ローション調合師の苦悩・ドキュメンタリー

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1名無し職人
「こんな商売だからね、そりゃあ冷たい目で見られますよ。
けど。。けどね、初めて使った時の感触が忘れられないんですよ。
まだ気持ちいいの作る自信もあるし。。。この作業所で生涯ローションを調合してみせます」

こう言って白髪まじりの頭を触りながら、恥ずかしそうに笑った職人の手には28年前に初めて調合したローションのボトルが握られていた。
2名無し職人:2007/05/11(金) 21:21:21
あなる
3名無し職人:2007/05/11(金) 21:47:35
「たかがローションされどローション。って言ってね、調合の微妙な加減で全く別のものになるんです。」
職人は手を丹念に消毒し、調合に取りかかった。
4名無し職人:2007/05/11(金) 23:12:52
「まあ、若い頃に一度だけ風呂屋?ああ、今は風俗っていうのかな、うん、行ったんだけど
そこで出された物がねぇなんつうのかな、いわゆる安物ってヤツでねぇ、ああ、日本は
まだまだこのレベルなんだって思ってねぇ。それからですよ。だったら俺がやってやろうってね。
うん・・・肌も荒れたしねぇ(笑)」そう言って稀代の職人は目を細めた。
5名無し職人:2007/05/11(金) 23:27:26
最近では大量生産の中国製が多く出回っている。
この状況に職人は
「あぁー。。やっぱり気にならないって言ったら嘘になるかなぁ。
一度試したこともあるよ、どんなもんかってね。
うん、手にとった瞬間違いが分かるよ。。。これじゃあ抜けないってね。」
6名無し職人:2007/05/12(土) 01:57:25
「あとね俺がこだわりたいのはね音なのよ、音。
あの、『グチュ、グチュ』ってやつ、聴覚からも刺激したいって常々思ってるよ。
まっ、俺なんかまだまだだけどね…。」
そして職人はまたローションの調合にかかった。
7名無し職人:2007/05/12(土) 18:54:16
ローション工房の神棚の横には手形が飾られてある。
その手形は日本のローション界の父であり、職人の師匠でもある、今は亡き中里陸夫氏のものだ。
「あの手形があるだけで、この工房の空気がピリッと変わるんですよ。
亡くなったとき師匠の手に初めて触ったんだけどね、ビックリしたなぁ。笑
子供の手みたいにツルツルだったんですよ。。師匠は人一倍、努力家だったからね。。。」
そういって師匠の手形と自分の手を合わせる職人の背中はどこか寂しそうに感じられた。
職人・中里氏の最期の言葉
「弱酸性や。。。」
8名無し職人:2007/05/12(土) 19:04:26
携帯からじゃ大変だな!!
9名無し職人:2007/05/12(土) 21:24:39
流石、職人さんたち
http://planet-d.hp.infoseek.co.jp/cache/2005/0118/
こちらの職人さんも居られるようですね

まったく亀頭のさがる・・いや亀頭が飛び跳ねる思いで胸が一杯です
10名無し職人:2007/05/12(土) 21:26:56
趣があるスレだなあ
11チョロ:2007/05/12(土) 21:48:03
「てめぇ 俺が作ってるときに喋るんじゃねぇーよ!ほら 唾が入ったからシャバシャバになったろうが!」
12名無し職人:2007/05/12(土) 22:38:57
「また怒られちゃいました。。。笑
いやぁ、気にしてたら仕事にならないですよ、いつものことですしね。
はじめて親父っさんの代表作(FUJIYAMA)でヌイたときから決めましたから。。。この人についてくって。」
弟子の山根君も職人の作品に魅力された1人。
13名無し職人:2007/05/13(日) 00:38:01
その山根君の最近の悩み事と言えば、
14名無し職人:2007/05/13(日) 07:52:16
師匠の業がいくらすばらしくても世間に認められない事だそうである。
「いくらローションといえど、一朝一夕にできるものではありません。うちの師匠の技術はまさに神の領域です!」と、山根君は力強く語った。
そして、一呼吸おいて山根君は「でもローションじゃねー、人間国宝は無理です…。」と、悲しみを帯びた表情でつぶやいた。
すると作業場の奥から職人が「つまんねーこと言ってんじゃねー、仕事にとりかかるぞ!」と、激をとばす、そして山根君は涙をふりはらい笑顔で「はい!」と答え作業を始めた。
静かな作業場にローションの音だけが響き渡った。
15名無し職人:2007/05/13(日) 10:24:40
今日は全国からローション職人が集まる日。意見の違いで、熱くなりもめることもしばしばだとか。
この会の会長でもある、大阪の戸田さん(西の潤滑戦車、の異名を持つ)とは20年来の親友だ。
16名無し職人:2007/05/13(日) 17:12:47
集会は午後3時から。
正午に会場の最寄り駅で落ち合い、昼食をとる約束だったが
戸田さんは待ち合わせの時間に2時間ほど遅れて現れた。
17名無し職人:2007/05/14(月) 00:15:45
戸田さんは一言「すまん…。」と言っただけだった。
職人も問い詰めることもなく二人は会場へと急いだ。
18名無し職人:2007/05/14(月) 00:24:16
今回の議論内容はもっぱら大量生産品に対してどう対処していくか、オリジナリティーの追求であった、色・味・香・粘性など様々な意見が交換され会は幕を閉じた。
19名無し職人:2007/05/14(月) 00:40:21
その後、職人は戸田さんを飲みにさそった。
居酒屋で二人は無言で酒を酌み交わした。
すると、戸田さんは重い口を開きこう言った、「わし…、引退しよう思ってんねん。」
職人は胸を締め付けられる思いのなか一言「そうか…。」と、つぶやいた。
それが職人にとって精一杯の言葉だった。
戸田さんは「もう、わしらの時代やないんかもしれん…」と言い、二人はまた無言で酒を酌み交わした。
あとで聞いた話では戸田さんは直前まで会の参加に対し迷っていたそうである。
20名無し職人:2007/05/14(月) 06:18:13
☆読者からのお便り

