新・連続架空ドラマ

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469名無し職人:04/06/23 02:10
第3話「驚愕!怖〜いミルクの甘〜い罠!」

無茶苦茶なスケジュールをなんとかこなし、ヘトヘトになっている池袋。
そこへライダーの恋人役で出演している巨乳タレントのミルク(乙葉)がやってくる。
「最近、かなりお疲れのようですね」
「ああ、でもしょうがないよ。スケジュールが無理の上に無理を重ねてるから」
「睡眠時間あります?」
「そんなもんあるわけないよ。でも、少しは仮眠をとってるから」
「あのね、いいものがあるんですよ」
そう言うと、ミルクはバッグの中から、何か白い粉の入ったビニール袋と金属製の
スプーンをとりだした。
「なんだい? これ?」
「あのね、とってもいいものなんですよ。疲れが一発で吹っ飛ぶし、寝なくてもよくなる
魔法のクスリなんです」
こ、これは、どう考えてもヤバイクスリなんじゃないだろうか・・・
しかし、それを断るには今の池袋は疲れすぎていた。
この状態が少しでも楽になるなら・・・
つい、そう考えてしまった。
「これ、どうすればいいの?」
「簡単ですよ。スプーンにこうやって乗っけて、下からライターであぶって・・・」

>>次回 第4話「怪人スプーン男の涙」
470蛇足:04/06/29 22:57
東武東上線

池袋 北池袋 下板橋 大山
中板橋 ときわ台 上板橋 東武練馬
下赤塚 成増 和光市 朝霞
朝霞台 志木 柳瀬川 みずほ台
鶴瀬 ふじみ野 上福岡 新河岸
川越 川越市 霞ヶ関 鶴ヶ島
若葉 坂戸 北坂戸 高坂 
東松山 森林公園 つきのわ 武蔵嵐山
小川町 東武竹沢 男衾鉢形 玉淀 寄居
471名無し職人:04/07/08 23:57
sage
472コンブ:04/07/14 20:43
  ∧_∧
 ( ・∀・)ワクワク
 ( ∪ ∪
 と__)__)
473名無し職人:04/07/16 12:56
第4話「怪人スプーン男の涙」

「この軟弱者がぁ!!」
いきなり池袋に張り手をかます男、柳瀬川竜次(藤岡弘、)。彼こそ、初代仮面ライダー
であった。
「おまえの窮地は知っている! なぜ、この私に相談に来ないのだ! た〜しかに、私は、
ライダーを引退した。しかし、しか〜し!! お前が頭を下げて頼むのなら、男・柳瀬川!
今一度、ライダーにへ〜んし〜ん!!!」
勝手に演説をぶちかまし、倒れている池袋の背中を足げにして往年のポーズを決める柳瀬川。
なぜか、感動に涙して、池袋から奪った、「ヤバイ粉」の入ったスプーンを飲んでしまう。
さらにハイテンションで語り続ける柳瀬川。
なんとかなだめようとする池袋だったが、口を挟もうとする度に柳瀬川からパンチやキックを
浴びせら続けた。
「あのぉ〜、柳瀬川さん? 僕ら・・・今日が初対面だと思うんですけど・・・」
この日の池袋の最後の言葉であった。

ナレーション(声:中江真司)
遂に立ち上がった初代・ライダー!。
本当に彼がこのまま主役になるのだろうか?
薬事法違反は大丈夫か?? 
次の撮影は明日だ! 気絶している場合じゃないぞ、池袋!!
次回、第5話「もぉうガマンできな〜い」
474名無し職人:04/07/26 00:08
第5話「もぉうガマンできな〜い」

「え〜い、大山め! しぶとい奴だ」
バリボリ・・視聴率表を見ながらトレードマークのコーンフロストを牛乳もかけずに
食べていた怪人コーンフロスティーこと編成局長の朝霞は、その視聴率表をクシャ
クシャに丸めてゴミ箱へ投げ捨てた。そこには「ケロッグ」の先週の視聴率が
書かれていた。16.8%。放映3週目でも主演俳優が一度も顔を見せない事が、逆に
話題になり始め、視聴率は上昇していた。
「まあいい。柳瀬川がうまくやってくれるだろう。ふふふ、大山よ、初代ライダーは
手強いぞ!」

* * *

ロケ現場の石砕場でネットの書き込みを見ながら頭を抱えている池袋。
ライダーは誰だ? 様々な憶測が書き込まれる中で大半の書き込みが・・・、
「柳瀬川竜次(初代ライダー)って線は?」
「それサイテー!」
「柳瀬川だったら首を吊る」
「柳瀬川だったらテレビ夕陽に火をつける」
「柳瀬川だったら妹の風呂写真うp」
などなど・・・。
こんな見え見えの中でホントに柳瀬川がでていったらどうなることか、想像しただけで
池袋は気持ち悪くなった。だいたい柳瀬川はもう60歳をとうに超えている。しかし、今
までの話の中で主人公はスタントマンを使って派手に立ち回ってしまっている。なんとなく
20代くらい?とかの伏線も張ってしまっていた。どう考えても柳瀬川では無理がある。
「なんとかしろ〜池袋〜〜!! もうすぐ柳瀬川がくるぞ!」
大山が池袋の首を絞めながら泣き叫ぶ。
その時、突如、ロケバスの中から奇声が!
「もぉうガマンできな〜い!!」
475名無し職人:04/07/26 00:09

ロケバスから一人の女性が飛び出してきて、大山を蹴り倒し、池袋の上に馬乗りになって
首を絞めはじめた。ケロッグのメインシナリオライターの志木江吏子(森下愛子)だ。
「よ〜くもあたしのホンをズタズタにしてくれたわね! だいたい主役の台詞なしで
どうやって話を進めろって言うのよ! もう限界よ、ゲ・ン・カ・イ!!!!」
そう、ロケには来たものの、ケロッグ第4話のシナリオはまだできていなかった。志木は
ロケバスに缶詰になっていたのだが・・・遂にキレてしまったのだ。

大混乱のロケ現場に柳瀬川の乗るブルーバードSSSが近づいていた。


ナレーション(声:中江真司)
遂に黒幕が正体を現した!
ちょっと早すぎるかもしれないが気にするな!

