっと鼻の下を伸ばしていました」
ケンシン「ふ〜ん…」
イエヤス「そしたら今度はムラサメ先生がケンゾウさんに色仕掛けを始めました。
(声真似)『先生のブルマ姿じゃ萌えないかしら?それとも、素肌にYシャツ姿の方が萌えちゃう?
なんだったら、バニー姿であなたを悩殺してあげてもよくってよ?』って…」
ケンゾウ「頼むから話すなら誇張しないで本当のことを話してくれ。さっきから姉さんの視線が冷たすぎて怖い…」
イエヤス「…というのは冗談です」
ケンゾウ「…心臓に悪い冗談はやめてくれ…」
イエヤス「…ちょっとだけ意地悪してみました」
ケンゾウ「徳川、お前いったいオレに何の恨みがあるんだよ…?」
「さて、これで晴れて部員は揃ったわけだが、後は大会で8位以内入賞だったな」
理事長が前に出る。
その通り、まだうかれるには早い。春季の大会で勝つという条件も残っているのだ。
「実はその大会の方も我が既に登録準備を済ませておる」
「え、もうですか?てことは部員が揃うのを予見して…?」
「さぁ、な。細かい事は気にせんほうがいい」
やはりこのお方には敵わない。とてつもない器だ。
「大会名は──『天挑五輪全国高等学校剣道大武會』だ!」
「…ちょっといいですか?そんな大会聞いたことないのですが」
「『天挑五輪全国高等学校剣道大武會』…噂には聞いていたが、まさか本当に実在するとは…」
「し、知っているのかマサムネーっ!」
『天挑五輪全国高等学校剣道大武會』
高校剣道の三大大会、玉竜旗・インターハイ・選抜の他に存在する、もう一つの全国大会である。
その始まりは玉竜旗と同じく1916年から行われており「夏の玉竜旗、春の天挑五輪」とも言われている。
4年に一度だけ開かれ、全国の高校から多くの学生が集まりその腕を競い合う、最強の高校を決める大会である。
主催者、スポンサーなどは一切秘密で謎のベールに包まれた本大会は、4年に一度という期間のおかげで在学中に
大会に出れない生徒もおり、わざと留年をする者が後を絶たないという壮絶、熾烈な歴史もある。
── 民明書房刊「まよひなき剣の道」より
「そ、そんな大会があったなんて…!」
「お主たちは運よくその4年周期に当たったというわけだ。心して挑むがいい」
「ですが、いきなりそんな全国大会で8位以内入賞だなんて無茶ですよ!初心者もいるわけですし、地方大会から順に…」
「黙っておれば廃部だったのだ。大会を決める権利ぐらいは譲歩してもらいたいものだ、違うか?」
「ぐぬぬ…」
「なぁに、ワシらが入れば地獄鎌…いや、鬼に金棒よ!」
織田と明智…この二人の実力は定かではないが、本当に頼りになるのだろうか?