藁板に連載中のドキュメンタリイ「ローション調合師の苦悩」を毎回楽しく、
マタ懐カシク拝読してをります。

小生がローション汁の調合師を志したのは東京五輪の頃、まだ日本男根が元気な
時代でありました。西陽の当たる四畳半でランニングシャツ1枚となり、大勢の職人が
エイホウ、エイホウと声をかけあい、額に汗しつつ、トルコ嬢の厳しい選択眼に
応へるべく切磋琢磨してローション汁を練り上げていた当時を思い出します。

時代は変わり、今や粗悪な工業品ばかりが出回ってをります。アンナまがい物で
抜かされるなど、今の若い人が全く可哀想です。風呂屋の隠しカメラで見るたび、
昔の本物のローション汁を塗って行かせて差し上げたくなることしばしばです。

ドウカ現役の職人さん方には頑張って頂き、日本のお家芸であるローション汁の
素晴らしさを是非皆さんにも再認識して頂きたく期待してをります。TN生 拝
21名無し職人:2007/05/14(月) 12:53:49
このように読者の反応があると心がはずむ。
私は、この手紙を持って職人の工房へと向うことにした。
工房へ着いた時に、何かいつもと雰囲気が違う事に気付いた。
そう、山根君がいないのである。
いつも明るく元気に働くあの山根君が…。
職人に聞いても、「あんなやつぁ、知らねー」と、帰ってくるだけだった。
私は、職人に手紙を渡し「今日は、この手紙を渡しに来ただけだから。」とだけ告げ工房を後にした。
本当は、2・3聞きたい事があったのだが、私は山根君の事が気掛かりでしかたなかったのだった。
いつしか私は、山根君のアパートまえに辿り着いていた。
22名無し職人:2007/05/14(月) 17:50:41
山根君は目を腫らして我々の前に現れた。そして静かに口を開いた。
「…大阪の戸田さんが引退されたことはご存知ですよね?理由が分かりますか?ボクにはまだまだ先の話だと思ってたんだけどな……
親父っさんはそういうときもある、気にするなって言うけど…親父っさんのローション使わしていただいて、気持ちよくヌケないってのは申し訳なくて…」
ローション職人にとって、検品作業に支障をきたすED(インポ)は即、引退を意味する。
その過酷な現実を知り我々は言葉を失った。
23名無し職人:2007/05/14(月) 21:12:37
そして、「これから親父っさんに最後の挨拶に行くつもりです。」と、山根君はつぶやいた。
「じゃあ、僕が送っていこう」と言い、山根君を私の車の助手席にすわらせた。
もう一度、職人と顔を会わせれば何かあるかもしれないと言う根拠の無い望みに私は賭けてみた。
工房に向かう間、車内は沈黙に包まれた。
こんなときにかけてやれる言葉が見つけられない自分が腹立たしく感じた。
工房に着くと、職人はいつものようにローションを調合していた。
そして、振り返る事無く「何しに来た」と、突き放すように言い作業を中断する気配は無かった。
山根君は職人の背中に深々と頭を下げ「お世話になりました」と言った。
24名無し職人:2007/05/14(月) 21:37:45
その言葉を聞いた職人は振り返りカギを投げた
「そこの引き出し開けてみろ。お前にはまだ教えてない秘伝のローションだ。刺激が強すぎて店にも並べてない…奥いって使ってこい。」
ボトルには(ロッキー)と書いてある。
25名無し職人:2007/05/14(月) 21:43:45
私は、職人の冷たさに怒りをおぼえ、口を開こうとした瞬間、「馬鹿野郎!」と、職人の怒号が工房内に響き渡った。
職人は言葉を続けた、「まだ解らねーのか、だからおめーは半人前だってんだ、ローションてのはなチンポをしごくためだけのもんじゃねえ、乳首だってアナルだってローションを欲しがってる事になぜ気付かねーんだ!」
そして職人はガラスの瓶を我々の前に置き「使ってみろ」と、言ったのだった。
その瓶には無造作にマジックで『松風』と書かれていた、一見すると緑がかったその液体は、大量生産を思わせる物があったが、手に取った瞬間、私と山根君は稲妻に打たれた様な感覚を覚えた。
この、指先に広がる清涼感は何だ!まるで、夏の暑い海岸に吹く松林からの冷たい風のような感覚は!「メントールだ!!」私と山根君は同時に叫んだ。
そして、私と山根君は自然と指を乳首へと向けていた。
26名無し職人:2007/05/14(月) 21:48:34
>>25です
カブちゃってすいません。
27名無し職人:2007/05/14(月) 21:59:17
>>24です。
いえいえ、気にせずいきましょう。
28名無し職人:2007/05/14(月) 22:03:29
「もっと…もっと!!…ヌキたいんだっ」
職人の口癖である。
29名無し職人:2007/05/14(月) 22:08:25
ローソンがどうかしたんですか?
30チョロ:2007/05/15(火) 00:26:40
なにぃ、EDだぁー んなもん俺の作ったもん塗っときゃ たたないもんでもガチガチになんだよ てめぇら口動かす前に手首動かせろ!あってめぇらのせいでシャバシャバになっただろうが
31名無し職人:2007/05/21(月) 04:19:44
気がついた時、私は工房の片隅に敷かれた作業用エアマットの上にいた。
気を失っていたのだ。