次回 第6話「止めてくれるなおっかさん」

476名無し職人:04/07/26 02:18
第6話「止めてくれるなおっかさん」

「このこのこの!!」
池袋の首を絞め、殴り続けていた志木江吏子の拳は、徐々にその力を失い、いつしか
江吏子は泣き出していた。
ペシ! ペシ!!
力のない江吏子の拳が池袋の頬をなでる。
「嘘つき! 嘘つき!! 言ったじゃない、最高のライダーを作ろうって! 言ったじゃない、
夢を作ろうって! 大人も楽しめるエンターテインメントにしようって。約束したじゃないの。
嫌よ、こんな中途半端。・・・あたしは・・・嫌・・・」
江吏子の涙を顔に受けながら池袋はゆっくりと立ち上がり、江吏子の手をギュッと握り
しめた。
「ゴメン・・・。俺、自分のことでいっぱいいっぱいで・・。スタッフのみんなのこと考えて
なかった。ほんとにゴメン・・・。」
「池袋くん・・・」
「柳瀬川さんは俺がなんとかするよ。だから、最高のライダーを書いてくれ!江吏子さん」
「ホント? いいの?」
「それで・・・もうしばらく主役は台詞なしで変身したままってことで、第4話よろしく!」
「え!??」
いつのまにか、池袋は江吏子の両手両足を縛りあげていた。スタッフ達がすばやく集まり
江吏子を担ぎ上げてロケ車に連れて行く。
「池袋! このやろ〜〜〜!!」
悪態をつく江吏子に手を振りながら、池袋はADの成増良三を伴って柳瀬川のやってくる道を
走り始めた。
477名無し職人:04/07/26 02:19
* * *

双眼鏡を覗いている池袋。山道を猛スピードでドリフトしながらやってくるブルーバードSSSを
見つけ、無線で指示を出す。
「よ〜し成増! 作戦開始だ!」
「いいんですか? ちょっとやり過ぎじゃあ・・・」
「ふふふ、柳瀬川さんには悪いが、ロケ地には一歩たりとも入らせないぜ!」
池袋の合図とともに木が切り倒され、柳瀬川の行く手を塞いだ。
「よ〜し、やったぁ・・・・あれ?」
池袋がガッツポーズを決めようとした瞬間、柳瀬川のブルーバードのバンパーからチェインソー
が現れ、木を切りながら先に進み始めた。
「くそう! じゃあプランBだ!」
今度は、道が爆破され大穴が開いた・・・・が、ブルーバードは底に仕掛けられたスプリングで
高々とジャンプし大穴を飛び越えてしまう。
「そんなのありかよ〜〜〜!!」
この後も池袋の妨害工作はことごとく無駄に終わった。
「ちくしょう! こうなったら最後の手段だ!!」
池袋は上着を脱ぎ捨て、柳瀬川の車の前に立った。
「何を考えているんだ池袋!」
大山が池袋を制止する。
「止めてくれるなおっかさん!!」
「誰がおっかさんじゃい!」
行く手に池袋の姿を見た柳瀬川は高らかに笑いながらアクセルを踏み込んだ。
「おもしろい! この柳瀬川カスタム、止められるものなら止めてみろ!!」
478名無し職人:04/07/26 02:21
ガンッ!!!!
閃光が走った。池袋を追いかけてきた成増は信じられない光景をそこに見た。
池袋は見事に車を受け止めたのだ。そしてバンパーを持ち上げ前輪を浮かしていた。
空回りする柳瀬川のブルーバード。
「ば、馬鹿な!!」
「FF車が仇になりましたね。これが俺のケロッグにかける想いです!! 俺には守らなくちゃ
いけないスタッフがいるんだ!」
「ふふふ。池袋! おまえはおもしろい奴だな! しかし、忘れているぞ! このブルーバードは
アテーサ内蔵だ! 4輪駆動にもなるんだよ!」
「な、なんだってェェェエェ!!」
「砕け散れ! その情熱とともに!! アテーサ、スイッチィィィオオオオ〜〜〜ン!!!!」
柳瀬川のブルーバードの後輪が駆動を始め、ズルズルと押される池袋。
「くそったれぇぇ!! こ、ここまでか・・・・」
・・・・・池袋の手から力が抜けようとした瞬間、池袋の手を上からがっちりと押さえる手が!
「おまえ一人じゃないぜ!」
「お、大山さん!!」
「思いあがるなよ池袋! ケロッグはお前だけの作品じゃないんだ! 一人じゃ番組は作れ
ないんだぞ! もっとスタッフを信用したらどうだ!」
「そうだそうだ!」
成増を先頭に集まってくるスタッフたち。
「み、みんな!! ありがとう・・・。柳瀬川さん。どうあってもあなたを主役にするわけには
いかないんだ! 分かってくれ柳瀬川さん!! うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
池袋の雄たけびとともにスタッフ全員が前輪を持ち上げ、ついに車をひっくり返してしまう。
479名無し職人:04/07/26 02:22
「やるじゃないか。あんた達の想い、確かに見せてもらったよ。」
「柳瀬川さん!」
車から這い出してきた柳瀬川は池袋とがっちりと握手をかわすと、夕陽をバックに来た道を
ゆっくりと引き返していった。歓喜に沸くスタッフ達。池袋はそのまま意識を失った。

* * *

ロケ車の中で意識を取り戻す池袋。
「しまった! 撮影は! シナリオはどうなった!!」
バサッ! 池袋の顔にケロッグの台本が投げつけられた。そこには江吏子がいた。
「やるじゃない、さすが敏腕プロデューサー」
軽くウインクをして車を出て行く江吏子。
しばらくキョトンとしていた池袋は台本を見て、やがて大笑いした。

「仮面ライダーケロッグ 第4話「死闘! 怪人ブルーバード」

シナリオのところどころに江吏子の字で「CG合成よろしく(ハート)」の文字が書いてあった。
池袋の枕元には「お疲れ様でした」という成増のメモと、今日の柳瀬川との対決の一部始終を
収めたテープが転がっていた。


次回 >> 第7話「そして旅に出た」
480名無し職人:04/08/02 22:25
 
481コンブ:04/08/02 22:30
  ∧_∧
 ( ・∀・)ワクワク
 ( ∪ ∪
 と__)__)
482名無し職人:04/08/04 04:34
第7話「そして旅に出た」

