722 :
悪徳業者:
俺は振り込み詐欺をやっている、いや正確にはやっていた…だな。
ある日のことだ。事務所の電話がなった。
とある男が「金は無いから振り込めない」って言ってきやがった。
だから俺様は「身の回りの物でも、内蔵でも売って金を作れ!テメェの回りに何かあるだろがっ!」
って言ってやった。
少し間を置き、その男は「ちくわ…、ちくわならあります。ちくわを振り込みます」って。
で、俺様が冗談で
「テメェ、なら10本振り込めっ!!」って言ったら、
奴は本当にちくわ10本を郵送してきやがった。
しかも速達で。
俺様は、まさか!!と思い大きめの茶封筒を破った。
ちくわが10本、転がり出てきた…。
あぁ。少し固くなっていたよ。
俺様は、少し固くなった10本のちくわを前に途方にくれた…。
そしてどのくらいの時間が流れただろうか。
なぜか…ふと、そう何気なく、ちくわの穴を覗いたんだ。
そ、そしたら明るい未来がぁぁ、希望の光が見えたんだぁぁぁっっ!!
その日から、俺は振り込み詐欺をやめた。
贈り主は…イマイ。あの名前は一生忘れねえ。
そして俺は希望を込めてみんなに“ちくわ”を届けるのさ…