「ふぅん…あの『天挑五輪』に出るんだ…。面白そうね、私も入部するわ」
「えぇっ!?会長もですか…!?」
「あらケンシン、なにか不満でも?」
「い、いいえ!とんでもないです。そりゃ会長が入ってくれれば百人力ですが…」
ここでまさかまさかの生徒会長参戦。
元は敵対していた相手が仲間になっていくという王道的な展開ではあるが…。
そんな百人力って言うほど彼女はすごいのか?だとしたらパーフェクト超人すぎる。
「上杉…ちょっといいか?」
「何ですか?」
「斎藤…生徒会長は剣道の経験あるのか?」
「会長は薙刀の有段者なんですよ。全国優勝もしたことありますし、剣道も同じくらい強いんです」
「へぇ〜、薙刀…」
薙刀を振るう彼女を想像してみる。…確かにサマになる、というか強カッコイイ。
本当に欠点一つ見当たらないなあいつは…。
「決まりね…オウガイ、私の手続きも一緒にお願いね」
「委細承知…といきたいが、あいつのことはいいのか?頼まれた事とまるで真逆の結果になるが」
「来年の会長の座でもチラつかせればアホ面して喜ぶわよ、どうせ」
「…まぁそうだろうな。分かった、お主の手続きもしておこう」
さて、部員が揃ったからには今日から練習をしていきたいところだ。合計で7名か。
とりあえずは織田と明智、そして斎藤の実力の見極め、ヒデヨシ、武田の育成か。
俺はとりあえずヒデヨシの元へ。
「ヒデヨシ、怪我は大丈夫か?」
「うん、もう全然大丈夫!それよりよかったね先生、部員が揃って。アタシも試合に出れるように頑張る!」
「そうだな、秋には3年がいなくなるわけだから、お前やマサムネがしっかり頑張っていくんだぞ」
思わず頭をナデナデしてしまう。セクハラと取られてもおかしくはないが、ヒデヨシは笑顔で抵抗もしない。素直な娘だ。
あほの子キャラとはいえヨシモーだけがハブられててちょっとカワイソス…(´・ω・`)
ガンガレヨシモー
hoshu
すると、いきなり空いている方の腕に衝撃が走った。
「ふぅん、もう手付けちゃってるんだ。名前で呼んじゃって、随分仲がいいのね?」
「ば、ばか!そんなんじゃない…って、抱きつくな、離せ!」
「何言ってるのよ…密室で二人で過ごした仲じゃない…」
「え…そ、そうなんですか、先生…」
「ち、違う!誤解だ、こいつが勝手にそう言ってるだけで──」
悪夢再来だ。この調子でしばらく付き合わされるのを考えると疲れてくる。
「この娘は名前で呼んで、私はこいつなんだ。すっごい差ね。部内でそういうの、よくないんじゃなくて?」
「あ、そうそう!オレも気になってた。一年だけ名前で呼ぶのってなんか変だろ」
武田が急に声を上げた。というより、俺と斎藤がくっついている周りにいつのまにか全員集まっている。慌てて腕を振りほどく。
「やっぱ部活なんだから、仲良くやろうぜ。大体、先生はそんな厳しく指導できるような威厳なんか無いんだしさ!」
「まぁ、確かにそんな柄ではないようじゃのう。ならワシの事も名前で呼んでもらおうか。名字で呼ばれる時は大抵教師に小言を言われる
時ばかりで、辟易としてるのじゃ」
「ふむ。ならば私も名前で呼んでくれて構わぬぞ」
「私は…どっちでもいいかな…」
「ふふ、特別に許可してあげるわ。こんなサービス滅多にしないんだから」
というわけで全員を名前で呼ぶことになった。
目指していたのは規律を重んじる厳粛な剣道部ではあったが、武田…シンゲンの言うとおり、俺にはそんな威厳はないし。
それに、今はそういうの流行らないしな、しかも女子高だし。のびのび育てていくか。
「話は色々とまとまったようだな?」
「オウガイ…」
「我を名前で呼ぶのは許可しておらん。次、口にしたらその首どうなっているかわからぬぞ」
「し、し、失礼しました!!」
目がマジだった。怖かったぁ〜。
「さて、意外と早く終わったようだな。今はちょうど昼休みになろうとしている時間だ」
時計を見ると、確かにそんな時間だ。意外と経っているもんだな。
「では、各々教室に戻るがいい」
「あ〜あ、またあの長い廊下通るのかよ」
「お主たちは、この3年の棟に来るのにはあの直廊を通るしかないと思っているようだが…
別に通らなくてもそこの扉が1,2年の新校舎に繋がっている」
「な、何だって!?」
「そして3年に自治権があるような気がしていたが、別にそんな事は無い」
「そうですか」
────────────────────────────────
色々あったけど、無事部員は揃った。今日の放課後から早速本格指導が始まる。
俺達の勇気が全国を制すると信じて…!
「ウオオオいくぞオオオ!」
ご愛読ありがとうございました!
「最終回じゃないぞよ、もうちっとだけ続くんじゃ」
今日は土曜日なので早めに授業が終わる。その分練習にあてられるからありがたいことだ。
そう思って道場へ来たのだが…
「…これだけ?」
全員集まっているかと思いきや、1年生の3人しかいない。
ノブナガやムラサメみたいなマイペース人間が遅れてくるのはまだしも、ケンシンまで?