池袋と大山はミルクを降板させることにした。
「なにしろ、クスリはまずいよ。ばれたらこの番組つぶれちゃうよ。だから、今のうちに
ミルクちゃんには番組降りてもらわないとねぇ」と大山。
「でも、台本どうします? ミルクは主人公の恋人役ですし」と池袋。
「だいたい主人公の正体が謎なのに、恋人がいることがおかしいんだよ」
「いまさらそんなこと言っても・・・」
「旅に出てもらうことにしよう」
「旅に?」
「そうだ。ミルクは自分探しの旅に出た。これで行こう」
「唐突ですね」
「いいんだよ。ミルクは恋人が正義の味方なのに、平凡な自分はいったい何だろうって
悩むんだ。そして、アイデンティティの崩壊を起こし、自分探しの旅に出る。
エヴァっぽく演出すれば、それもまたドラマに深みをもたすことができるだろうよ」
「なるほど。じゃ、それで行きましょう」
こうして、ふたりはミルクの降板を決定したのだが、何とミルク本人がたまたまその話を
立ち聞きしていたのだった。
ミルクは親指の爪を噛んだ。そして、決心した。
「いいわ。しょうがない。スキャンダルを恐れるのは当然だもの。どうあがいたって、
アタシはこの番組を降板するしかないでしょうね。でも、ただでアタシが引き下がると
思ったら、大間違いよ。この番組を滅茶苦茶にしてやる」

次回>> 第8話「登場!5人目のライダー」
483名無し職人:04/08/04 05:05
第8話「登場!五人目のライダー」
ボ、僕は五人目のラッ、ラッ、ラ、ライダーのヤッ、山下清っていうんだな。ボッ、ボ、僕は伝説のオッ、おにぎりを探す旅にデッ、デ、出てるんだな。
>>第9話「突然!おにぎりライダーのピンチ」
484名無し職人:04/08/05 08:18
おにぎりライダー頑張って!!
485名無し職人:04/08/09 00:03
第9話 「レッドライダー、死す!!」(仮) 改め 「突然!おにぎりライダーのピンチ」

「な、なんじゃこりゃあ〜〜!!」
ケロッグ第4話放映後に流れた次回予告>>483 を見て大山は絶叫し、隣で口を開けてポカンとしている
池袋に掴みかかった。
「こら!池袋!!なんじゃあの次回予告は! 次回は『レッドライダー、死す!!』じゃなかったのか??
だいたい、版権とかおさえてんのか? それよりも何よりも、あれ、ウケるか?? だめだろ!なあ!!」
「グ、グルジイです大山さん。知らないですよ、あんな次回予告なんてホント知らないですよ。」
「知らないってこたぁないだろ! だいたいさ、あの山下清役の俳優・・・誰だ?? 誰も知らんぞ! その
辺の近所の爺さんじゃねえのか? しかも・・・全然似てねえぇ!!」
ドッカ〜ン!! 突然、ドアを蹴破って江吏子が入ってきた。
「ゴラァ!! 池袋!! あたしのホンをどこへやったぁぁ!!! コロォォ〜〜ス!!」
* * *
「チーン!」
とあるホテルの一室でケロッグの放送を見ながらワインで乾杯する2つの影。
それは、編成局長の朝霞とミルクだった。
「ご苦労だったね、ミルクくん。ククク・・・大山の奴、今頃転げ回っているに違いない。」
朝霞の肩に手を乗せてシナをつくるミルク。
「たまたま2人の利害が一致しただけよ。それに、いい協力者もいたしね、テープのすり替え・・・」
ミルクが部屋の片隅に目をやると、一人の男が頭を抱えてうずくまっていた。成増良三だ。
「・・・やっちまった・・・やっちまった・・・池袋さん・・・ゴメン・・・」
まるで成増などこの部屋に存在しないかのようにミルクは朝霞の膝の上に足を乗せ、耳元で囁いた。
「そ・れ・よ・り・も、局長、今度のドラマの主役・・・」
「ああ、わかっているよ。薬の件もうまくもみ消してあげるよ」
「きゃあ、だから局長さんってす・て・き!! ああそうそう、局長、このワインは下からライターであぶって
あげるともっとおいしくなるんですよ〜」
「やめろ!!」

次回 >> 第10話「密着!仮面ライダー24時!」
486名無し職人:04/08/18 12:29
ここまでの登場人物

池袋小五郎(吉田栄作) : テレビ夕陽 プロデューサー
大山益雄(小林稔侍)  : テレビ夕陽 制作部長
成増良三(布川敏和)  : 池袋の部下
朝霞弘毅(北大路欣也) : テレビ夕陽 編成局長


ミルク(乙葉)        : ライダーの恋人役
柳瀬川竜次(藤岡弘、) : 初代ライダー


ナレーション:中江真司
487名無し職人:04/08/24 12:46
第10話「密着!仮面ライダー24時!」

ミルクは朝霞から取り付けた「次のドラマの主役」の約束手形に有頂天。渋谷で
豪遊していると、昔のワル仲間にみつかってしまう。ミルクはずっといじめられっ子
だったのだ。いいように弄ばれるミルク。泣きじゃくりながら家に帰ると、警察が
待っていた。朝霞に裏切られたのだ。
薬物所持違反で警察に逮捕されたミルク。全てに絶望し、ただ泣き続けるミルク。
そこにやってきたのは、頭を丸坊主にした成増だった。
「ミルクさん! 君は優しさが欲しかっただけなんだよね!」
そう言いながらミルクの持っていた「ヤバイ薬」を出す成増。
その中身は「バファリン」だった。

警察から釈放されたミルクにいきなりスポットライトが当たる。
「いい写真(え)がとれたよ、ミルクちゃん!」
そこには池袋たちケロッグのスタッフ達の姿があった。
「今だ!ミルクちゃん!!」
成増がコンビニのおにぎりを放り投げる。ミルクは反射的に一回転しておにぎりを
口に食えて着地、そしてキメポーズ!!

