食への信頼がまた揺らいだ。オーストラリア産の牛肉が国産に姿を変え、香川県丸亀市の学校給食に
納入された。偽装牛肉は育ち盛りの子供たちに届けられた。虚偽の国産証明書を作成した食肉卸・
肉製品製造「村食」(三好芳社長)と、豪州産を国産と偽り給食会に納入していた精肉店「ふじや精肉店」
(山下幸雄店主)は25日までに四国新聞社の取材に応じ、それぞれ偽装を認めた。
しかし、双方とも「偽装は相手から依頼された」と主張。不正の主導をめぐる言い分は正反対で、
消費者の不信感の増幅は避けられそうにない。
■2業者へ一問一答
精肉店に頼まれ偽の証明 村食・三好芳社長
―偽装はあったのか。
三好社長 あった。ふじや精肉店に卸した豪州産牛もも肉に、国産牛の証明書を付けていた。
―誰が行ったのか。
三好 ふじや精肉店を担当する男性社員が、個人の判断で行った。絶対に会社ぐるみではない。
―偽装の手口は。
三好 男性社員は社内に保管してある国産牛の証明書の控えを勝手にコピーし、
豪州産を納入する際に添付していた。
―簡単に行えるのか。
三好 保管場所に鍵がなく、誰でも出し入れできた。管理が甘かった。
―偽装の量は。
三好 ふじや精肉店には、昨年11月から今年2月までに豪州産の牛もも肉を計2トン弱卸している。
ただ、全部が偽装かは分からない。
―なぜ社員は不正を。
三好 精肉店に頼まれたと聞いた。発覚が怖かったが、つき合いが長くて断れなかったようだ。
―村食のメリットは。
三好 ゼロだ。リスクが大き過ぎる。
―ふじや精肉店が給食会に肉を納品していたことは知っていたか。
三好 知らない。精肉店に卸した肉の用途まで私たちには分からない。
―ほかに不正は。
三好 ない。社員の担当する他の店も調査した。ふじや精肉店だけだ。
―今回の件をどう受け止めるのか。
三好 本当に申し訳ない。襟を正し、指導に沿って改善するしかない。
仕入れ先から打診された ふじや精肉店・山下幸雄店主
―豪州産の牛肉を国産と偽り丸亀市学校給食会に納入したのは本当か。
山下店主 本当だ。昨年の12月と今年の1月の2回、合わせて約1・7トンを納めたうち、
大半に豪州産を使った。
―なぜ偽装したのか。
山下 仕入れ先の村食から打診された。担当者が、事前に持ってきた豪州産と国産を比べると、
豪州産の方が品質が良かった。お金が浮くというのも頭にあり、乗ってしまった。魔が差した。
―村食から持ちかけられた。
山下 もちろんだ。創業して30年、偽装は今回が初めて。担当者から「他の店でもやっているが、
ばれていない」と聞き、うちもいいかなと思ってしまった。
―手口は。
山下 給食会への納入は注文に応じて月に7、8回に分けて行った。
その都度、村食が持ってきた豪州産牛に、村食が示す個体識別番号を付けて納めた。
―偽装によって得た利益は。
山下 計算していないので分からない。ただ、豪州産の仕入れ値は1キロ当たり一律800円。
国産は仕入れ日によって900円から1250円と変わり、その差額分が余剰の利益になると思う。
―偽装した牛肉が子供たちの口に入っている。今どんな心境か。
山下 何も言い訳できない。悪いことをして本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/article.aspx?id=20070726000095