「おおかた掃除当番にでもなっているのではないか?」
「ん〜、まぁそれもそっか。もうちょい待ってみるか…じゃあその間に、マサムネ」
「なんだ」
「ヒデヨシに、竹刀の持ち方とか振り方とか軽く教えといてもらえるか?ヒデヨシもそろそろ素振りとかしてみたいだろ?」
「うん!やっぱ剣道部だもん、竹刀振りたかったんだ!」
上機嫌のヒデヨシ。まずはやっぱり剣道の楽しさを知るところからだな。
技術的なことはマサムネに任せておけばいいとして…。
「さて、今度はイエヤスだな。イエヤス、剣道のルールはわかるか?」
「…細かい所までは自信ありませんが、大体は…本読んで覚えました…」
「おぉ、熱心だなぁ偉いぞ〜」
ナデナデ
「…ぽっ」
「…ハッ、また無意識にやってしまった!いや、その、決して子供扱いしてるとかそういうことじゃなくて…!」
「大丈夫です…嫌いじゃないですから…」
「そ、そうか?じゃあまずは剣道のルール…そして一番大事な礼儀、これを教えておくか。スコアの書き方とかもな」
「はい」
ヒデヨシが竹刀を取りに行って戻ってくると、ちょうどヤスヒロがイエヤスの頭を撫でているところだった。
その光景を見た瞬間、胸の奥の方がモヤモヤとした霧に覆われる…そんな気持ちになった。
頭撫でてくれるの、アタシだけだと思ってた…。特別だと思ってたのにな。
「どうした?ヒデヨシ」
「え、ん〜ん、なんでもない!」
「…そうか。ではまず基本の握り方からだ。握りはこう…」
「えっと、こう?」
「うむ。そしたら親指と人差し指以外の指で握る事を意識して──」
……うん、やってるな。これこそが部活のあるべき姿だ。互いに切磋琢磨して己を高めていく。
やっと、やっとここまで来れたんだ。そう考えると感慨深いものがある。
「…先生?」
「あぁ、ごめんごめん。えっとな、さっきも言った礼儀ってのが剣道のルールの中で大事なことで──」
ガラガラッ!
「遅れました〜」
「すまんのう。掃除が長引いてしまったのじゃ」
入ってきたのはシンゲンとノブナガ。どうやら来る途中で一緒になったらしい。
しかし何でこの2人なんだ?言っちゃなんだけど、他の3人よりルーズな感じがする組み合わせだ。
「シンゲ〜ン、ケンシンはどうしたんだ?同じクラスだろ、確か」
「あぁ、ケンシンは生徒会の集まりがあるらしいぜ。だから会長と副会長も揃って遅れるってさ」
「なるほどね…」
よくよく考えればうちには生徒会役員が3人いて、しかも会長と副会長までいるんだもんな。
全員揃う機会が減るかもしれないが、毎日集まりがあるわけじゃないし大丈夫だろう。
「それじゃあ着替えてきてくれ、始めるから。あとの3人は合流次第だ」
「う〜い」
「ヤスヒロよ、ワシの着替えはあるのか?」
「あ〜、多分更衣室に適当なサイズのがあるんじゃないかな?今日は悪いがそれで。シンゲンが選んであげてくれ」
「おっけ〜」
思い切り名前で呼ばれた気がするけど、もう別にどうでもいいや。ムラサメにも呼ばれてるし。
年下に呼び捨てにされることぐらい、へっちゃらさ…ぐすん。
──更衣室
「ん〜、先輩ならこのサイズかなぁ」
「しかし散らかっておるのう。それに臭いぞ」
「へ〜い、そのうち掃除するんで…」
着替え始める2人。シンゲンはワクワクしていた。また部活ができる…。
一度は廃部かと諦めたが、やはり剣道は好きになっていたしツラい気持ちもあった。
それがこうして再び練習が始まり、何よりそれに伴うケンシンの喜ぶ顔が一番の馳走であった。
と、そんなことを考えていると視界の端になにやら…そちらを向いてみると──
ボヨンボヨン
(でけー…)
「何じゃ、何を見ておる」
「い、いや、なんでもないっす…」