ナーレーション(中江真司)
「おにぎりライダーは偽物だった!! こうしておにぎりライダーは敗れ去ったのだ!」

スタッフの拍手の中、成増に抱きつくように見せかけて、大山に抱きつくミルク。
この夜、盛り上がったスタッフ達は新宿に繰り出し大騒ぎ。
店を一軒、半壊させてしまうが、成増が陰毛を剃って詫びをいれたことでなんとか
収まった。


次回 >> 第11話「仮面ライダー女に走る」
488名無し職人:04/08/29 23:14
第11話「仮面ライダー女に走る」

「仮面ライダーケロッグの正体は実は恋人役のミルクだった!」
苦し紛れながら意表を突いた展開だと池袋は胸を張った。しかし結果は惨憺たる有様だった。
まず「女ライダーなんて許さない!」と旧来のファンに見放された。
そして、子供たちからも見放され、視聴率は一桁に落ち込んだ。
「なぜだ〜〜!」
絶叫する池袋にスポンサーの番台玩具からクレームが・・・。
番台玩具のライダー担当・坂戸聖一郎(別所哲也)は池袋に言う、
「何故今まで主役のライダーが男だったかが、あなたには分かっていない! 男は女に惚れるが
憧れることはないんだ。」
こうして男をターゲットにした関連商品の発売は中止になった。
頼みの綱のオタク層も「コスチュームが萌えない」とそっぽを向いた。当然だ。ケロッグは男の
予定でデザインされていたのだから・・・。
俺たちは一番大事なことを忘れていたんだ・・・_| ̄|○ 絶望にくれるスタッフ達。


「くくく・・・、なかなか面白いことになっているじゃないか。もう一押しだな。」
怪人コーンフロスティー・朝霞は転げまわる池袋の姿を柱の隅から覗き見していた。そして朝霞は
携帯を取り出して何者かに電話をする。
「ああ、君か? そろそろフィナーレといこうじゃないか。ケロッグは来週は野球で休止だけど、
次の回は生放送でいくから。そう、場所は後楽園で。うん、それじゃそういうことで・・・」


数時間後、生放送の件を編成から伝えられた池袋はその場で卒倒し病院に担ぎ込まれた。


次回 >> 第12話「ライダー躓く!全治1週間!!」
489名無し職人:04/09/04 13:21
第12話「ライダー躓く!全治1週間!!」

「仮面ライダーケロッグ 次回は後楽園から生放送! 君もぼくと握手!」
次回予告が流され、もう池袋たちには後がなくなった。
池袋は入院先の病院で布団を頭からかぶってシクシクと泣きながら1週間が経とうと
していた。生放送まであと6日。
それもそのはず。前回でケロッグの正体を恋人のミルクだったと言ってしまったが、
ミルクは絶望的なまでに運動音痴なのだ。
それでも池袋には勝算があった。今のテレビの技術ならCG使いまくり、スタント
使いまくりでも、あとでどうにでも合成できるからだ。
しかし生放送ではどうしようもない! 変身後はスタントマンでいいとしても、その
前はミルクがやるしかない。あのミルクが生でワイヤーアクションなんかできるわけが
ない!! もうだめだ〜〜!!!!
悲嘆に暮れる池袋の前に志木江吏子が現れ、いきなり池袋に平手打ちをかます。
「この駄目男! 一緒に来なさい!!」
江吏子は泣きわめく池袋を車に乗せテレビ夕陽の社屋のある汐留に連れて行く。
そこで池袋が見たものは・・・
490名無し職人:04/09/04 13:21
「がんばれ〜! がんばれミルクちゃん!! 君ならできる!!」
そこには成増たちケロッグのスタッフと出演者たちが円になって集まっていた。
その集団の真ん中で・・・ミルクが腕立て伏せをしていた。
「あなた、あれを見てもなんとも思わないの!」
江吏子の檄に池袋は・・・いまさら腕立て伏せをしてもなぁ〜てか腕立てすらできて
ないじゃん、ほらつぶれた、2回が限度かよ〜〜等ということはこれっぽちも思わず、
男泣きをしながらスタッフに走り寄っていった。
「みんな〜〜〜! 俺が悪かったぁ〜〜〜〜〜!!!」
池袋の復帰を暖かく迎えるスタッフ達。
「待っていたぞ池袋! それでこそ男だ!!」
背後からの声に振り返る池袋。
「あ、あなたは・・・柳瀬川さん!!」
そこには初代ライダーで以前、池袋と激闘をかわした柳瀬川竜次と大山が立っていた。
「喜べ池袋! 今度の生放送では柳瀬川さんがまた怪人役を引き受けてくれたんだ。
ミルクのアクションの指導もしてくれていたんだぞ」
大山のこの言葉に池袋は・・・今更ロートル増やしてどうすんだよ〜、客がみたいのは
アクションなんだよアクション! それも度肝をぬくようなやつ。どうせ連れてくるなら
もっと若くて人気があって数字が取れる奴を連れてこいよ〜大山、お前も使えねえなぁ〜、
等ということはこれっぽちも思わず、顔を涙でクシャクシャにしながら柳瀬川に抱きついて
いった。
「ああ!大山さんだ!」
大山に惚れているミルクは手を振りながら大山に向かって駆け寄ってきた。
そして、あっさりと石に躓き、もんどりうって倒れ救急車で運ばれた。
491名無し職人:04/09/04 13:22
診断の結果は両足の捻挫で全治1週間。
それまでは立つことも無理、というものだった。生放送まではあと6日。
病院の前に立ちつくす池袋と江吏子。
「終わったわね・・・あなたも早く入院した方がいいんじゃない? 放送に穴を空けたら
致命的よ。なんとか責任回避の方法でも・・・」
そう言いながら江吏子が池袋の方をみると・・・池袋は満面の笑みを浮かべていた。
「ど、ど、どうしたの。ついにおかしくなった??」
「へへへ、燃えてきたぞ! こうなったら何がなんでもこの生放送を成功させてやる!!
いくぞ! やろうども!!」
「おお!!」
どこに隠れていたのかケロッグのスタッフ達が集まり池袋を先頭に後楽園に向かって
夕日をバックに走り始めた。
「男って・・・単純・・・」
江吏子は風ではためく髪を押さえながら、この狂気の集団を見つめていた。


次回 >> 第13話「仮面ライダー激白!男に走るよりはマシだろが!
492名無し職人:04/09/05 06:47
あげ
493名無し職人:04/09/09 12:54
第13話「仮面ライダー激白!男に走るよりはマシだろが!」

