親切な男がハイウエーでタイヤ交換に苦労している人を見た。
男の赤い顔は汚れた手で汗をぬぐったらしく、黒く汚れていた。
ネクタイは解け、シャツのえ襟はゆがんでいる。
それに、かつては白かったシャツで手をぬぐってたらしかった。
その男の近くには一分の隙もなく装った女が立って、腹立たしげにまくしたてていた。
親切な男が声をかけた。
「あの、ぼくはタイヤは何度も換えてます。よかったらお手伝いしましょうか?」
「ああ、お願いしますよ」
パンクした車の男が言った。
「妻もタイヤ交換の専門家でしてね。
そっちでタイヤの換え方について妻と言い争っていて下さい。
汚れ仕事はこっちでできますから」