「フッフフ、お主の事はムラサメから聞いておる。相当な乳好きなようじゃのう…触ってみるか?」
「えぇっ!?いやいや、そんな…」
「遠慮することはないぞ、ワシもこれは相当な物じゃと自負しておるからのう、ほれほれ」
「押っ忍!武田シンゲン触らせていただきます!では失礼して…」
ムニュ。す、すげー…!張りと弾力の絶妙な割合…しかもスベスベしつつしっとりと手に張り付くきめ細やかな肌…。
ケンシンよりデカイ…手からこぼれ落ちそうな重量感…これはもしかするとケンシンに並ぶ勢いかも ───。
「シンゲンよ」
「え?なんすか──んんっ!?」
顔をあげると同時に唐突に合わせられる唇と唇。シンゲンにとってはケンシン以外の同姓との初めてのキス…。
何故か抵抗できない。胸のすごさに酔っていたせいなのかもしれない。
少し間をおいて、シンゲンは我に返り後ろに倒れこんで、尻もちをついた。
「な…なっ、なにすんだいきなり!」
「はっはっはぁ!シンゲンよ、お主は面白い奴じゃのう」
笑いながら、さっさと袴に着替えていくノブナガ。
シンゲンは尻もちをついたまましばらく動けなかった。着替えるノブナガを見ている事しかできなかった。
「お主さえよければ、ワシの愛人にしてやってもいいぞ」
「あ、愛人って…!バカにしてんのか!?そ、それにいきなりキ、キスするなんてっ──!!」
「お主は察するにそっち側じゃろ?なら何も問題はないはずじゃ」
「…だからって…」
「答えはそのうち聞いておこう。では先に行ってるぞ」
着替え終えたノブナガは笑いながら更衣室を出て行った。
後に残されたシンゲンは茫然としていた。
ケンシン以外との初めてのキス…。しかも唐突に、強引に──そのうえ愛人契約!!まで。
怒ってもいい…そのはずなのに…怒りの感情は少しはあるものの表に出てこず、何故か胸はドキドキしっぱなしだ。
どうしちゃったんだよオレ…くそぉ…ケンシン…。
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更衣室から出てきたノブナガに俺は早速声をかける。
「ノブナガ、聞きそびれてたんだけど剣道の経験は…?」
「んなもん無い」
「えぇっ!?」
「しかし、封印塔でのワシの実力を見ておるはずじゃ」
確かにあのときは、キセル一本で竹刀のケンシンを圧倒していた。
経験無しであの実力という事は、我流は無型って事なのかな…?まぁ底力があるならいいけどさ。
これは一応基本から教えていった方がいいかもしれない。それと、一番大事な礼儀もな。
うはっw ケンシンの居ぬ回り間に。w
ミスったw
「居ぬ間に」だ。
俺、ノブ様の愛人になる為今日から女になる!
そして女になったらノブ様の乳を揉むんだ
続いてシンゲンが更衣室から現れたが…足取りが何だかフラフラしている。
先ほどまでの元気はどこへやら、といった感じである。
「シンゲン?元気ないようだけど、何かあったのか?」
「いや、なんでもないすよー…」
どう見ても何でもないはずがない返事だ。まぁ大方ケンシンがいなくて淋しいウサギになっているのかもしれない。
ケンシンが来れば少しは元気を取り戻すだろう。
「まぁいいや、それじゃぁ……お〜い、始めるぞ〜集合〜」
ヒデヨシとマサムネを呼び寄せ、本格的な剣道部としての稽古が始まった。
── 生徒会室
長机が凹の形で並べられている生徒会室内では、定例委員会が始まろうとしていた。
2年A組とB組は席が隣同士だ。B組の席に座っているのはもちろん上杉ケンシン。
そのケンシンの横顔を横眼でチラチラ窺っている、黒髪ロングの清楚そうなA組の役員…今川ヨシモトである。
ケンシンも、ヨシモトの執拗なまでのチラ見に気づいており、いい加減嫌になってきたので聞いてみることにした。