ついに生放送の日がやってきた。
気合や根性でミルクの足が治ることもなく、無理が祟ってさらに悪化する始末。
柳瀬川は勝手に張り切ってリハーサルにのぞみ、ギックリ腰になってしまった。
本番スタート!
その光景に後楽園にやってきた観客達は唖然とした。
いきなり身長3mのミルクが登場、歩けないミルクを成増が肩車をして
いたのだ。腰から下を布で覆ってはいるものの、その異様な姿はとても
人間のものではなかった。当然、動きも鈍く、あっちへふらふら、こっちへ
ふらふら・・・。
観客席から嘲笑が漏れはじめたとき、反対側から怪人ブルーバード2号が
・・・同じく2人羽織で登場した・・・。上半身は柳瀬川、下半身は池袋だ。
最初は唖然とし、クスクスと笑っていた観客もこれには大激怒。
起死回生のワイヤーアクションで空中に浮かぼうと試みるも、合計4人もの
体重を支えきることができず、ステージ中央に落下してしまう。
「いいかげんにしろ〜〜〜〜!!」
客席から一目でその筋のファンだとわかる男性が立ち上がった。
「俺たちがみたいのはこんなライダーじゃない! だから女は駄目なんだよ!」
もぞもぞと布きれから顔を出す池袋。
「うるせぇ! 男に走るよりはマシだろが!」
まさに支離滅裂・・・。
出演者もスタッフも観客もこれがゴールデンタイムの生放送である事を忘れ
怒声の浴びせ合いをはじめてしまう。
「ごめんなさ〜い!!」
ミルクが足を引きずりながら現れた。
「あたし、あたし・・・実は・・・実は!!」
ミルクは突然上着を脱ぎだし、ブラジャーをたくしあげた。
胸からこぼれ落ちるシリコンラバーの『偽乳』・・・。
「ミルクちゃん! き、きみは!!」

次回 >> 最終話「カミングアウト」
494名無し職人:04/09/18 14:33:56
最終話「カミングアウト」

ミルクは胸を露わにしながら告白した。
「巨乳なんて嘘なんです! 事務所の社長さんがこれを付けろって・・・、
NASAが開発した特殊なんたらだから絶対ばれないって・・・、だから・・
だから・・・ごめんなさ〜い!!」

ミルクのカミングアウトは・・・まったく意味がなかった・・・。
そもそも観客が怒っていることとミルクの胸が大きいとか小さいとかとは
関係がなかったのだから。
仮面ライダーケロッグの生放送は惨憺たる有様で放送を終了しようとしていた。
しかし、池袋には最後の秘策があった。
池袋がさっと右手を挙げるとステージの両サイドにスタンばっていたスタッフ
たちが一斉に縄を引っ張りはじめた。
「これが世界初のステージ丸ごとのワイヤーアクションじゃああ!!」
ゴゴゴゴ・・・・
大地を揺らしながらステージが持ち上がる・・・かと思ったが、ステージは
大きくバランスを崩し、観客席に向かって2回、3回と転がりながらぶつかって
いった。次々とステージの下敷きになる観客達・・・。
重軽傷者36名。こうしてケロッグは打ち切りになった。

* * *

池袋達は警察に逮捕された。総責任者であるはずの大山は事故当時は現場に
おらず罪に問われなかった。全ては池袋以下スタッフ達の暴走ということになり、
池袋は江吏子が用意した保釈金によって出所し、テレビ夕陽の正面に立っていた。
「おお〜い!池袋!」
脳天気な声に池袋が振り向くと、そこには大山と朝霞が仲良く手をつないで立っていた。
495名無し職人:04/09/18 14:35:31
「いやぁ〜今回はまいった、まいった」
大山がペシペシと自分のおでこを叩く。
「まったくだよ。おータン(大山)がさぁ、『スタッフの結束を高めるためには敵が必要だ』
なんていうもんだから敵役を引き受けたのにぃ〜」
「なに言ってるんだい、『立ちふさがる壁は高いほうがいい』ってアーさん(朝霞)も
言ってたじゃないのぉ〜〜〜!」
「いや〜しかし・・・まさかここまで大失敗するとは・・・」
「ほんとほんと、思わなかったよねぇ〜〜」
「そういうわけで・・・池袋くん、君は首ね(は〜と」
池袋はいちゃつく2人に対し右手を高々と上げ、テレビ夕陽の本社ビルの屋上を
見るように指で招いた。
「もう、遅いですよ・・・」
ビルの屋上からスルスルっと大きな縄が落ちてきたかと思うと、地上にケロッグの
スタッフたちが大勢現れ、その縄を引っ張り始めた。
「な、何をする気だ!池袋!!」
うろたえる大山と朝霞に池袋はニヤっと不敵な笑みを浮かべながら言う。
「夢を・・・夢を追い続けることにしたんですよ、俺ら。いつか、地球丸ごとひっくり返して
やりますよ。これは、『手始めに』ってやつです。やれぇ〜〜!!」
池袋の号令でスタッフ達が渾身の力で縄を引っ張る。同時に、ビルの地下で爆発が
起こりテレビ夕陽のビルは轟音とともに崩れていった。
呆然とたちつくす大山と朝霞を残し、池袋たちは地平線の彼方へと消えていった。

ナレーション(声:中江真司)
この後、池袋達は地下に潜り、数年後に秘密結社イケイケ団を結成し世界征服を
始めるのであった。そして人々が絶望にあえぐとき、悪にに立ち向かう正義の使者、
仮面ライター・エリコが登場するのだが、薄給のライターは今は保釈金に使った
借金の返済に追われる日々を送っていたのであった。
立ち上がれ!ライター!! 目標はシナリオ週6本だ!!


