いかりや

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若い世代の人たちから見ればなじみがないのは当然だが、
虹さんや私などの世代にとって『ドリフターズ』はお笑いであると同時に
男たちの応援者だった。森繁の「社長」シリーズなどと同じころ、
60年〜70年代初頭にかけて数多く作られたドリフの映画や唄は、
高度成長期を影で支える日の当らない父たちにやさしかった。

当時唄われた歌を思い出してみるといい。
「ミヨちゃん」「ズンドコ節」「いい湯だな」etc・・・
それらはいつもともすれば挫けそうになる男たちを励まし、慰め、
また再び立ち上がって今日を戦い続ける力を与えようとしていた。
どれくらいの数のおっさん達が、彼らの姿に力づけられただろうか。

政治も経済も女たちも、
歩きつかれて公園のベンチに座り込む会社員や
ガード下でクダを巻く中間管理職や
四畳半で膝をかかえて震える独り者には冷たかった。

そんな男たちを彼らは常に、男たちの視点で励まし続けた。