「ヨシモト…私の顔に何かついてる?」
「そんなベタな聞き方しなくても結構…あなたをガン見してますわ、そして疑問に思う事がありますの」
「疑問…?」
「確か今日の放課後が期限切れのはずですのに、どうしてあなたが平気な顔していられるのかってことですわ」
「期限切れ…あぁ…」
ここまで言われてようやく気が付いた。ヨシモトの言っているのは剣道部の事なのだろうと。
「あぁ…って。わかりましたわ…廃部になったショックで呆けてますのね…まっ、無理もありませんわね」
頬に手を添え、満面の笑みのヨシモト。なるほど、勝利宣言がしたかったわけね。
「そうねー…私もアナタの喜ぶ顔が好きだから見てみたかったんだけど、そうもいかなくなっちゃったのよ」
少し意地悪な事を言ってみる。ヨシモトの反応は予想通りの驚いた顔。
「い、一体何を言って…」
「ごめんなさいね、ヨシモト。弓道部に道場をあげるのはもう少し先になっちゃったみたい」
「う、うう嘘ですわっ!そんなはずがありませんわ!」
立ち上がり叫ぶヨシモト。周りの役員も驚いている。
「落ち付きなさいよ…。ちゃんと理事長の前で揃った報告もしてるし、出場する大会も決まったわ」
「そんな…!ワタクシはちゃんと会長に…!」
「会長に…何?」
「あ…な、なんでもありませんわ!」
「ちなみに、その会長も入ってくれたのよ、剣道部に」
「えぇぇっ!?そんな馬鹿な話があるわけありませんわ!あの会長がそんな──」
「私がどうかして?」
生徒会室の扉が開いて、生徒会会長ムラサメが現れた。後ろにはミツヒデも続いている。
「会長!ワタクシがお願いした件はどうなりましたの!」
「あぁあれのこと?ごめんなさいね、ダメになっちゃった」
「そ、そんな…!ワタクシの命をかけた室生高名物、鬼達磨刺青や血誓痕生、血闘援が無駄に…!」
ヨシモトが袖をまくると、片目の達磨の刺青と、弓道部員全員の名前を彫った傷跡が…!!
きっと胸にも『闘』の字があるのだろう。
「大体にして、鬼達磨刺青も血誓痕生も使い所が間違っているのよ。それに、シールでしょう?それ」
「あ、あら、バレてましたの…?」
「そんなもの私に通じるわけないでしょう?まぁ面白そうだったから多少は願いを聞き入れはしたけどね。
だからあなたは、私に文句を言える立場ではないわ」
「うぅ…そんなぁ…」
???「わんわん!」
ケンゾウ「お、何だこの白い犬は?しかも二足歩行で兜なんか被って…」
ヒデヨシ「あ〜、オウガイ先生のペットのシロですよ。たまに迷い込んでくるんです」
ケンシン「そういえばオウガイ先生の家って学校のすぐ近くって言ってたわね」
ケンゾウ「放し飼いにしてるのかあの人は…」
ヒデヨシ「それに、兜だけじゃなくて野球やアメフトのヘルメットを被ることもあるらしいですよ」
ケンゾウ「あの先生の趣味っていまいちよくわからん…」
シロ「くぅ〜ん…(ケンゾウの制服のポケットに鼻を近づける)」
ケンゾウ「なんだこいつ、ポケットには……あ、そういえばさっきマサムネさんたちからもらったクッキーが入ってたっけ…」
シンゲン「お、何でケンゾウがマサムネからクッキーなんてもらってるんだ?」
ケンゾウ「(ポケットからクッキーの入った包み紙を取り出す)さっきマサムネさんたちのクラスで
調理実習があってそのときにもらったんだけど…」
シロ「わお〜ん!(ケンゾウからクッキーの入った包み紙を奪い取る))」
ケンゾウ「おわっ!」
シンゲン「あ、こら!それはオレのクッキーだぞ!!」
ケンゾウ「いや、オレがもらったんですけど…(ん?あの包み紙は…)」
シロ「(ばくばくばくばくばくばくばくばく)」
シンゲン「こらー!オレのクッキーを勝手に食べるなー!!」
ケンゾウ「いや、だからそれは…」