「仮面ライダーケロッグ」完
496コンブ:04/09/19 14:23:31
春の連ドラ「仮面ライダーケロッグ」

第1話「出現!怪人コーンフロスティー!」 >>465 名無し職人
第2話「ライダー死す!?変身ポーズは忘却の彼方!」 >>467 コンブ
第3話「驚愕!怖〜いミルクの甘〜い罠!」 >>469 名無し職人
第4話「怪人スプーン男の涙」 >>473 名無し職人
第5話「もぉうガマンできな〜い」 >>474 名無し職人
第6話「止めてくれるなおっかさん」 >>476 名無し職人
第7話「そして旅に出た」 >>482 名無し職人
第8話「登場!5人目のライダー」 >>483 名無し職人
第9話「レッドライダー、死す!!」(仮) >>485 名無し職人
第10話「密着!仮面ライダー24時!」 >>487 名無し職人
第11話「仮面ライダー女に走る」 >>488 名無し職人
第12話「ライダー躓く!全治1週間!!」 >>489 名無し職人
第13話「仮面ライダー激白!男に走るよりはマシだろが!」 >>493 名無し職人
最終話「カミングアウト」 >>494 名無し職人
497名無し職人:04/09/24 23:49:48
もうネタも少なくなってきました。
>>9で出ていたにもかかわらずここまで使われなかったもの↓

『もみあげ』

第一話「オレが藻見 亜毛太郎だ!」
第二話「亜毛太郎のはじめてのおつかい」
第三話「とっとこ新キャラ!?アゲハムちゃん!?」
第四話「石原都知事の逆襲!」
第五話「無情!放たれたBB弾!」
第六話「必殺!三枚刃包丁炸裂!!」
第七話「亜毛医師、病に倒れるの巻」
第八話「今日もあぶれた!競輪だ♪」
第九話「ふと、我に返ったとき」
第十話「ボスはホームレス」
第十一話 『垢の嵐』
最終話「俺にはダンボールがお似合いさ」
498名無し職人:04/09/27 23:56:33
第一話「オレが藻見 亜毛太郎だ!」

オレの名前は藻見亜毛太郎。
もと冷食捜査官だったが、現在はホームレスだ。
みなさんご存知のとおり、現在では自然食は食べることはもちろん所持することも
一切禁止されている。その理由はもちろん地球環境に多大な負担をかけるからだ。
だが、自然食のストックがときおりどこからの冷凍庫から発見されることがある。
これは冷食と呼ばれ、もちろん自然食同様禁止されている。
だが、違反者があとを絶たない。
理由はどうも冷食は美味いらしいのだ。
生まれたときから、合成食しか食べたことのないオレには不潔な自然食などを口に
入れたがる神経というものがどうも理解できないのだが、違反者に言わせると
これこそが人間らしい食べ物だそうだ。
そんな冷食捜査官のオレがこともあろうに、冷食保持の容疑をかけられたのだ。
どうやら、誰かにハメられたらしい。
だが、容疑を晴らす術もなく、オレは追い詰められた。
捜査官の冷食保持は死刑だ。
オレは逃げ出した。そして、現在ホームレスになっというわけだ。
オレはホームレスに身をやつしながら、誰が何のためにオレをハメたのかを必死で捜査した。
そんな、ある日、オレの耳に信じられない情報が飛び込んできたのだ。

>> 第二話「亜毛太郎のはじめてのおつかい」
499名無し職人:04/10/05 12:21:26
ほし
500名無し職人:04/10/11 23:17:11
第二話「亜毛太郎のはじめてのおつかい」

ある朝、いつものように新宿の段ボールハウスで目を覚ましたオレの
目の前に、あさり(渡辺いっけい)がぶさいくな面をして立っていた。
「もみあげさんに・・これ・・・渡してくれって・・」
あさりはそういって携帯電話を俺に渡した。あさりってのはもちろん
あだ名だ。ここでは誰も本名なんて名乗らない。こいつはいろんな所から
物を漁ってくるからら「あさり」と呼ばれている。
あさりはその携帯を誰からもらったかというオレの問いに答えずに、
どこかに行ってしまった。
いかにも胡散臭い携帯が鳴った。
オレが電話に出ると、相手からの声はなく映像だけが送られてきた。
今の時代、携帯はどれもテレビ電話だ。
 VOICE OFF LIVE
液晶に文字が出ている。
その映像をみてオレは驚いた。
倉庫のようなところで何人かの男達が箱とスーツケースを交換していた。
ご丁寧に箱にズームされる映像。その箱には「ニチレイ」という文字が!
間違いない。冷食だ。
映像が切れ、液晶には「横須賀第3倉庫」という文字だけが残った。
罠であることは容易に想像できた。しかし今のオレには他に手段もない。
「ずいぶんとヤバイ匂いのするおつかいだな」
オレは急いで横須賀に向かった。
しかし、すぐにオレは重大なことに気がついた。オレはホームレスだ。
金なんて持っていない。
ここは新宿・・・横須賀は・・・遠すぎる・・・。

次回 >> 第三話「とっとこ新キャラ!?アゲハムちゃん!?」
501名無し職人:04/10/12 02:16:33
今日の料理

「揚げハムのシェネ、地中海風」

講師:タモリ魚蔡先生
502名無し職人:04/10/16 20:34:34
第三話「とっとこ新キャラ!?アゲハムちゃん!?」

ケイタイの画面が切り替わった。
電子マネー使用許可ON 上限金額なし。
こ、これは俗にブラックカードと呼ばれるシロモノだ。この表示さえあれば理論上は
なんでも買える魔法の電子マネーだ。
もちろん実際は上限金額はあるのだが、その額は50億とも100億ともいわれている。
オレはまず捜査官時代に知り合った武器密売人に連絡をとると、相場の倍払ってやるから
拳銃、グレネードランチャー付き突撃銃、防弾チョッキ、麻酔銃、スタンガン、手榴弾
防弾ガラスのクルマを10分以内に用意しろと命令した。
「旦那、ひさびさに連絡くれたと思ったら、戦争でもおっぱじめる気ですかい?」
そういって、武器密売人(八嶋智人)はきっかり10分以内にすべてを用立てた。
この武器密売人は日本人なのだが、なぜかイスラム教に改宗しており、洗礼名を
ア・ゲハムという。
ア・ゲハムは支払いの電子マネーを見て、ヒューと口笛を吹いた。
「こいつは驚いた。旦那、いつから大金持ちになったんですかい?
 ま、あたしは支払いさえちゃんとしてれば、このカネどこで手に入れたんだなんて
野暮は聞きませんがね」
言葉とは裏腹にカネの匂いを嗅ぎつけて、自分にもおいしい思いをさせろと言わんばかりの
ア・ゲハムをオレはその場から追い払った。
そして、オレは完全武装すると、クルマを横須賀へととばした。

