アメリカンジョーク10発目

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687名無し職人
俺が小学生になったばかりのころ、お袋が免許を取った。
親父は免許を持っていなかった。
免許取ったお袋は平日に一人でディーラーに行って車を買ってきた。
数週間後に届いたクルマはサニー。もちろんMT。
俺の子供の頃の家族旅行の思い出はいつもこのサニーとともにある。

歳月は過ぎ俺が社会人になったころ、10年になるサニーはまだうちにあった。
しかしもう家族で出かけることもなくなり、ファミリーカーとしての役目は終えていた。
俺が免許を取ったとき、その古いサニーを運転することが格好悪く思えてすごくイヤだった。
親父とお袋に頼み込んで新しいクルマに買い換えてもらった。
俺の希望によって買ったのは初代のレガシィ。

納車の日、ピカピカのレガシィがやってきて大はしゃぎの俺。
そんな俺の後ろで、お袋は走り去ってゆくぼろいサニーの後ろ姿を追っていた。

お袋は泣いていた。

ものすごいショックが俺を襲った。
あのクルマはお袋にとってどんな思いが詰まっていたんだろう?
幼い俺を連れてあちこちドライブするために免許を取り自分で選んだサニー。
その瞬間まで全然気が付かなかった。
気づいたときにはもうサニーの姿は見えなくなっていた。

結局お袋はその後、あまりクルマを運転しなくなった。
お袋にとってはあのサニーが一生に一台っきりのクルマだった。