ケンシン「…というか、犬と対等に張り合ってどうする気よ…」
シンゲン「うぅ〜、だってぇ〜…」
ケンゾウ「大丈夫ですよシンゲンさん。今の包み紙はミツヒデさんからもらったやつです。
マサムネさんからもらったクッキーはここに…(ポケットからもう1つ包み紙を取り出す)
シンゲン「へ?何でミツヒデからももらってるんだ?」
ケンゾウ「さっき言ったでしょ?『マサムネさんたち』からって…」
ケンシン「ケンゾウ、あなたがマサムネたちからクッキーをもらうまでの経緯を姉さんに聞かせてくれるかしら?」
ケンゾウ「姉さん、顔が少し怖いんですけど…」
「ですが、何も会長が剣道部に入る事はありませんのでは!?どうしてお入りになったのですか!」
「面白そうだったからよ。出る大会にも興味があったし…何か文句があって?」
「な、ないですわ…」
「そう。なら、この話はそれで決着ね。それじゃあ委員会始めるわよ、席に着きなさい」
さすがは会長…ヨシモトを強引に押し込めたわ。
私も何で会長が部に入ったのかは分からないけど、とっても頼りになる人だから、ありがたいことだわ。
「じゃあまずは各部の予算編成から…剣道部は去年の10倍に引き上げます」
「「「「えぇぇぇぇぇっっ!?!?!?」」」」
「予算の文句は、私に言いなさい!」
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「会長…会長!」
ケンシンは前を歩くムラサメに駆け寄って行った。生徒会が終わり、解散した直後であった。
「なぁに?ケンシン」
「あんな強引に予算引き上げたら、さすがにマズイんじゃないですか?」
「あら、私が今まで間違った判断をしてきたことがあって?」
言われてみれば、思い当たらない。だが、今回のアレは流石にどこの部からも反感を買うのは火を見るより明らかだ。
「でも…」
「問題ない。各部との交渉事は私が行う。会長の手を煩わせる事も無いさ」
後ろから声が飛ぶ。声の主は副会長ミツヒデ…ケンシンはちょっと後ずさりしてしまった。
「なんだ?もしかして、先ほどの垂溶房でのことを引きずっているのか?」
「い、いえ、そういうわけでは…」
「あれはお前たちをやる気にさせるための演技、ジョークだよ。本気にされたら私が困るな、ふふ」
「それより、お前のあのローションの慣れっぷりのほうが私にとっては充分驚きに値するが?」
「な、なんのことですかね!?あっ、それよりみんなが待ってるから急いで道場に行きましょう!お先に失礼します!」
脱兎のごとくケンシンは駈け出して行った。
2人はヤレヤレ、といった感じで3年の教室へと戻っていった。
─── 道場
「じゃあ次は、2人で組んでストレッチだ。え〜っと、身長的に…シンゲンとノ──」
「あ!マサムネ、組もうぜ!」
「え?あぁ構わぬが…っていきなりやるな!いたた!」
さっきまで一人ストレッチの時はあんなに元気がなかったのに、急にシンゲンのやる気が出たな。
身長的にノブナガと組ませたかったが、まぁ仕方ない。
「う〜んいいや、じゃあノブナガとヒデヨシ組んでくれ」
「ほれ、猿。こんかい」
「アタシ猿じゃないもん!もうそんな昔みたく子供扱いしないでよね!」
「まだまだ子供に見えるがのう?」
ノブナガはヒデヨシの胸をジロジロと見る。ヒデヨシは慌てて、手で隠した。
「う、うっさい!ウシ乳おばけのくせに!」
「ほう…よう言うた。ではストレッチ始めようかのう…?ふん!」
ギリギリッ……
「いだだだだ!」
「おいおい、お前たち真面目にやれよ…」
まったくこいつらは…本当に扱いに苦労するなぁ。
みんながみんなケンシンみたく真面目ならどんなに楽だろうか。
保守はまかせろー!(バリバリ
やめて!
