ttp://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070922i301.htm 「フィクサー」熊取谷氏、傘下30社が所得隠し30億
財界や官界とのパイプを持ち、「政財界のフィクサー」とも呼ばれた熊取谷(いすたに)稔氏(67)と
グループ企業約30社が東京国税局などの税務調査を受け、
2006年までの7年間で計約30億円の所得隠しを指摘されていたことが、関係者の話でわかった。
グループ企業間の取引価格を操作するなどして、利益が出ている企業の所得を意図的に圧縮したと認定された。
経理ミスなどを含めた申告漏れは計約90億円に上る。
所得隠しを指摘されたのは、熊取谷氏個人のほか、グループ中核の
パチンコ機器製造販売会社「コスモ・イーシー」(東京都千代田区)、
ゴルフ場運営会社「函南スプリングス」(文京区)など、資本や人事でつながりの深いグループ約30社。
この中には赤字決算の企業もあったため、追徴税額は重加算税などを含めて
法人税、所得税など計約7億円にとどまった。いずれも修正申告した。
税務調査には東京のほか大阪、名古屋、関東信越などの各国税局が連携してあたり、
全国に100社近くあるグループ企業内や、熊取谷氏と企業との間の資金の流れを追及した。
>>201 関係者によると、コスモ・イーシーなどはグループ企業と取引する際、価格を安く設定するなどして、所得を圧縮していた。
また、グループ内の赤字会社の事務や経理を利益の出ている企業に引き受けさせ、経費として計上していた。
熊取谷氏に対しては、グループ数社が多額の貸付金を計上しており、
このうち返済のめどが立っていないものを、熊取谷氏への役員賞与などと認定。
一部は、ゴルフ場開発で地域住民からの同意を取り付ける
工作費などとして使われたとみられるが、使途が判明しないものもあったという。
熊取谷氏は、バブル経済が華やかなりしころの1990年に
米国の名門ゴルフ場「ペブルビーチ・ゴルフコース」を約1200億円で買収し、一躍注目を浴びた。
グループ会社は首都圏を中心に10か所以上のゴルフ場を所有し、
自身も97年分まで毎年のように高額納税者として公示されていた。
一方、88〜89年のリクルート事件で収賄罪に問われた元NTT会長の側近として知られ、
NTT所有地の再開発計画に関与したと週刊誌などにとりあげられた。
パチンコ業界のプリペイドカード導入を巡って、熊取谷氏が監督官庁の警察庁に働きかけて実現したなどとして、
同庁との密接な関係が国会で問題視されたこともある。
政治献金やゴルフ会員権の売買を通じ、複数の国会議員との結びつきが強く、「フィクサー」「黒幕」とも呼ばれた。
しかし、「ペブルビーチ」は損失を出して手放し、バブル経済崩壊後は、国内のゴルフ場経営も悪化。
多額の負債を抱えたままのグループ会社も多く、バブル崩壊の後遺症はまだ重くのしかかっているという。
読売新聞の取材の申し込みに対し、熊取谷氏は函南スプリングスを通じ、
「取材はすべて断っている」と回答。同社とコスモ・イーシーは「税務調査は受けたが、特に問題はなかった」としている。
(2007年9月22日3時1分 読売新聞)