社会派ジャーナリストとして、私はこれまでに何度かローション業界の
取材をしてきた。新作ローションや、一般の人の肌には触れることのない
ロイヤルローション、軍事ローション等を内々に試した経験も多々ある。

しかし、気を失ったことなどなかった。
ジャーナリストとして、ありうべからざることだ。
しかし、あまりにも気持ち良かったのだ。気持ち良すぎたのだ。

山根君と職人が真剣な表情で2種類のローションを交互に塗り合う光景を、
私はぼんやりとした頭で眺めていた。
32名無し職人:2007/05/21(月) 04:21:37
「ロッキーと、松風…」
とりとめのない私のつぶやきに、山根君と職人が振り返る。

「塗らずにはいられなかっただろう、無理もねえ」
職人は笑ってはいたが、その口調には、恐るべき2つのローションに対する
畏敬の念がこもっていた。
33名無し職人:2007/05/21(月) 04:28:19
体の中から熱くなり、人をして快楽へと疾走させる「ロッキー」。
クールな爽快感が快楽を果てしなく持続させる「松風」。

対照的な2種類のローションだが、発表されればローション業界に
かつてない衝撃をもたらすに違いない、画期的なローションである。

いや、危険なローションとさえ呼べるかもしれない。
なぜこのような物がここに?
深い疑問が、私の乳首を再び勃起させていた。
34名無し職人:2007/05/21(月) 17:53:30
「ロッキーはなぁ…うーん、なんて言うか…量産は不可能なんだ。天然っていうか。品質管理の為に毎日、朝昼晩モズクを食わなきゃいけねぇし」

「ロッキー」=職人の我慢汁
この事実に私は驚愕した。
35名無し職人:2007/05/22(火) 12:24:08
私は順天堂大学の人体潤滑研究資料室を取材したことがある。世界各地から
集められたローションがあり、タイ・フィリピンを始め多くの国々からの
留学生が、思い思いの試験管を手に、日夜懸命の実験を繰り返している。

例えば、18世紀にイギリスの調査団がアフリカで略奪したローションの成分は、
主に粘土であった。中国の明王朝ではフカヒレを、安土桃山時代の日本では
山芋などのデンプンを用いてローションを製造していたことがわかる。
36名無し職人:2007/05/22(火) 12:24:55
資料室長を務める温井教授が、以下のように語っていたことを思い出す。

「シリコンのローションなど、ごく最近の発明です。人類史の中でも最低の
部類ですな。あんな物で感じるほうがどうかしている。

日本の赤ちゃんのよだれ掛けも、本来はローションの原料採取のために
用いられたものです。ほら、このように、非常にちんこがはさみやすいでしょう。

我慢汁? もちろんあるでしょうね。精液そのものが用いられた例もあります。
その文明は滅びましたけどね。我々研究者は、記録の番人でしかないのです。
ローションは現場にあります。作る職人のパッション、使う人々の創意。
それこそが文化なのです」
37名無し職人:2007/05/22(火) 12:26:00
話を戻そう。ロッキーの我慢汁に愕然とした私の目には、
さらに衝撃的な光景が飛び込んできたのである。

職人が叫んでいた。
「勃った! 勃ったぞ!! 山根が立った!!!」

ロッキーと松風の威力、そして職人の手練手管のテクニックが
三位一体となり、山根君の男根は、奇跡の勃起を遂げたのだ。
38名無し職人:2007/05/22(火) 20:38:44
職人はすぐさま私にこう叫んだ。
「墨汁と紙と筆をそこの引き出しから出してくれ!!急げっ!!」
職人はおもむろに山根の男根についたローションを拭き取り、墨汁を塗り始めた。