>> 第四話「石原都知事の逆襲!」
503名無し職人:04/10/22 12:24:54
第四話「石原都知事の逆襲!」

ア・ゲハムが用意した車は「マスタングV6」。なかなかいい趣味だ。
前輪には毛並みのいい柴犬が3頭。華麗なコーナーリングが期待できる。
後輪にはセントバーナードを装備。古のポルシェのような後輪でグイグイ
引っ張る感覚が味わえる。まぁポルシェなんて乗った事はないが・・・。
言っておくが今の時代、ガソリン車なんて環境に悪いものは存在しないぜ。
水素も太陽電池もいつのまにか外国に特許を独占されて使えない。
だからもっぱら日本で車と言えばこの「犬車」だ。
「ワンワンワン!!」
威勢のよいエキゾーストノートを響かせながらオレは東京新外環道MK3をひた走った。
120歳まで都知事を続けたイシハラとかいうオッサンのせいで東京は出るのも
入るのもめんどくさい場所になっちまった。東京は何重もの外環道で囲われ、
やれ「排ガス規制」(主に糞・尿)やら騒音規制(主に鳴き声)やらを口実に
税金をむしり取られるようになっていた。
「朝までにはつけるかな?」
ふとバックミラーに目をやると、さっきから気球がオレをつけているようだ。
言っておくが今の時代、ヘリコプターやジェット機なんて、以下略。
顔もよく知らない妖怪都知事(と当時呼ばれていたらしい)オッサンのおかげで
なんともしまらないカーチェイスが始まった。
オレは腹立ちまぎれにクラクションを撫でる。
「にゃあ〜〜〜」
マスタングにシャム猫のクラクションは似合わない。
これが終わったら三毛猫に変えよう・・・。

次回 >> 第五話「無情!放たれたBB弾!」
504名無し職人:04/10/30 16:53:55
第五話「無情!放たれたBB弾!」

ようやく横須賀の倉庫に着くと、当たり前のことだが取引はとっくに終わっていた。
どうしようかな〜と間抜けにつぶやきつつ、一応辺りの遺留品を探してみる。
そのとき、「動くな」と大きな声がオレに突き刺さった。
周りを見るとすっかり囲まれていた。
オレを包囲しているのはかつての同僚。農林水産省の冷食捜査官たちだった。
クソッ! はめられたのか?!
「藻見、お前がなぜここにいる?」
そう声をかけてきたのはかつてのオレの相棒、小鳥遊小鳥(たかなしことり・藤原紀香)だった。
「お前らこそ、なんでここにいるんだ」
「タレコミがあったんだ。ここで冷食の取引があると。それよりもなぜお前がここにいる?
いや、そんなことは後でゆっくり問いただしてやる。藻見亜毛太郎、お前を逮捕する」
「ちぃっ、捕まってたまるか」
オレはマスタングに飛び乗った。いや、正確には飛び乗ろうとした。
その瞬間、捜査官たちが、オレに向かって一斉に発砲しやがったのだ。
もちろんそれは鉛の弾丸ではない。BB弾と呼ばれるものだ。
バイオ・バルド(bio bald)弾。
この弾丸の洗礼を受けた者はたちまちハゲ頭になってしまう。
もちろん、命に別状はない。だが、すぐに解毒剤を打たないと残りの人生をハゲ頭で
すごすことになってしまうのだ。
このため、たいていの犯人が逃走を思いとどまるというシロモノだ。
オレの足も一瞬止まってしまった。捕まれば死刑だとわかっているのに。
その隙を逃す冷食捜査官たちではない。元同僚たちがオレに襲い掛かった。
505名無し職人:04/10/30 16:55:08
だが、そのとき、以外なことが起こった。
オレをずっと尾行していた気球が元同僚たちに向かってBB弾を発射したのだ。
意外な展開に唖然としているオレの肩になにかが刺さった。
「うっ」
そいつを抜いて見るとどうやら注射器を改造した吹き矢のようだ。注射器には解毒剤と
書いてある。恐らくBB弾の解毒剤なのだろう。
気球に乗っているのがどこの誰かは知らんが、オレは今度こそマスタングに飛び乗って
この場から脱出をした。

>>第六話「必殺!三枚刃包丁炸裂!!」
506名無し職人:04/11/09 12:17:00
ho
507名無し職人:04/11/18 20:54:47
syu
508名無し職人:04/11/25 12:30:55


509名無し職人:04/12/07 12:55:43
第六話「必殺!三枚刃包丁炸裂!!」

オレがマスタングを走らせていると外は突然雲行きが怪しくなり、
激しい雷雨となった。オレをつけていた気球はあっさりと雷にうたれて
墜落した。
オレが気球の墜落現場に行くとそこには既に人影はなかったが、ひとつの
段ボールが落ちていた。段ボールには「陳軒楼」と書かれていた。
横浜の中華街にある有名な高級店だ。
オレが冷食捜査官だった頃からこの店はブラックリストにのっていた。
しかし何度強制捜査で踏み込んでも証拠をあげることはできなかった。
「やはりか・・・」
次の行き先は決まった。その時、例の携帯が鳴った。
携帯の映像は「おいでませ北海道」とこれみよがしな看板から始まり、
キタキツネの愛くるしい姿を映した後、その先の雪原で冷食らしく物の
取引きの様子が映し出されていた。
なんとも間抜けな奴だ。
どうやら、この携帯をオレに渡した奴はこちらの状況を知らないらしい。
オレはマスタングに飛び乗るとまずは近場の床屋に向かった。
「陳軒楼」は横浜一の高級店だ。こんな姿じゃ近づくことさえできやしない。
「バーバー斉藤」という店に入ると店主(斉藤洋介)が名物の三枚刃包丁で
見事に髭を剃ってくれた。その腕前に感心しているオレの喉元に包丁をあてながら
店主が耳元で囁いた。
「お客さん・・・シナリオを勝手に変えちゃあいけないよ・・」
!!驚愕する間もなくオレは後頭部を殴られて気を失った。