単行本派だったので、昨日遂に戦国乙女の漫画を読めました。
オウガイとムラサメが気持ちいいくらいに悪役で、それが普通なんだよなぁと改めて思いました(´ω`)
シロ「(けぷっ)くぅ〜ん…」
シンゲン「ああっ!クッキー全部食いやがった!!」
ケンゾウ「食欲旺盛な犬だなあ…」
シロ「くぅ〜〜〜…」
ケンゾウ「ん?なんだか様子がおかしいな」
ケンシン「変な呻き声を上げてるわね…」
シロ「オオオオオオオオ……」
シンゲン「お、これが世に聞く『真・オウガイ無双』ってやつか?」
ケンゾウ「何の話ですか!?」
シロ「くっぺくっぺ!!くっぷるぴっぱーーー!!!!(←ここだけ林原○ぐみボイスで脳内再生すべし)」
(ばひゅーーーーーーーーーーん)
ヒデヨシ「ありゃりゃ、そのまますごい勢いでどっか行っちゃった…」
ケンゾウ「ミツヒデさん、いったい中に何を入れたんだ?」
ケンシン「あとで問い詰めなきゃね」
ケンゾウ「まあ、あの犬に毒見をしてもらったと思えばいいか。さて、それじゃあマサムネさんのクッキーを…」
シンゲン「(ばくばくばくばく…ごっくん)ぷはー、ご馳さまー!いやあ、実に美味いクッキーだったぜ☆」
ケンゾウ「ああっ!いつの間にか全部食べてるし!!」
シンゲン「あ…、わりいわりい。いや、つい…」
ケンゾウ「仕方ないや、後で正直にマサムネさんに言おう。シンゲンさんに食われちゃいましたって…」
ケンシン「そうね、シンゲンが絡んでいるならマサムネも納得するでしょうね…」
シンゲン「あ〜、ひっでー言い方!」
ケンシン「ところでケンゾウ、マサムネたちからクッキーをもらうまでの経緯、そろそろ話してもらえるかしら?」
ケンゾウ「姉さん、まだ引っ張るのか…」
そっか、乙女たちは真・オウガイ無双を喰らうことは無いから、噂で耳にするだけなのかw
あ、今頃になってシンゲンのセリフで誤字発見。
ご馳さまー→ご馳走さまー
なかなかネタを書く暇がなくてスマソw
「それじゃあ次は…ノブナガとヒデヨシの素振りチェックをするから、シンゲンとマサムネは切り返しでもしててくれ」
「わかりました」
奥で2人の切り返しの声が響く中、まずはヒデヨシのチェック。先ほどマサムネから教わっていたので、形はできているようだ。
次はノブナガ…おっ、意外に出来ている。
「鉄パイプとさほど変わらんようじゃな」
「そ、そうですか…。じゃあ2人ともお互いに向かい合って相手のフォームをチェックしながら素振り50本だ」
「は〜い!」
その間に俺はイエヤスに基本ルールやノートのつけ方、練習の種類などを教えていく。
そんなこんなで時間が経つうちに、ケンシンが道場に入ってきた。遅れてムラサメ、ミツヒデもやってきた。
これでSUPERドキドキチャンス全員集合!だ。
3人が着替えてきたので、一旦全員を集合させる。
「今日から、新・室生高校剣道部のスタートだ。天挑五輪大会ベスト8を目指して、力を合わせて頑張って行こう!」
『お〜〜!!』
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さて、ノブナガが初心者だがそこそこやれるという事は分かった。
後は残りの二人の強さを知っておかなければならないのだが…。
「え、ミツヒデは剣道をやっていたのか?」
「あぁ。といっても中学までだが…それなりに心得はある」
これは朗報。そしてムラサメは前評判通りどうやら強いらしい。
まずは2人の実力をはかるため、試合を行う事にした。そうだなぁ、組み合わせは…。
ミツヒデ−ケンシン ムラサメ−マサムネ でいいだろう。
ヒデヨシとノブナガ、さらにイエヤスのためにも、上級の試合というものを見せておこう。
まずは第一試合、ミツヒデとケンシン、垂溶房でも闘った2人の因縁の対決が始まる。
ほしゅ
確か、去年のヤスヒロはオウガイとイッツバーニンクリスマスだったな。
もうあれから一年経ったのか…早いもんだ。
ほしゅ