後に二代目のモノとして工房に飾られるチン拓はこうして生まれたのである。
39名無し職人:2007/05/23(水) 00:56:49
私は、未だにあの体中をかけめぐる快感を忘れられずにいた。
デスクで原稿を書いていてもなんだか落ち着かず、そわそわした日々を過ごした。
結局、私はいてもたってもいられず、工房へと車を走らせていた。
私は、ローション…いや、あの二人の職人の虜になってしまっている事に気づくのに時間はかからなかった。

工房に着き、いつものように門をくぐろうとすると、そこには身長が2メートルはあるであろう大男が立っていた。
40名無し職人:2007/05/23(水) 02:45:15
おどろいた。
テレビで見たり、街なかで見かけることは日常的だが
黒人と一対一で向き合うのは、初めての経験だった。
41名無し職人:2007/05/23(水) 13:05:38
そして、彼は一言「ヤット、ミツケタヨ」と、つぶやき目を潤ませている。
彼の大きな右手には、職人作『FUJIYAMA』が握られていた。
そして、深呼吸して意を決したかのように工房の門をくぐる。

私はただ呆然とするのみであった。
42名無し職人:2007/05/23(水) 22:30:03
黒人が工房に入ると職人と山根くんは一瞬「オヤッ?」っという顔をしたが、すぐに「いらっしゃい」と何事もない様子で黒人を迎え入れた。
黒人は安堵した表情で職人に歩み寄り手帳を開いて見せた。
手帳には『NASA』と書いてあった。
43名無し職人:2007/05/24(木) 01:10:55
ンディゲオチェロ(おそらく偽名であろう)と名乗る黒人は、
いぶかしげに私のほうを見やる。

「その人なら大丈夫です。ただのジャーナリストだ」
山根君は間髪を入れずにフォローしてくれた。

黒人は安心した様子で、勧められるがままにズボンを下ろし、
来客用のすけべ椅子に座る。黒光りする股間の12インチ砲は
ビクンビクンと脈動し、早くも発射寸前の緊張感に包まれていた。
44名無し職人:2007/05/24(木) 01:11:54
彼の語った話は某大国の国家機密に関わるので、詳しくは書けない。
ただ、2010年に本格稼働する予定の国際宇宙ステーション計画が
今、重大な危機に瀕しているとだけ書いておこう。

なにしろ暗黒の宇宙空間で、宇宙飛行士たちは、たった2人きりで
1年間も滞在する。並のローションでは肉体も精神も耐えられないのだ。

80年代、米国はネバダ州の地下に広大な実験室を作り、大量の遺伝子組換
ナメクジを飼育して、24時間粘液を供給できるシステムを開発したが、
コロンビア号の事故ですべてを失った。一方ロシアは鉛筆を使ったが、
こちらも悲惨な事故に見舞われた。ちんこが血だらけになったのだ。

「モウ、アナタシカ、イナイ。」

黒人は、愛用の「FUJIYAMA」を握りしめてつぶやいた。
45名無し職人:2007/05/24(木) 01:18:11
山根君は、男の差し出す手帳を見た瞬間「オ、オヤッサン!NASAっスよNASA!」
「あ゙ー、なんだそりゃ?浅漬けか?」
「オヤッサン、そりゃNASUです、N・A・S・A!アメリカ航空宇宙局ですよ!」
「まー、なんでもいい、ローション使うのに肩書きはいらねー、好きなの選んでくんな!」
「いや、だからオヤッサン!」
こんなやりとりをさえぎるように、NASAの男は口を開いた。
「ゼヒ、アナタノ技術ヲ世界ノタメニ役立テテホシーノデス。」
46名無し職人:2007/05/24(木) 17:51:32
黒人は職人の目をジッと見てこう言った。
「無重力デモ、抜ケルFUJIYAMAヲ作ッテクレマセンカ?」
『FUJIYAMA』は確かにヌケる、この工房の看板商品だ。
だが、宇宙空間で使うには確かに粘度が低く不向きである。
粘度が高く、宇宙空間でも確実にヌケる絶妙の肌触り・摩擦。
「山根…店閉めろ!!調合の準備だ!!」
職人の闘志に火がついた。
47名無し職人:2007/05/24(木) 19:01:03
私は、歴史の証人となるべく調合に立ち合う許可を得た。
『NASA』の男と共に。
それから三日三晩、死闘とも呼ぶべき調合が続いた。
四日目の早朝、ローションを調合する音が一定のリズムで工房に響きわたり、いつしか私は睡魔におそわれたその瞬間、ローションの音がピタリとやんだ。
そして職人はがっくりと肩を落し「だめだ!なにかがたりねー、なにかがだ!」と言ったきり微動だにもしなかった。
48名無し職人:2007/05/24(木) 19:32:19
店を閉めて一週間が経った。在庫も底をつき、このままだと取引先との関係に支障が出る。
「クソっダメだ…まだだ…まだ続けるぞ。山根、準備しろ。」
「親父っさん…もう…」
「準備だッ!!」
職人も山根くんも黒人も…そして私にも限界が近づいていた。
そのとき、勢いよく扉を開ける音が工房に響き渡った。
「一週間も店閉めてどないしたんや?何かあったら相談せぇ言うたやろ。」
49名無し職人:2007/05/25(金) 12:38:09
「と、戸田さん!」
皆、一斉に声をあげ、戸田さんが矢継ぎ早に、「風の噂で聞いて来てみれば、みんながん首そろえてなにやってんねん!」
山根君が、事の経緯を語ると、戸田さんはそれをうなずきながら黙って聞き、「おもろいやないか!」と、言った。

