4. 基準
韓会長がS市店の出店を早くしたいのは、売上げだけではない。
1999年11月頃、日本証券業協会の上場審査部から
「紛争か訴訟ごとはありませんか。裁判中には店頭公開
できません。」と通知がきた。
韓会長は弁護士やアルゼの岡田社長に確認した。
ちょうどこの時期にアルゼのライバルであるサミーが公開申請しており、
アルゼとの訴訟が問題で審査をパスできなかったからである。
他にも静岡の長沼店でもトラブルがあり、亀井静香事務所へ
相談していた。戸塚進也前衆議院議員が責任を持って動いた。
マルハンの同業でも店頭公開しようとしたところがある。
ダイナムである。
しかし「三店方式」と呼ばれる景品交換システムが問題になり、
公開は見送られた。マルハンはこの経緯から、公開申請を
通りやすくするため「三店方式」ではなく「等価交換」を打ち出した。
ところがこの「等価交換」では直買いをしており、買い取り所は
ダミーの会社で運営しているのが実状である。
この「等価交換」というのは営業戦略として必要である。
だが、1000台規模の大型店になると集客と同時に、
出玉をよくするためにその調整が必要になる。
それができなければ営業を維持することができない。
裏ロムと呼ばれる方法を用いて出玉を調整するのは、サクラを
使って集客するというのもあるが、ほとんどがホールを搾取する
手段である。そのため、業界こぞって摘発の対象である。
しかし、遠隔操作という方法はホールの経営をコントロールする
ことができ、むしろ業界では歓迎されている。
「等価交換」方式は集客と経営安定のために裏付けされる、
テクニックが必要になる。特に大型店では必須課題である。
5. テクニック
遠隔操作というのは技術的に可能である。
特に1店舗だけの運用に限れば歴史は古い。
しかし、多店舗で展開する場合は方法に問題がある。
各店舗ごとに用意すればいいかもしれないが、それだけ
秘密の漏洩になる。そこで考え出されたのは、ネットワークに
よる集中管理である。ネットワークであればその制御装置本体の
設置場所をホール内である必要もなくなる。昨今の通信事情を
みればおわかりのように、電話回線があればどこにいても通信できる。
だいだいの原理はおわかりであると思う。
おおまかに分けて2つからなる。
1.ネットワーク技術・・・ 通信回線を用いて対象となる店、あるいは
島、台に信号を伝達する技術。
2.制御プログラム・・・各台の状況を判断し指示された割数にあわせた
指示を決定するプログラム
ネットワーク技術は一般企業でも構築できる。
例をあげればネットワークに強いサイボウズ社でも開発可能である。
制御プログラムはどこでもよいが、ワイテック社でも開発できる。
2つの技術を合わせれば発見されず、確実に運用できるシステムが
構築できるのである。
これを大型・多店舗展開するホールが導入すると
安定した経営を維持し、店頭公開の審査時の基準をクリアするために
貢献できる。