第七話「亜毛医師、病に倒れるの巻」
510名無し職人:04/12/13 22:37:45
第七話「亜毛医師、病に倒れるの巻」

「ダンナ、目が醒めましたかい?」
オレにそう声をかけたのは、ア・ゲハムだった。
「おっと、まだ動かないほうがいい。頭を強く打ってるようですからね」
「お前が助けてくれたのか?」
「べつに助けるつもりはなかったんですがね。誰かがアタシの家にダンナを投げ込んだ
んでさあ。で、放っとくわけにもいかないんで、ベッドに寝かせたってわけです」
「そうか、そいつはすまなかった」
「いえ、謝ることはないですよ。ダンナのケイタイね、調べさせてもらいました。
残高ゼロになってましたよ。アタシも慈善事業してるわけじゃないんでね。
ダンナの身柄をカネに変えるにはどうしたらいいかなと考えまして。
このひとに来てもらったんですよ」
ア・ゲハムの後ろから、小鳥遊小鳥が顔をのぞかせ、こう言った。
「藻見亜毛太郎、お前を逮捕する」
「おい、まってくれ、誤解だ。オレはただ・・・」
そういいわけして、起き上がろうとした瞬間、世界が反転した。
「わ、ダンナ、ひどい熱ですぜ」
どこか遠くでア・ゲハムの声が聞こえた。
ホームレス暮らしで弱っていた体に最近立て続けに起こったドタバタがこたえたらしい。
くそ、こんなところで倒れるわけにはいかない。
なんとか、無実を証明して冷食捜査官に返り咲かなければならない。
オレは一日たりとも冷食捜査官だったことを忘れたことはない。
冷食捜査官こそ今の時代にメスを入れる医師なのだ。オレは冷食捜査官なのだ。
ダメだ・・・ 嗚呼、意識が・・・・

次回>>第八話「今日もあぶれた!競輪だ♪」
511名無し職人:04/12/26 12:52:45
第八話「今日もあぶれた!競輪だ♪」

・・・・
世界がぐるぐる回ってる。

オレは・・・オレは・・・・誰だ??
・・・・
・・・・そう・・オレは・・・・・ホームレス。
世界中でもっとも駄目な奴。
妻の小鳥に逃げられ、酒びたりの毎日を送って会社をクビになった奴。
今日も素晴らしい政府がしてくれる、ありがたい日雇いバイトから漏れ、
競輪場で車券をあさっている。そんな駄目な奴。
素晴らしい政府がうってくれる注射のおかげで死ぬことなんてない。
でも働けない・・・そんな駄目な奴。
ああ、素晴らしい政府よ!
こんなオレにできることならば、あなたの靴をなめることでもかまいません。
ああ、素晴らしき政府よ!
素晴らしい政府・・・・素晴らしい・・・
・・・
違う!!
オレは見たんだ!!
冷凍食品の中に潜む、恐ろしい陰謀を!
そう! おれは冷食(ドガッ!!)捜査・・・・かん・・・・
オレは後頭部をしこたま殴られ、また意識を失った。
遠くで男の声が聞こえた。

「まったく手間のかかる・・・シナリオ通りにいかない人だ。ねえダンナ。」


次回 >> 第九話「ふと、我に返ったとき」
512名無し職人:05/01/06 23:58:31
2005年保守
513名無し職人:05/01/08 17:04:03

514名無し職人:05/01/15 02:52:02
第九話「ふと、我に返ったとき」

「・・・なた・・・・ぁなた・・・・あなた!!」
オレは激しく肩を揺さぶられ、首を絞めれて目を覚ました。
目の前に妻の小鳥が立っていた。
「どうしたの? ずいぶんうなされていたわよ」
「ああ・・・」
オレは気のない返事をして頭を振った。割れるように痛い。
夢か・・・。
ずいぶんとリアルな夢だ。しかしおかしな話だ。このオレが
ホームレスだなんて。オレは時代の寵児と言われ年商100億を
稼ぐ実業家なのに。
「どうしたの?」
「いや、夢でさ、おまえが捜査官でオレを追い回すんだ」
「あらやだ! あなたに逮捕されちゃったのは、あ・た・し!」
「こいつ〜〜〜」
オレはふざけて小鳥の頭を横にはたいた。
ズラが飛んだ・・・。
「お、おまえは誰だ!」
「わははは! よくぞ見破った!」
突然、小鳥の声がずぶとい男に変わり腰に手をあてて高笑いをはじめた。
「ある時は冷食捜査・小鳥遊小鳥! そしてまたある時は・・・」
小鳥は顔に手をあてて皮膚をひっぱる。その下から現れたのは・・・
「謎の武器商人、ア・ゲハム! またまたある時は三枚刃包丁のバーバー
斉藤! またまたまたある時はホームレスのあさり! またまたまたまた
ある時は! ・・・なんだっけ? まあ以下略! しかして、その実体は!!」
「じ、実体は??」
「じゃぁ〜〜〜ん!! 山田雄介だ!!」
「誰だよそれ!!」


次回 >> 第十話「ボスはホームレス」
515名無し職人:05/02/02 22:14:59
   
516名無し職人:05/02/10 23:14:37
このスレすごい。2年も続いてる…
517名無し職人:05/02/19 07:44:13

518名無し職人
第十話「ボスはホームレス」

「山田雄介って誰だよ!」
「やはり記憶は戻りませんか・・・。山田雄介とは、あなたの事ですよ、ボス!」
ア・ゲハムの顔をした男は残念そうにうなだれながら話を続けた。
「あなたは冷食捜査官のボス、山田雄介なんです。あなたは、ある事件の捜査の
ためにホームレスを装って単独で潜入捜査をしていた。しかし敵に捕まって
記憶を奪われてしまったんです。我々はあなたの記憶を取り戻して犯人を逮捕する
ためにこんな芝居をうったんです。」
「そうかそうか。おかしいと思ったんだよ。オレのような「できる男」がホームレス
なんてさ。」
「医者の見解は、あなたの深層心理の中にホームレスのままでいたい、という願望が
あるため記憶を蘇らせる邪魔をしているんだそうです。どちらにしてもボス・・・」
ア・ゲハムはゆっくりと右手をあげオレの方に向けた。その手には拳銃が握られていた。
「残念ながらタイムリミットです。」


次回 >> 第十一話 『垢の嵐』