「ほな、山根君!ワシの言うとおりに調合するんや!」と、指示を出し職人に向って「水臭いやっちゃなー、おまえは…」と、慈愛のこもった表情でつぶやいた。
50名無し職人:2007/05/25(金) 16:29:39
「すまねえ、戸田さん…」職人は真っ赤な目を黒い腕でしごき、
付着した目やにを、「目糞」と書かれた木箱に大切にしまった。
「またあんたに借りが出来ちまった…」

戸田さんは職人と黒人を抱きしめ、優しくなで回した。
「もうええ。もうええ。汁屋に湿った話は似合わん。
 ワシらが、そうや、ワシらが湿らせたるんやーっ!!」

ナニワの汁師、戸田さん。

彼の名を知らぬローション職人はいない。戦後のローション史は、
彼の名作「まむしうなぎ」や「ぬるだこ」なしには語れない。

何も語らず20年前に突然樽を割った戸田さんが、今、ローション調合の
指揮を執っている…。それはまさに、歴史的な光景だった。
51名無し職人:2007/05/25(金) 18:13:56
しばらくして山根君が、「できましたけど…」と、不安げな表情で桶を持ってきた。
戸田さんは桶のなかを覗き込み「おーこれ、これ、懐かしいなー」と言い、私も桶のなかを覗き込んだ。
桶のなかには通常のローションよりはるかに粘性が強い、と言うよりプルンとした感じはまるでゼリーのようである。
「ガハハハハッ!みんな、こんなんでヌケんのかっちゅーよーな顔をしとるな。あたりまえや、これは失敗作やからな。」
私は、目の前が暗くなるような感覚をおぼえた。
52名無し職人:2007/05/25(金) 19:33:05
「あはは、戸田さんらしいや」山根君は笑い出した。

しかし、職人と黒人の目の奥では、何かが光っていた。
「そうか…戸田さん、そうか、そうだったのか…」
「アナタ、タダモノデナイ…」

「お師匠はんから受け継いだんや…あんたのお師匠はんから…」

戸田さんはタオルで汗をぬぐい、注意深くタオルを絞って、
「体液原液」と書かれたビニール袋に入れた。
「ここまで出来たのは、ワシ一人やった。中里はんが倒れる前夜のことやった…」
53名無し職人:2007/05/25(金) 19:47:33
ローション界の父・中里陸夫氏が、その人生の最後に執念をかけて取り組んだのは、
「極限状況の人間を逝かせるローション」だった。

「この狂った世界で、狂った人間ども相手に、ローションに何ができる。
 逝っちゃってる連中を目覚めさせねばならん。そして逝かせるんや!」

中里氏は妻子を捨て、家財を売り払って工房に閉じこもり、熱に浮かされたように
釜を撹拌し続けた。晩年の中里作品の鬼気迫る調合は、こうして生まれた。
出入りを許されたのは少数の弟子たちと、戸田さんだけだったのだ。
54名無し職人:2007/05/25(金) 19:48:55
「だめや。弱酸性や」
リトマス試験紙を桶から引き出して、戸田さんがつぶやく。

「山根君、あんた、まだ脇液は出るか? 耳の裏の汗でもええ」
「だめです。一生懸命絞っているのですが…」

悠々と振舞っているかに見える戸田さんにも、あせりの色が見え始めていた。
「どのレセピよりも粘りつき、しかもぬるぬるでなければならんのや…」
55名無し職人:2007/05/25(金) 20:25:44
工房の中は熱気と汗のニオイに満ちている。
「もうちょっと、もうちょっとなんや!!…くそっ」
限界が近づいた戸田さんに職人が歩み寄る。
「ありがとう…もういいよ。山根ももういいぞ!!こんな情けない姿、師匠に見られたら怒られちまう…俺の力不足だ。みんなスマンな…うぅっ…くそ…情けねぇ」
職人の目から一筋の涙が流れ落ちた。
56名無し職人:2007/05/26(土) 11:08:13
「いや、お師匠はんは…
 ワシらに何か大事なことを言い残す前に逝ってしもたんや…」
戸田さんはしんみりとつぶやいた。

きわめて粘性の高い、プリンのようなローション。
JIS工業規格の「超高粘度特殊性感ローション(甲)」の基準をはるかに超える。
これを製造できる設備は、国内にはない。
戦前のドイツで軍用に短期間製造されたと言われているが、詳細は不明だ。

肌への粘着性は驚異的に高い。宇宙空間でも、これなら使えるだろう。
しかし、ローションに必要な潤滑性が、致命的に欠けていた。
これでは、抜けないのだ…。

…何かが足りない。何かが。
職人と戸田さんは手で顔を覆ってうなだれた。

その時、黒人が無言で立ち上がり、桶の中のローションを全身に塗り始めた。
57名無し職人:2007/05/27(日) 20:18:49
こんにちは。
ちょっと質問させてください。
SOCのスキンローションを購入しました( ttp://www.kenko.com/product/item/itm_6529382072.html )
説明書きに、風呂上りやシャワーの後に、塗るよう書いて有りましたが、体を拭いてからということなのでしょうか?
また、全身に塗った後に軽くシャワーを浴びたりしたほうがいいのでしょうか?
58名無し職人:2007/05/28(月) 19:15:25
突然の黒人の行為を我々はただ呆然と眺めていた。
「おまえ、気でも狂ったか!」
戸田さんが叫び、止めさせようとした瞬間、職人が「まて!」と叫ぶ、「なんでやねん、こんなもん正気の沙汰やあらへんがな!」
その間も黒人は時折「ンー」、「オー」などと吐息を洩らしつつ、なめし革のような、たくましく鍛えられた体にローションを塗りたくっている。
「足元を見てみろ!」
全員が職人の声に導かれ目をやると、そこには黄金色に輝く、ねっとりとした液体があった。
59名無し職人:2007/05/28(月) 21:47:00
その黄金色の液体を職人は指ですくいとる。
黄金色の液体は職人の指にねっとりと絡み付き垂れる事がない、職人が指と指をこすりあわせ粘性を確かめる。
「申し分ねー、この潤滑性は国際規準値のSクラスだ」
「ガハハハハッ!そういう事か、つまりこのにーちゃんの体中から出る体液がこのローションを生みだしたんやな」
「いや、それだけじゃねー、見てみな」と、職人の指すほうを見ると、天高くそびえ立つ黒人の一物から尋常でない量の我慢汁があふれている。
「これか!!」全員が声をあげた。
60名無し職人:2007/05/30(水) 04:51:22
じゅるじゅると糸を引きながら、とめどなく溢れる我慢汁。
それはブラック・オニキスのように輝きながら、黒人の太ももを
たらりたらりと伝っていく。

「ああ、なんて美しい…」私はため息をついた。その汁をすくい取って
全身に塗りたいという激しい衝動にかられた。

「これが、これが伝説の我慢汁…」山根君は感動で震えている。
「中里先生の『ローションの匠とその技芸』で読んだことがあります。
人類がローションを必要とするようになる以前、我慢汁の次に分泌されていた、
黒く輝く神秘の汁があるのだと…。ローション調合は、その失われた汁を
追い求める永遠の旅なのだと…」
61名無し職人:2007/05/30(水) 04:52:27
「少年の頃、横須賀で一度見たことがある」職人が冷静に口を開く。
「尻の感触が、その汁を覚えている。あの、粘りと滑りの完全な融合。
以来、俺はローション修業の道に入ったのだ。

しかし、どうしても、どうしても、俺には作れなかった…」
62名無し職人:2007/05/30(水) 04:53:12
「こら、あんたら! ぼさぼさしてたらあかん!
早く、早く汁を採取するんや!! 一滴残らずや!!」
戸田さんは漏斗と原料用の一升瓶を抱えて、素早く黒人の脚の間に潜り込んだ。

「チクビモ、ナメテ…」黒人が切なそうにこちらを見る。
職人と山根君が、飛びつくように黒人の両の乳首に吸いついた。
戸田さんの檄が飛ぶ。
「そう…そうや、心をこめて。ただし、絶対に逝かしたらあかんで!!」

「オー、クモーン。クモン、ジョー。ベン。エーイブラハム。クムトゥミー、
インサイドミー。ナーゥ。エヴィワン。オー、プリーズ。プリーズサクミー。
アーハー、キテクダサーイ、マイリル、ジャーパニーズ、ボーイ…
アナダガタ、イジワルデス。コアクマタチデス。アア、ヨイデス。トテモヨイデス。」

黒人の鼻息が徐々に高まっていく。そのリズムに合わせるように
職人と山根君は乳首をなめ、戸田さんは慎重に搾汁を続ける。

一升瓶は、黒く輝く美しい汁で、早くもいっぱいになっていた。
63名無し職人:2007/05/30(水) 09:48:55
何故黒人から神秘の汁が出たのかは不明だ。
…ただそんなことは、もうどうでも良かった。
全員の気持ちがローションで1つになった結果、としか言いようがない。
2010年、黒人がスペースシャトルに乗る姿をテレビで見ることができた。
その手には大事そうに一升瓶が抱えられていた。
64名無し職人:2007/05/31(木) 17:30:32
(なお、今回の取材中、未来の出来事に関してはドラえもん氏の協力を頂いた。
 氏にはローションの取材であることを伏せ、宇宙計画の未来ということで
 タイムマシンの使用を快諾頂いたことをお断りしておく。)
65名無し職人:2007/05/31(木) 17:31:21
さて、私が長期取材を続ける職人の工房にも、もうすぐ夏がやって来る。

ローション業界には2つの書き入れ時がある。クリスマスとバレンタインだ。
夏は日焼け止めクリームなどの軟弱な製品は売れるものの、ローション業界に
とっては冬の季節である。

この時期、比較的大きな町工場では新製品の発表会が行われるが、中小の工房では
職人が長期休暇に入ったり、隣接する自宅でひたすら惰眠をむさぼったりする。
「汁職人 半年練って半年寝」とは江戸時代の川柳である。
66名無し職人:2007/05/31(木) 17:33:17
一方、ホテルや風俗店への営業活動に精を出す熱心な職人もいる。

私の取材する職人は、「人と話すのが何より苦手だ」とこぼしながらも、
自作の汁を一人でも多くの人に使ってもらいたい一心でホテルを回るのである。

「ホテルなんて柔な物じゃねえ。旅館が多いんだこのへんはな。連れ込み旅館だよ」

誰にともなくつぶやきながら、職人はひなびた駅で列車を降りた。
駅の裏手には温泉宿が点在する。職人は汗を拭き、一軒の戸を叩く。

「女将さんはいるか。すまないが、ローションを持ってきたんだ。ああ、東京の汁屋だ。
 いい汁だ。今年のは自信がある。ちょっとでいい。見てくれないか」
67名無し職人:2007/05/31(木) 17:47:06
「女将もプロだからな。かなりの目利きだよ。なかなか上手くいかねぇなぁ…」
夏場の営業は体力的にも厳しいようだ。
特許出願中の品がある。
詳細はお伝えできないが皮膚に塗ると発熱し、血管を広げ、勃起率を促すというものだ。
ED治療の専門医からも注目を集めている。
勃起率とは…
68名無し職人:2007/05/31(木) 18:39:03
アメリカのハンコック氏が1980年代に提唱し、今では医療・風俗業界に
広く支持されている新しい勃起の尺度である。

それまで用いられていた勃起指数には多くの欠陥があった。
例えば、製薬会社が臨床試験の際、意図的にグラビアアイドルを
被験体のとなりに寝そべらせたり、「普通勃起しないような男の声でさえ
勃起する」というデータを捏造するために、ホモばかり集めたりした。

勃起率の考え方は、簡単にいえば「誰もがその能力に応じて物理的に
最大勃起した時の角度」を100とし、特定の条件下での勃起の度合いを
表すものだ。つまり、多勃起症の人が普段の90°から148°に上がるのと、
インポの人が1°勃起するのとを公平に扱うことができ、試薬の純粋な
そそり度を測定することができるのである。EDの人が1°勃起するなら、
その試薬は絶大な効能なのである。

ちなみに、1回の測定には10万人が参加し、「刺激」を一定条件に
保つため、全員に全裸になってもらい、明かりを消し、目隠しをする。
なお、この時点でもう勃った者は測定不可として、退場してもらう。
69名無し職人:2007/06/01(金) 17:59:04
実験の際、問題になるのは勃起を促す女性の声である。
ハンコック氏は世界8カ国で実験を実施したため、その国々に見合った喘ぎ声が必要だ。
そこで彼は、その国で最も人気のあるAV女優に目を付け、本番の音声を録音した。
もちろん日本でも実験は実施され、その時、録音に協力したのは80年代前半、世の中高生を虜にした…
70名無し職人:2007/06/10(日) 20:11:45
これは保守しないと
71名無し職人:2007/06/12(火) 17:46:30
田口ゆかりである。
彼女は性文化の坂本竜馬と呼ばれ、昭和のポルノビジネスを支えた偉大な功労者だ。
一方その頃、工房では事件が起きていた。
都市開発によって、工房の土地に幹線道路が通ることになったのだ。
72名無し職人:2007/06/15(金) 21:05:28
保守
73名無し職人:2007/06/21(木) 22:54:54
保守
74名無し職人:2007/06/22(金) 19:13:56
工房に駆けつけた私の目に真っ先に飛び込んできたのは、
わずかの日数のうちに変わり果てた周囲の風景だった。
つまようじ工場も肉投げ練習場も、隣のこんにゃく屋もすでにない。
がらんとした空き地に、解体・整地作業の機械類だけが無造作に置いてある。

さらに工房の入口まで来て、私は絶句した。
入口にはベニヤ板が張られ、おびただしい数の中傷ビラで埋め尽くされていた。

「ローション屋はこの街から出てゆきなさい」
「ここのローションは砂入り危険!!」
「避妊 ダメ ここの ローション 聞かない 子供 産まれますよ?」
「頭の悪いるい青少年をだ落くさせろローシンョ絶体反対!!」
75名無し職人:2007/06/22(金) 19:15:05
バケツを持って、ビラに何かを塗っている人物がいる。山根君だった。

「やあ、ご覧の通りです。すっかり悪者にされちゃって。
 でもきっと、地元の人じゃない。ヤクザな不動産屋の仕業なんです」

何を塗っているのか尋ねると、シールはがし剤だという。

一般的な性感ローションに米ぬかを混ぜると、有機溶剤を使わずに、
環境に優しい安全なシールはがし剤ができる。筆者が幼い頃、
冷蔵庫に貼りまくったガムのおまけのシールを、祖母がそうやって
はがしていた。昔は、どの家にもローションと米ぬかがあったのだ。
今や失われつつある日本人の知恵である。
76名無し職人:2007/06/22(金) 19:16:23
ベニヤ板の隙間から、薄暗い工房内に入る。
職人は普段と変わらず、樽の中の汁を無心に練っていた。
その姿を見て、私は少しほっとした。

だが、近づいて愕然とした。
樽の中の汁は、真紅に染まっていたのだ…。
77名無し職人:2007/07/02(月) 17:55:44
保守
78名無し職人:2007/07/03(火) 08:07:29
「な、何事ですかそのローションは。そして、外のありさまは…」

「薔薇の香りがするかい?」職人は樽の中を見つめたまま、つぶやいた。

樽の中に顔を埋めるようにして嗅いでみた。ザーメンの香りがした。
過去何度も嗅いだことのある、職人のザーメンの香りだ。

「しません! 薔薇の香りなんてしません!」私は咳き込みながら答えた。

「そうか、それでいい。よし完成だ!」職人が顔を上げる。いったい幾晩
徹夜を重ねたのだろう、消耗しきって青ざめた顔を。
79名無し職人:2007/07/03(火) 08:08:29
「血だ…師匠、そうなんでしょう? この赤い汁は、師匠の血なんでしょう?
 ああ…こんな体になって…」

山根君が目に涙を浮かべて職人に駆け寄る。職人は山根君の肩に倒れ込む
ようにして、かろうじて立っていた。

伝統ローションの世界には「三液大事」という言葉がある。

三液とは血・汗・涙のことだ。このうち血だけは、通常、人間用ローションの
調合にはほとんど用いられることがない。ローションは無色透明、もしくは
半白濁をもって上質とされる。色がついてしまうと商品価値が著しく下がり、
銀座のローション専門店などでは扱われず、大人のおもちゃ扱いとなってしまう。
80名無し職人:2007/07/03(火) 08:09:43
「しかし、秘伝中の秘伝として存在していたらしいのです。赤いローションは」

山根君は『ズィ・アート・オヴ・ジャパニーズ・ヒストリカル・ローション』
という古びた本を取り出してきた。三島由紀夫、エドワード・サイデンステッカー、
イーデス・ハンソン、マーシャ・クラカワーの4人の手になる古典的名著だ。
オクスフォードで私家版として刊行され、専門家にしか知られていない秘本でもある。

「ここに3行だけ記述があります。唐の玄宗皇帝が仙人らに命じ、三液すなわち
血・汗・涙をともに用いた秘汁を調合させ、それはもう絶倫の限りを尽くしたと…」

民間伝承によれば、その汁と思われる物が正倉院の奥深くに眠っているという。

玄宗が鑑真和上の日本渡航を禁じた際、和上をつなぎとめるために寝室で用いた物を
和上が自宅に持ち帰り、「玄ちゃん…ごめんなさい」とつぶやきながら遣唐使船で
日本に伝えたとされるが、確かなことはわかってない。
81名無し職人:2007/07/03(火) 08:11:27
「紅龍。ラーメン屋じゃねえぞ。この汁の名だ」

職人は枯れた声でそう言うと、にわかに咳き込んだ。
「調合してみてわかったよ。これは本物だ。高級牛の繁殖に使う赤汁と同じだ」

赤汁とは、牛の血をまぜて赤くした牛用ローションだ。血で色をつけると
牛受けが良いという。それはただ色の問題ではなく、実際に血の成分が
なんらかの興奮作用をもたらすらしい、と昔から言われてきた。

「牛や中国の王様に効くんだから人間に効かねえわけはねえ。
 いいか山根、今から俺はこの汁を塗って奴らと戦う。おまえも塗れ!」
82名無し職人:2007/07/13(金) 20:30:19
保守age
83名無し職人:2007/07/21(土) 23:31:36
いいスレだ・・・
84名無し職人:2007/07/27(金) 22:53:20
保湿age
85名無し職人
今日は夏祭り。
地上げ屋との一件は根強いローションファンと日本潤滑協会の働きかけにより、どうにか良い方向に向かっている。

他の屋台とは少し離れた路地の片隅で店を構える職人。
こんな場所で…しかもローションなんて。
私の不安をよそに職人と山根くんは商品を陳列している。
久しぶりに見る楽しそうな笑顔だ。
「夏1番の稼ぎ時だ。ローションなんて売れねえと思ってんだろ?まぁ見てなって。笑」